8-13 新居
街まで戻った俺たちは宿をとって今後のことを話し合うことにした。
「今後のことなんだが、これまでと同じように旅をし続けるのもいいんだが、どこか拠点を設けたほうがいいんじゃないかって思うんだ」
俺からそう話を切り出した。
「「「賛成」」」
アリサ・ヒルダ・ライナから即座に賛成の声が来て驚いた。
もう少しいろいろな意見があると思ってたんだが。
「すでに、3人で話し合いがついてたみたいだよ。旅の生活じゃ子作りとかできないからね」
なんと!
「これで解禁できますの。面倒な避妊も不要になりますの」
避妊してたんだ……知らなかったし。
「だって、旅の途中で子供とかできても困りますの。
前の勇者はそうでなかったみたいですけど、いざ魔王との決戦って時にお腹が大きかったりしたら大変ですの」
確かにそのとおりですね。
何も考えてませんでしたよ。
「拠点を構えるとしてどこがいいと思う?」
「王都はどうですか?
やはり一番情報も集まりますし」
ヒルダがそう提案してくる。
「王都は人間中心すぎるんだよな。
短期間ならライナも大丈夫だろうけど長期間となると微妙な差別が気になってくると思う。
ましてや、リィもいっしょとなると難しいだろうな。
王都ほどじゃないけど、俺の故郷のガダウェルも難しいかもしれん」
「そうですか、残念です」
「エルフ村でいいんじゃ。
別に魔族も差別しないわよ」
ライナは故郷を一押しのようだ。
「エルフ村は住むのにはいいんだけど、ライナといっしょじゃないと入るのに一苦労するからダメだな。
それならまだ、エルフ村最寄りのドラヤーンの街だろうな」
「じゃ、ドラヤーンで」
「悪くはないと思うの。
でも、魔族の監視っていうポイントを考えるとドラヤーンはちょっと向かないと思うの」
「それなら、どこがいいのさ」
ライナの問いかけにリィが、
「ここじゃダメなの?
魔族の監視って点ではここ以上によさそうな場所はないと思うよ。
ここなら、どんな種族でも差別されないし、世界樹が近いから、ライナがいればどこへ行くのにも便利でしょ」
「確かに……」
ライナは納得したようだな。
「俺も賛成だな。他に意見のあるやついるか?」
「私も賛成です」
ヒルダも賛成にまわってくれたか。
「では、決まりなの。
明日にでも冒険者ギルドに行って街の不動産屋とかを紹介してもらうの」
「拠点って家とか借りるんですか?」
ヒルダの疑問に対しアリサが、
「適当な物件があれば購入てもいいんですの。
でもあまり期待できないようでしたら、どこか空き地でも購入して新しく建てるのがいいと思うんですの」
と答えると、ヒルダは驚いたように
「そこまでお金の余裕があるんですか?
あ、そういえばシモン様の実家は貴族でしたね」
「先日のダンジョン異常湧きの報酬が頭金に使えると思いますの。
あとは貯金もありますし、なんとでもなりますの」
そう聞いてもヒルダは納得できなさそうな表情をしている。
「アリサは昔からいろいろな研究を商品化して権利を商人に売ってるのさ。
自動的に振り込まれてくるお金だけでも相当な金額になってるみたいなんだ」
俺がそう付け加えておく。
「使うときにはバーンと使いますの。
故郷より大きい屋敷がいいですの」
「それは売り家とか絶対ムリだろ。
それどころか、街の中にそれだけの空き地もなさそうな気がするぞ」
「困りましたの。
街に隣接した一帯を購入することも考えますの」
「話が大きくなってきたな。
このあたりの領主とかそのあたりに話をつけないといけなさそうだな。
それも引っくるめて明日相談だな」
「いろいろ楽しみなの」
他の3人は話についてこれなくなってるようだ。
これからの生活がどうなるか、予想もできないけど、きっと退屈しない日々が待ってるだろう。
何にせよ、アリサといっしょならあまり心配することもないはずだ。
「妹が最強すぎて冒険がぬるい」本編完
4ヶ月間の連載にお付き合い頂きありがとうございました。
本小説の本編はこれにて完結とさせていただきます。
まだ評価とかしてない方は、評価していただけると嬉しく思います。
この後、しばらくの間休息期間にしっかりとプロットを立てた後に、外伝という形で書き加えたいなって思ってます。
現在のところの構想としましては、外伝は本作の中でも何度も語られた600年前の勇者のお話を書きたいなと思ってます。
その際、主人公は勇者でなく別の1名の視点になるかなって考えてます。
また、その外伝とは別物として、この同じ世界を利用した別次元の話の連載を始めました。
タイトルは「自作のファンタジー小説の世界に転移するとかチートすぎるでしょ」
このタイトルだけでどういうお話か想像できちゃうかな?
主人公は私です。本作のキャラたちをそのまま再登場させる予定です。
下にリンクを用意しましたのでそこから飛ぶと便利かなって思ってます。




