33
問題は、「評価シート」を目的に目指していた小説賞への応募作が書けていないことだった。
出すや、出さざるや。悩みつつも、何か、書きたいものを自分自身の中で探っていく。
その間は読んで、読んで、読みまくる読専と化した。
そうするうちに、ふと、ダンジョンものが書きたいという気持ちが湧いてきた。その気持ちを整理していくと、次々と設定が浮かんでくる。
浮かんできた設定をそのまま書き殴っていき、ダンジョンがある世界がどんどん構築されていく。
そうやって、ひとつの世界がある程度、形を見せた瞬間。
それを文章にしよう、という意欲が生まれた。おれの中に、はっきりと、だ。
ただし、そうなったのは10/16で、小説賞の〆切は10/31だった。
あまりにも動き出しが遅すぎた。でも、これはおれの心の問題なのだ。どうしようもなかった。
この世界について語りたい。
その思いだけで書き殴っていく。ろくに推敲もしていない。次から次へと書き進めていく。
気がついたら規定枚数を書き終えていて、応募を済ませていた。10/22のことだった。
たった1週間。それだけで書き上げてしまった。
……設定とモチベーションがあれば、驚くようなことができてしまう。
応募作を書き上げたというのに、書きたいという意欲が消えていかない。ものすごい勢いで書いてしまったからかもしれない。
そのまま、同一場面、同一時間、共通する登場人物で、同時に行われていた別の物語を書き殴っていく。
気付けば、この二作目も、応募締め切り前に書き上げてしまった。
応募するか、『なったろう』で公開するか、どうするべきか、悩んで。小説賞の運営にもメールで相談した上で、〆切直前の10/31に、この2作目も応募した。
こうして、『リアルダンジョンとタイムアタック ~RDTA~』と『リアルダンジョンとタイムアタック ~RDTA、チートなし~』の2作品が出来上がったのだった。
たった半月の出来事だった。




