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書くことに燃え尽きても、読むことはできる。
再び読専状態となったおれは、『なったろう』のランキングに入っている作品を読み漁った。異世界恋愛、現実世界恋愛、ヒューマンドラマ、異世界転生転移恋愛など、いくつかのジャンルをひたすら、読んでいく。
気分転換も必要だろうと、年末の休暇で旅行を思い立った。去年はひたすら『ボイ伝』を書いていたのだから、180度方向転換だ。
目指したのは富山。
なんとなく、路面電車に乗りたかったし、ご当地ラーメンが食べたかった。
移動中の新幹線では、『なったろう』のネット小説をひたすら読み、富山での旅行中は、いろいろなところを歩きながら、「あ、これ、小説に活かせるかもしれない……」などと考える。
ホテルの温泉にのんびりと浸かって、長く息を吐き出す。
世間はコロナでずいぶんと窮屈な状態だった。
旅行を楽しみながらも、考えるのは小説のこと。
「『なったろう』では、「ざまあ」が人気、なんだよな……」
他にも、「もう遅い」とか、いろいろとあるが、基本は、勧善懲悪的な、何か。
「ファンタジーなら「追放-ざまあ」、異世界恋愛なら「婚約破棄-ざまあ」で、現実世界恋愛だと……」
そうして、おれは。
ついに、「NTR-ざまあ」の世界に到達したのだった。




