第二百二十五話
時間がかかりそうなので稲を刈っておく。刈った稲は纏めて雰囲気で作っておいた稲架にかけていく。必要性は低いがあった方がそれらしくなる。
「た、た、玉藻様。迷い家というスキルは物資を好きに持ち込める上に安全な休息も取れると考えて宜しいので?」
「そうじゃよ。これまでダンジョン探索で問題となっておったのはそこであろう?なので宇迦之御魂神様はそれを解決出来る妾を送り込んだという訳じゃ」
「玉藻様が居れば確実にダンジョン到達階層の記録は更新される。これはとんでも無い事になるぞ・・・」
山寺中佐の問いに答えると、関中佐はその影響を改めて考え出した。
「取り敢えず迷い家の説明を終わらせるぞえ。この畑から収穫出来る作物は、取っても短時間でまた実るようになっておる。一旦出れば復活する故、食べ放題と言っても差支え無かろうな」
「それって、理論上無限に作物を収穫出来ると言う事ですよね?」
「それだけでも知られたら各国が血眼になって欲しがるぞ」
畑の説明だけで遠い目をして現実逃避しようとする二人。まあ、そうなるよなぁ。
「あの川にはニジマスや鮎等の魚が泳いでおる。あまり量を取らぬが取れなくなる事は無いと思うておる。一度どれだけ釣れるか検証しておくべきかのぅ」
「あっ、それって多分幾らでも釣れるパターンですね」
「そのうち海の魚も釣れるようになりそうで怖いのですが・・・」
関中佐は達観し、山寺中佐は中々に怖い事を言いだした。そんなフラグを立てると回収されそうなので止めてほしい。
「家屋は至って普通じゃよ。台所に居間、寝室に風呂などごく普通の家と設備は変わらぬ。水道と家電が使い放題という所以外はの」
「水とエネルギーを使い放題というだけでも大概だと思うのですが・・・」
「山寺、もう考えたら負けだろう。そういう物だと割り切るしかない」
おおっ、とうとう関中佐は考える事を放棄したようだ。どう考えても解明出来ないだろうから、それは正しい行動だと思う。
「最後に御社じゃな。どうも宇迦之御魂神様の神域と繋がっておるようで、時折宇迦之御魂神様からの伝言があったりお供え物が宇迦之御魂神様に届く所が変わった点じゃ」
神から人への一方通行になるが各神社が神域と繋がっているので、この御社だけがかなり特別という訳では無い。
「これ、どこまで秘匿してどこまで公開して良いか判断なんて無理だろ。絶対に中将に丸投げしてやる!」
「情報部の元締めがそれで良いのかよ・・・」
気持ちは分かるが、それを判断するのが関中佐のお仕事です。それでトラブルが起きた場合、対処するのは関中佐の情報部ですからね。
一通りの説明が終わったので二人を連れて迷い家から出る。二人は疲労困憊状態だが、最後にもう一つ伝えなければならない事が残っている。
「最後に関中佐、妾との連絡で伝えねばならぬ事がある」
迷い家の入り口を消し、二人が俺に注目する。それを確認して徐ろに妖狐化と女性体のスキルを解き男性の姿に戻った。
「玉藻に連絡を取る場合、俺に連絡を頂ければ大丈夫です。同一人物ですからね」
妖狐の姿から何度も会っている俺に変わるのを目の当たりにした関中佐は、顎が落ちるのではないかという位に口を開けて固まってしまった。




