第九十二話
作者「掲載3ヶ月で317万PVとお気に入り7800人を達成しました。読者様には感謝しかありません」
優「派手な能力も大規模な戦闘も無い小説だから見る人少ないと思ってたのになぁ。嬉しいを通り越して混乱したよな」
家に帰ると、舞とお友達二人が待っていた。リビングのテーブルに羅睺阿修羅王像を置くと、三人はまじまじと見つめる。
「ふわぁ、これをお兄さんが彫ったんですか!」
「プロが彫ったって言っても通用するんじゃないですか?」
「だから先生に疑われたのよね」
念の為コピーしてもらって来た彫っている動画もスマホで見せる。再生速度を早めているのでどんどんと姿が変わっていく。
「お兄ちゃん、どこでこんな技術を習得してきたの?」
「別に習った訳じゃないけどな。力を制御する為に器用さを上げるよう努力してきたから、その副産物という所かな?」
前世で粘土細工は好きだったし、姉に同人誌のページが足りないから書けと無茶振りされて漫画を書かされたから多少の絵心はあった。
姉にクレーンゲームで欲しい景品があるから取ってこいと命令され特訓して空間把握能力も鍛えられた。それが功を奏したのだろう。
そういう無茶振りばかりする姉に比べたら、舞のなんと可愛い事よ。溺愛するなと言うほうが無茶だと胸を張って言いたい。
「お兄さん、大丈夫?」
「ありがとう喜久子ちゃん。ちょっと訓練の日々を思い出してね」
舞たちは力を制御する為の訓練だと誤解していると思うが、訂正するつもりはない。気を取り直し聞きたいことはあるかを聞くと、ダンジョンの話をリクエストされたので夫婦鶏との戦闘の様子を話した。
「そろそろ帰らないとまずいだろう。送っていくよ」
「大丈夫ですよ、すぐ近くですから」
「そうですよ、お兄さんに悪いです」
喜久子ちゃんもめぐみちゃんも遠慮したが、女の子に万が一の事があってはならない。子供を狙う卑劣な輩が居ない訳では無いのだ。
恐縮する二人を説き伏せて喜久子ちゃん、めぐみちゃんの順で家に送った。出てきたついでにコンビニに寄りスイーツを買って家に帰る。
「ただいま、ついでにデザート買ってきたよ」
「優、おかえりなさい。この木像凄いわね」
リビングでは両親が木像を見て感嘆していた。この木像、勢いで彫ったがどうしよう。彫った後の事を考えていなかった。
「舞から優が彫ったと聞いたが、こんな特技もあったのか。医院の待合室に飾りたいが構わないか?」
「目的があって彫った訳じゃないから構わないよ」
スイーツを冷蔵庫に入れ、両親に木像を彫った理由を話した。
「また根拠もなく生徒を疑ったのか。優、私立中学に転校するか?」
「いや、プロの仕事と疑われる程の高評価を受けたと思ってるから大丈夫。あと一年半だしこのままで」
あらぬ疑いをかけられた事に父さんは怒っているけど、疑いは晴れたし気にしない。
「これを見て中学生が彫ったと思う人の方が少ないわよ。優は仏師でも食べていけるわね」
少し気合を入れすぎたかもしれない。かと言って、仏様を彫るのに全力を出さないなんて失礼な事は俺には出来なかった。
仏像を待合室へ移し夕食を食べる。夫婦鶏のチキンカレーはいくらでも食べれる程美味しかった。食後に買ってきたぜんざいを食べる。
「お兄ちゃん、これ美味しい!」
「ホイップクリームの甘さと苺の酸味が良いな」
ゆっくりと甘味を堪能した所で父さんから質問が飛んできた。
「優、今年の体育祭はどうするんだ?今年からスキル保有者枠があるから競技に出るのか?」
「俺は今年も止めておくかな。全力を出したら勝負にならないだろうし、手を抜くのもね」
俺は運動会や体育祭に出た事がない。両親は少し寂しそうな顔をしたが、こればかりは仕方ないだろう。
優「景品はフリマサイトで買えば早かっただろうに」
作者「5インチディスクがギリギリ現役だった時代だぞ、ネットなんて影も形もありゃしない」




