第七百四十ニ話
「滝本君は神使様だから、こんな話し方したらバチが当たるかな?」
「構わないさ、神様から依頼を受けていると言っても根は庶民だからね。そのままの方が嬉しい」
からかい半分といった感じで聞いてくる横山さん。やはり俺が玉藻だと知っていたようだ。まあ、あれだけ報道されていたら知らない筈がないよな。
「で、ここに来たのは滝本君も潜る為なのかな?」
「ああ。彼らの付き添いでね。久し振りに一緒に潜りたいのは山々だけど、仕事だからね」
「中尉殿、お二人が同行されても何ら問題ありません!」
軍曹がすかさず意見を具申し、兵達も頷いて同意している。お前ら、下心が見え見えなのだが?
「あのなぁ、一応軍の作戦行動だぞ。探索者とはいえ民間人を同行させたら問題しかないわ。こら、ブーイングしない!」
正論で窘めるとブーイングを飛ばしてきた。仮にも正規の軍人が、正規の軍人歴一年未満の俺に諭されるって・・・
「まあ、そんな訳でまた今度。アドレスと番号変えてるからこっちから連絡するよ」
「それでメールしても届かなかったのね。まあ、有名人になっちゃったし変えるわよね」
「それじゃあ連絡くれるのを楽しみに待ってるわ。じゃあね!」
連絡する事を約束して今日の所は別行動とした。大宮基地の一同は恨みがましい目で俺を見るが、軍務中なので公私混同は致しません。
「待たせてしまって済まない。確認は取れただろうか?」
「はい、陸軍大宮基地実動部隊による間引きを実行する旨、確かに通知が来ておりました。まさか中尉になるなんて・・・あの時唾つけておけば良かったわ」
受付嬢のお姉さんも俺がここに通っていた時の事を知っている。唾つけてって、当時は中学生だったから確実に事案になっていたからね?
兎も角、ギルド側でも確認が取れたようなので作戦行動に入る。全員でダンジョンの入り口に移動し渦の中に入った。
「鈴代、体に異変は無いか?感情が昂ぶったりとかの異常は?」
「微かに力が湧いてくるような感じはあるが、理性が飛ぶような感じは無いな。違和感を感じたらすぐに報告する」
魔力が濃いダンジョンで何らかの影響を受けるのではと危惧したのたが、その心配は外れたようだ。しかし時間の経過で何らかの異常が出る可能性もあるので、油断せず観察をする。
「ではいつも通りの間引きをお願いします」
「了解。おい、四階層まで進むぞ」
鈴代に異変があった場合を考えて一階層に留まるべきかとも思ったが、魔力が濃くなる先の階層でも異常が出ないかの確認もしたいと言われて承認した。
鈴代はダンジョン攻略を進める為に改造されただけあって、浅い階層ではモンスター達を物ともせず簡単に倒していく。
「彼が正式に加わってくれれば、我々は更に先に進む事が出来ます。楽しみです」
兎を蹴散らす鈴代を見ながら軍曹が呟く。ダンジョンでも異常無さそうだし、鈴代が正式に彼らの仲間になる日もそう遠くないだろう。




