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なぜ読んでもらえないのか。
おれはそのことについて考え始めるようになっていた。
文章力については、今さらだ。ひたすら書き続けて、高めていくしかないし、他人が詳しく評価してくれるものでもない。『小説家になったろう』のポイントぐらいしか、判断基準がない上に、前作は5万ポイント超えで、今作は100ポイント未満だ。文章力がどうなのか、という参考にはならない。
「そもそも、高校生の恋愛ってだけだと、難しいのか……? あと、『なったろう』的な題名も意識して……」
そこでおれは、注目されそうな部分として、幼馴染というものに目を向けた。
そして、『二人の間に礼儀あり? おれと幼馴染は何マイル? ~幼馴染との距離が縮まらなくてつらい~』を書き始めた。
現実世界恋愛には幼馴染が山ほどいる。これなら、読んでもらえるんじゃないか。題名も、シンプルで短い『スリーバック』とは違って、『なったろう』的な長いものにしてみた。
「『なったろう』読者のニーズである幼馴染、ここをピンポイントで攻める!」
ポイントだけではなく、初めて、『なったろう』読者のニーズというものを意識した瞬間がここだったのかもしれない。
しかし……。
またしてもこの作品は読んでもらえなかった。
おれは、現実世界恋愛の高い壁に敗北したのだった。




