第七百六十五話
まずは関中佐に報告だ。時間がある時に連絡お願いしますとメッセージを送っておく。偶々時間が空いていたのか、すぐに連絡が来た。
「お疲れ様です玉藻様、何か不具合が発生しましたか?」
「時間を取らせてもうて済まぬの、関中佐。幾つか報告する出来事が起きたのじゃ」
まずは不測の出来事があり、軍用食を軍人ではない母さんや舞、ニックとアーシャにも使った事を報告した。父さんは軍属で作戦参加者となっているので問題ない。
「それくらいなら現場裁量という事で問題ありませんが・・・一体何があったので?」
「昼食用に用意していた食材を別の事に使ってしもうてな。妾達だけでは進めなくなってしまった故、助力を頼んだのじゃ。その方々への歓待にのぅ・・・」
「助力って、外部の者にですか?えっ、ちょっ、ダンジョンの深部でどうやって?」
軽く混乱する関中佐。滝本家とロマノフ家の者に助力してもらったならばこんな言い方をしない。つまり、迷い家で連れ込んでいない者に助力してもらったという事だ。
浅い階層ならば他の探索者に助力を頼んだという事もあり得るだろう。しかし、ここはダンジョンの最深部だ。ここまで辿り着いたのは世界でも玉藻様御一行しか居ないのだ。
そんな場所で誰かに助力を頼んだという。一体誰にどうやって頼んだのか。大体、許可された者しか入れぬ皇居ダンジョンにどうやって助力者は入ったのか。突っ込みどころが多すぎて大渋滞を引き起こしている。
「助力を頼んだのは八意思兼命様と宇迦之御魂神様、素戔嗚命様の三柱の神々じゃよ。三十九階層が最奥じゃったが、ダンジョンの設定を変える制御区画に入れなんだ」
「ひえっ、か、神々のお力をお借りしたと・・・」
俺も半神となっているが、生まれは人だ。純粋な神々のお力を借りたという話は衝撃が大きかったのだろう。関中佐は暫く絶句して反応が無くなった。
「詳しいお話を聞きたいような聞きたくないような・・・」
「地上に戻り次第報告書を上げる故、それを読めば良かろう。それとのぅ、神々にお会いした事で皆が疲弊しておる。少々休んでから戻る故、帰還は夕刻になりそうじゃ」
「日程はまだ余裕があるので構いません。今日の夕刻から帰還開始となると、地上へのお戻りは明後日辺りでしょうか」
ああ、制御区画で変更された内容を伝えていなかったか。それも早めに伝えておかないとな。
「いや、八意思兼命様が設定を変えてくださり、一瞬で戻れるようになったのじゃ。地上の渦で入る階層の選択を、階層間の渦で地上への帰還も選べるようになっておる」
「そっ、そんな事が可能で・・・いや、玉藻様が嘘の報告をする理由はありませんな。それは全てのダンジョンに適用されるので?」
「残念ながら設定を変えた皇居ダンジョンのみじゃな。他のダンジョンもそうするならば、個別に三十九階層まで行き八意思兼命様に頼む必要があるのじゃ」
「至急宮内省に赴き確認いたします。玉藻様はゆっくりとお休みになられてからご帰還を。お戻りになられたら多忙となると思われますので」
神々に助力してもらった事とダンジョンの設定を変えた事。どちらか一つだけでも大ごとだからなぁ。戻ったらどうなる事やら。




