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まだやれるのかもしれない。
夢をあきらめなくてもいいのかもしれない。
現実世界恋愛で短編小説が日間7位。おれが自信を取り戻すにはいいきっかけだった。ただ、それで自惚れてはいけないと自分を戒める。
そういうことを考えていたおれは、偶然、ひとつの小説賞を見つけた。『ボイ伝』を『なったろう』とコラボしている小説賞に出すために見ていたウェブサイトで、作品の一次選考通過で「評価シート」がもらえるという小説賞があったのだ。
「これ……自分の文章力とか、見てもらえるってことなんじゃ……」
自分の力量を客観的に知るためのいい機会かもしれない。
そう考えたおれは、この賞に応募するために、新作を書こうと決めた。
ただし、〆切まではおよそ1カ月。ほとんど時間は残されていなかった。
どんなものがいいか、思いついたことを黒歴史ノートであるアイデアノートに殴り書きして、構想を練っていく。
〆切が近づき、執筆可能時間はどんどん削られていくが、限られた文字数、枚数で話を組み立てるためには、しっかりとアイデアを整理する必要があった。
「今、おれ、書く力がついてる気がする……」
気のせいかもしれない。
しかし、何かを目指すことは、自分を研ぎ澄ませることになるのではないかとおれは思った。




