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第百九十話

 翌日、大宮の商店街で重箱を二つ買って氷川神社に向かう。今回は徒歩で向かい横から参道に入るコースを選択した。


 途中参道から外れ林に入り、人が居ない事を確認して玉藻になり迷い家に入った。素戔嗚尊様に奉納する料理を作る為だ。


 オークカツのカツサンドに夫婦鶏の照り焼きサンド、迷い家産の野菜を使ったトマトサンドを二つの重箱に詰める。


「宇迦之御魂大神様、先日はありがとうございました。どうぞお納め下さい」


 重箱の一つを宇迦之御魂大神様に奉納する。京都まで行かなくても奉納出来るのはありがたい。


 もう一つの重箱とお土産を持って迷い家から出る。木々の間を縫って人目に触れず本殿の側まで辿り着く事が出来た。


 しかしここからは姿を隠せる樹木など存在しない。拝殿の前まで行けば姿を衆目に晒す事となる。暫く伺うが参拝客は途切れない。


 夕方まで待てばチャンスもあるかもしれないが悠長に待っていられない。消える所を見られて騒ぎになるかもしれないが放置しよう。


 色々な憶測が飛び交うだろうが、正解を言い当てられても証明しようがない。世間に説明する義務も無いのだから責められる謂れもない。


 方針を決めたので木の陰から出て拝殿に向かい歩く。俺に気付いた参拝客が騒ぎ出しスマホを向けてきた。


 それを無視して賽銭箱前に立つ。重箱とお土産を包んだ風呂敷を片手に持ち二礼をすると空気が変わった。無事に神域へと招かれたようだ。


「よくぞ参った」


「お久しぶりにございます。訪問の間が開いた事をお詫び致します」


「気にせずとも良い。多忙であった事は承知しておるし、我らにとって半年などあっという間よ」


 素戔嗚尊様の不興を買っていなかったようで一安心。俺は風呂敷包みを解いて中身を差し出した。


「先日京の都を訪れましたので、当地にて売られていた菓子を持参致しました。こちらは手料理に御座います」


「これは楽しみだ。前の料理は美味であった。我への思いが籠もっておったわ」


 奉納が終わると雑談に入った。素戔嗚尊様からは前回奉納した料理の感想をいただき、俺からは憲兵隊が武術を習得していると聞いた事を話した。


「ところで素戔嗚尊様、一つお聞きしてもよろしいでしょうか?」


「良いぞ、我に答えられる事なら答えよう」


「以前ダンジョンの成り立ちをお聞きしましたが、レアドロップについてはお聞きしましたが宝箱についてのお話しはありませんでした」


 これまで上機嫌だった素戔嗚尊様のお顔が曇る。お聞きしたらマズイ事なのだろうか。


「申し訳御座いませんでした。今の発言はお忘れ下さい」


「いや、話す事自体は構わぬのじゃ。しかしあやつらがやった行いを思い出すと頭が痛くなってくるのでな」


 どうやらダンジョンに宝箱が出るようになった経緯には素戔嗚尊様が頭を抱えるような出来事が起因しているらしい。


「お聞きするのが怖くなってきたのですが・・・」


「まあ、知っておいて損はない。知ってどうなる物でもないがな」


 素戔嗚尊様は話し始めた。ダンジョンが転移してきた後、何が行われたのかを。ダンジョンの宝箱。それが出現するようになった経緯には北欧に住む二人の神が関わっていたのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 北欧の神でやらかしちゃうようなのって何柱か思い当たりますが、どなたも力は一級品だけど性格に難ありなのばかりですね
[一言] 北欧神話って時点で嫌な予感しかしない
[気になる点] そっか他国の神話も取り込んでるのか
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