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8-10 魔族の将来

 魔王の意思を確認した後、不死の王は話を続けた。


「そして最後に、これは今まだ話すべきではないと考えていた内容になります。


 魔族の繁栄を考えると、現在の魔族では難しいと考えております。

 魔族は個々の能力を高め続けてきた結果、多くの魔族の特殊化、個別化が進み、ひとまとめに魔族と言っても血族を除けば、あまりにも異なった存在になってきております。

 その結果として、出生率の減少の歯止めがかかっておりません。血族間では血があまりにも濃くなり、異なる血族との間ではなかなか子供ができない傾向が強くなっているのです。


 ですが、魔族と他種族との混血のものを見る限りにおいては、出生率はその種族のもともとのものと比べれば低いものの、魔族の平均と比べれば果てしなく高い出生率となっております。

 ただ、その能力は魔族の平均より著しく低くなっているというのも事実です。


 魔族は現時点で大きな境目に来ていると思われます。

 このまま個々の能力を高め続けていくことで将来の滅びを受け入れるか、魔族としての大きな能力を捨てることにより種族として新しい道を模索するかの。


 そして魔王は決心しました。

 新しい道を模索することを。


 その先駆けとして、魔王の一人娘のリィにも人との子を成す道を与えようとしております」


 あ、なんか、うちの3人が俺のことをジト目で見てる。

 別に俺が言い出したことじゃないし。


「また、魔王もリィの母親とは死別しておりますので、ゆくゆくは人間の後添えをと考えております」


 え、こいつらは俺のだからな。

 やらないからな。


 まぁ、魔王は十分イケメンだから、普通に引っ掛けれると思うぞ。

 地位も金もありそうだし。


「今後、魔族全体で人間たちとの混血化を徐々に進めていこうと考えております。

 急な変化はなかなか受け入れられないでしょうから、何代もかけて徐々に進めていくことになると思います。

 そのための第一歩をまず魔王の血族から踏み出すことで、魔族全体に示して行きたいと、そうした計画です。


 魔族が孤立化しているのも、もともとその能力が他種族から傑出していていたことに起因します。魔族の個々の能力が弱まれば魔族を必要以上に恐れることもなくなるでしょう。

 ただ、魔族の能力の減少を人間たちにつけこまれて滅ぼされないように、出生率を徐々に上げて魔族全体としての能力を落とさないようにすることや、他種族との交流を深めていくことなど課題は極めて大きいと思っております。


 以上でございますが、回答にご満足いただけましたか?」


「誠意ある回答と思いますの。ありがとうございました」


 アリサがそう答えると、不死の王は席についた。

 代わりにリィが再び立ち上がり、


「我々からの話は以上になります。

 回答については、すぐいただけますか?」


 という問いかけに対し、俺がアリサのほうをちらっと見ると、アリサはすかさずにニッコリ微笑んでくれた。


 え? やっぱり俺から話するのか……

 しかたなく俺は立ち上がった。

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