7-10 報酬
帰還魔法でダンジョンから出た俺たちは、冒険者たちの歓声に包まれた。
「よくやってくれた」
皆を代表する形でギルドマスターから俺たちへ感謝の言葉が伝えられた。
「1層のお前らが焼き殺した後だけど、Dropアイテムがいたるところに落ちてるんだがどうする?
拾い集めておくか?」
ダンジョンの様子を見に行っていたギリウムさんから声がかかった。
そういえば、道中のモンスターはすべてDropアイテムとか無視して駆け抜けたよな。
「皆さんで分けてください。動員された冒険者さんたちへの報酬とかいろいろお金もかかるでしょうし」
「それはありがたいな。シモンたちへの報酬についても相談させてくれ」
「俺たちへは別に何も要りませんよ。
ヒュドラからこんなでかい魔石もらえましたし」
俺が魔石を見せると、皆の注目が集まった。
「なんか、魔石の概念を覆すような大きさですね」
魔石を見たファルさんが呆れたような声をだす。
「いくらの値をつけていいか困るような一品だな。
つうか、ヒュドラって言わなかったか? 今」
ギルドマスターが驚いた声で尋ねる。
「ボス部屋にいたのがジャイアントサーペントでなく、ヒュドラだったので驚きましたよ」
ギルダが切り落としたヒュドラの最後の首を見せる。
アリサが研究用にというので取ってきたものだ。
「驚きましたよってあっさり言うけど、神話級のモンスターじゃねぇか、ヒュドラって」
「初めてみましたの。
ダンジョンの核とジャイアントサーペントが融合したんじゃないかと思うけど研究してみないとよくわかりませんの。
魔石がこんな大きいのもその影響かもしれませんの」
「普通に討伐隊編成して行ったらどうなってたかと思うと身震いするぜ」
ギリウムさんがしみじみと言う。
「だが、これだけのことをしてくれたシモンたちにギルドとして何も報酬を出さないわけにはいかない。
とは言うものの、これからいろいろと物入りだってことも事実だから金銭的な報酬は貸しにしておいてくれ。
王家のギルドとも相談して必ずなんとかすると約束する。
ギルドマスターがそう言い張るので、俺としてもムリに断るわけにもいかない。
そういうことにしておいた。
「あと、冒険者ランクだがSランクに昇格できるように手配する。
これも、ちょいと俺の一存じゃムリだから、王都のギルドの承認が要るがこれは問題ないだろう。
手続きたらなんやらで半月ほどかかるだろうが」
「あまり待ちたくはないんですが」
「いや別に待って貰う必要はない。
承認が降りれば、旅先でどこのギルドでもいいから、カードの更新の時に書き換えられるはずだ」
「わかりました、それではそういうことで。
あっと一応言っておきますが、2・3層はまだ多くのモンスターが残ってると思いますので、初心者冒険者が入るときには注意するように言っておいてくださいね」
「精鋭メンバで様子を確認するまで開放しないようにしておくよ」
「よろしくお願いします。
それでは俺たちはこれで」
「もう行ってしまうのか。少しゆっくりしていけばいいのに」
ギルドマスターはそう言うが、ここも旅先で宿をとってとかなるとそうそうのんびりもできないしな。
今からなら、少々遅くなるが世界樹の森経由でエルフ村まで行ったほうがのんびりできそうだ。




