第六百八十七話
「「ぶうぅぅぅぅ」」
現在、右腕と背中にそれぞれ美少女中学生がひっついて動けない滝本優です。迎賓館に戻り怪我の事を言うと、右腕にアーシャが抱きつき背中に舞が抱きついて離れなくなりました。
「父さんも言っていただろ、ただの裂傷だから綺麗に治るって」
父さんの診断を受けた結果、骨や神経に異常は無く安静にしていれば数日で完治すると言われた。
「だけど、お兄ちゃんが怪我をするなんて・・・」
「優お兄さんに傷を負わせるなんて、どんなモンスターが相手だったのですか!」
両親とニックも聞きたそうだったので隼について説明した。それだけだと実感が湧かないだろうから、動画サイトで隼を検索してもらい、その急降下がどれだけ凄いか見てもらった。
「その攻撃に見えにくい風魔法が加わるんだ。風魔法で先制し、本体の突撃で仕留める。厄介なモンスターだよ」
「流石三十五階層、一筋縄ではいかないのだな」
皇帝陛下、感心するのは良いのですがそろそろ皇女殿下に離れるように言ってくれませんかね。あ、まだダメですか。
「お兄ちゃんには、舞とアーシャちゃんを心配させた代償を要求するの!」
「代償って・・・何をすれば良いかな?」
私、怒ってます!と全身で表現する舞が何かを要求しようとしている。一体何をさせようというのか。
「次の週末、舞とアーシャちゃんをお買い物に連れて行って」
「お兄ちゃんとしては叶えたい願いだけど、護衛の手配があるから次の週末は難しいかな」
舞だけならば可能だろうけど、アーシャも一緒となると気軽に頷けない。お忍びで行くにしても影からの護衛を付けるのは必須で、その調整をしなくてはならない。
「そんな事もあろうかと!はい、これ!」
「これって・・・レイスのレアドロップか」
舞が意気揚々と掲げて見せたのは三枚の布切れだった。話の流れからただの布切れである筈もない。そしてその予想は的中しているのだった。
「それ、数が少なかった筈なのによく三枚も借りれたな」
「最近、他のダンジョンでレイスが出る階層が見つかったそうです。そこで落ちたドロップを関中佐が買い占めたそうですよ」
俺の疑問にアーシャが答えてくれた。これが出回って悪用されないように中佐が手を打って回収したから在庫が増えたのか。
「それがあれば身分がバレる可能性は減るけど、万が一の事もあるからな。関中佐と宮内省に相談して、護衛の手配付けて貰ってからにしような」
関中佐と太政官さんに相談した結果、来週の週末にお出かけする事が決定した。場所は元地元の隣の市にあるショッピングモールとなった。
二週間足らずでお忍び要人の護衛という仕事の段取りをする羽目になった警察には同情するけど、秩父の件で貸しがある埼玉県警は断る事が出来なかったようだ。
一週間延びた事に舞は不満そうだったが、数日で護衛計画を練れというのは流石に無茶だ。俺の傷の療養もあると父さんに宥められて渋々納得していた。
そんなこんなでお出かけが決定したが、何事もなく無事に終わってくれる事を宇迦之御魂神様に祈っておこう。




