7-7 ダンジョン突入
現地まで連れて行くと危険そうなので、馬は冒険者ギルドで預かってもらうことにして、俺たちは歩いて、ダンジョンへ向かった。
街からダンジョンまでは徒歩でもすぐ。すぐ近くだからこそ、今回の異常湧きが危険ってことだ。
放置すれば街がモンスターに襲われる可能性も高い。
現地につくと、大勢の冒険者たちに混ざって、ギルドマスターたちも待機していた。
見ているとダンジョンから這い出てくるモンスターは数分ごとに2-3匹というところか。
切羽詰まった状況ではなさそうだな。
冒険者たちは見知った顔はなさそうだ。
初心者が多い街だからほぼ見知った面々は卒業済みなんだろう。
俺はギルドマスターに声をかけた。
「マスター、どんな様子ですか?」
俺の顔を見てギルドマスターはじめ、ファルさんやギリウムさんといったギルド職員の人たちも集まってきた。
「いいところに来てくれた。
もう2-3日もすれば、大規模な討伐隊を編成できるはずだから、手伝ってくれないか」
「俺たちにまかせてもらえませんか?」
俺の提案にギルドマスターは困った顔で、
「初心者向けダンジョンとはいえ、ありえないくらいの数だ。
いくらなんでも少数ではムリがあるんじゃないか」
「結構鍛えて強くなってますよ。
そうだなぁ、全員が認定試験受けたときのアリサより使えるようになってると思うんですけどね」
「SSランク4人のパーティーってか?
それならいけるか……だが、ムリしないでくれよ」
「ムリはしませんよ。
他のパーティーと混ざると派手な魔法が使えなくなりますからね」
「頼んでいいのか?」
「まかせてください。
で、状況なんですが、中に生存者は?」
「もう誰もいないはずだ。
1層は確認済みで遺体も回収済みだ。
2層以降は未確認だがとてもムリだろう」
「わかりました」
ギルドマスターの表情は不安そうだが、俺には自信がある。
アリサも問題ないって言ってたしな。
気をつけるのは数だけ。
こういった戦いも魔王との戦いに向け、いい予行演習になるだろう。
俺たちはすでに冒険者ギルドで戦闘用装備に変更済み。
アリサの戦闘用装備が何故ミニスカートなのかは疑問なんだがな。
入念に補助魔法をかけて、俺を先頭にダンジョンへ踏み入れた。
ダンジョンは昔見た記憶とは違って壁は紫色に変色し、何か唸るような音が聞こえてくる。
中はもうモンスターたちが視界の続く限りギッシリ詰まっている。
どうやら、1層のモンスターだけでなく、2-3層のモンスターも混ざっているようだ。
アリサはすでに長い詠唱にはいっている。
3人で壁をつくり、アリサの詠唱が妨害されるのを防ぎつつ、その詠唱が終わるのを待つ。
アリサが究極火炎魔法の詠唱の最後の言葉を紡ぐ。
「百億の息吹を持って我が敵を焼き尽くせ。インフェルノ!」
ダンジョンの1層全体を業火が襲った。
業火は30秒ほど続き、業火が消えた後に生きているモンスターの姿はなかった。
フロアボスを含めたすべてのモンスターを焼き尽くしたようだ。
初めて見たけど、とんでもない魔法だな、これ。




