6-9 世界樹の試練 その2
「ここで装備とか整えてから試練に向かうことになります。
ここにあるものはなんでも持っていっても大丈夫です。
途中でどちらか1人でも致命傷を負うと、2人ともここに戻されて再スタートになります。
他にも罠にはまって身動き取れないとかで、挑戦者の意思によりここに戻ってくることもできます。
この中で過ごす1日が外の世界での1時間くらいになるようですから、あまり時間は気にしなくても大丈夫です」
ライナがいろいろと説明してくれた。
「なんか詳しいな。そういうことをあらかじめ教えられているんだ」
「いえ、攻略本を読みました」
「そんなものがあるんだ……」
「はい、わざとゴール近くまで何度も行って再チャレンジしてる人もいるようです。
ちなみに、タイムアタックでの記録は3時間くらいみたいです」
「完全に娯楽施設となってるじゃないか」
「エルフ村はなかなか若者向けの娯楽が少ないので」
「普通は攻略にどのくらいかかるんだ?」
「2-3日くらいが普通っぽいです。1ヶ月以上かけて攻略した人もいるみたいですよ」
「攻略本で敵や罠の位置とかもわかってるなら簡単そうだな」
「いえ、マップが毎回変わっちゃうみたいで、そのあたりはさっぱり。
階層も3~5と一定じゃないようです。難易度自体はそれほど変わらないようですが」
「そういうものなのか」
「じゃ、準備しましょ」
部屋を見渡すと、多くの箱が置かれており中にはいろいろな武器や防具、ポーションなど冒険に必要そうなものが揃っている。
他にどうしても気になるベッドが1つ。
裸のままベッドを横にしてるとどうしても気になっちゃうんだが……
「また、よからぬこと考えてるでしょ」
「いや、とってもいいことを考えてるぞ。
ここって他の人とかも来るのか?」
「同時に何組チャレンジしても中では出会わないようです。
別の空間が用意されてるんでしょうね」
「ということなら……」
俺はそのままライナをベッドへ引っ張り込んだ。
1戦終えて、
「もう……
真面目な試練なんですからね」
「この中でも効果があるかどうかは知らないけど、アリサも言ってたとおりこれで成長するらしいしな。
時間もあるし、ゆっくり行こう。
修行にもちょうどよさそうだ」
俺は剣と盾、それに革鎧を選んで身につけた。
でも、この剣なかなかひどいものだな。
これじゃ斬るっていうより、ぶん殴るって感じになりそうだ。
革鎧もなんか質が悪そうだ。
ライナは弓とローブを装備している。
「弓なんだ。以前見たときは杖だったような……」
「ここは精霊魔法が使えないんですよ。それなら弓かなと。
エルフは皆、弓の名手なんですよ。
それに……」
ライナは矢を持たずに弓を撃ったにもかかわらず、その先には矢が突き刺さった。
「エルフの種族スキルで、矢を無限に生み出せるんです。
便利ですよ、これ」
「そんなスキルがあるんだ。
確か矢の消費が冒険する上では弓の欠点になるから、矢を気にしなくていいなら弓はすごく便利だな」
「ただ、弓がどうしようもない酷さですので、威力はしれてますね」
「剣も酷いけどこのまま最後まで行くしかないのか?」
「途中に何ヶ所かこういう部屋があって、そこで少しずついい装備に変えれるようです」
「それならなんとかなるか、早めにもうちょっとマシな武器がほしいものだ」
で、防具はローブでいいのか?」
「素肌に皮鎧とか着けるのがなんか嫌で……」
たしかにごわごわして嫌な感じではある。
だけど、そのローブの丈が短くて動くたびにお尻がチラチラ見えて気になるんだが……




