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春の暖かさのせいだろうか。
去年もこの時期に書けなくなってしまったのだ。
そんなことを思いながら、戻ってこないモチベーションについて、考えないようにして過ごす日々。
イベントに誘ってくれた友人と京都へ遊びに行ったり、すきやきを食べたりして、それなのに貴重な祇園祭はスルーして、ブックオフで立ち読みをするなどと、おかしな時間を過ごし。
「……もう書かないのか? あんなに書くの、好きだったのに?」
ふと。そう、問われた瞬間。
おれは、書きたいものを書いていたのか、書いてほしいと思われたものを書いていたのか、自分自身の創作活動に疑問を持った。
いつからだ?
どうして、こんな感じになった?
おれは自分のことを思い返す。そう、『ボイ伝』だ。あれは、間違いなく、夢中になって書きたいものを書いていたはず。でも、書きたいものだからと、書けるからと、そこでランキングにこだわって、無理矢理、1日に何話も更新して……。
そうして、燃え尽き、モチベーションを失ってから、おれは……。
ずっと、ランキングにこだわってる?
なぜだ?
……書きたいものを書き切って、それでも入れなかったランキング。
自分の書きたいものを書いても、そこに到達できないという厳しい現実。
……ああ、そういう、ことか。
書けなくなって、エタらせて。
研究して、ランキングを狙って。
それを達成しても、それでもモチベーションは保てず。
おれは、今、書きたいものを書いてない。
そのことに気づいてしまったのだった……。




