第百四十二話
作者「おおっ、読者様からざまあを望む声が!」
優「そりゃああの態度はなぁ。あんな教師居るのか?という声もあったな」
作者「あそこまでじゃないが、県立高校の教師に『虐められるのはお前に原因がある。お前がそれを直せ』とか言われたな」
翌日の朝、私立ベルウッド学園のホームページを確認し転入に関する問い合わせを記入しておいた。相手の反応は早く、直接経緯を聞きたいとの事で土曜日の午後に伺う事となった。
その週の土曜日、俺は父さんとベルウッド学園に赴いた。その学園は池袋にあり、駅から二十分程歩いた場所にあった。
受付で用件を話し、案内をしていただく。どうやら学園長さんが話を聞くという事で、学園長室へと通された。
「ようこそ。そちらにお掛け下さい」
「この度はお時間を頂きありがとうございます」
学園長さんは五十代くらいの男性で、柔らかい物腰の人だった。俺と父さんは進められるままに設置されている応接セットのソファーに座る。
「学園長の鈴木です。こんな半端な時期に転校とはかなり込み入った事情があるかと思いますが、お教えいただけますか?」
「はい、実はある事件の絡みで・・・」
父さんは正月の事件から学校の対応までをそのまま話していった。あまり表情を変えない人だったが、大人数に襲われた下りでは眉を顰めるのを抑えられなかったようだ。
「そんな理由で私達は今の学校を信用出来ません。なので息子を転校させるべきと判断しました」
「それは、私がお父さんの立場でも同じ判断を下したでしょう。同じ教育者として看過できません、転入試験を受けられるよう手配しましょう」
ありがたい事に、学園長さんはこちらの事情を汲んで転入試験の手配をすると言ってくれた。それは助かるのだが、少々懸念がある。
「ありがとうございます。しかし懸念がありまして、前の学校からまともな内申が来ない可能性があるのです」
「それはご心配なく。実は連絡を受けてうちでも少々調べさせてもらいました。御子息なら何も心配要らないでしょう」
その後必要書類を受け取り、連絡先を伝えて試験の日程が決まり次第連絡してくれる事となった。俺と父さんは学園長にお礼を言って退室した。
あまりにもトントン拍子に話が進んで拍子抜けした気分だったが難航するより良い。
「あの学園長さん、人が良いふりをしていたけど食わせ物かもしれないな」
「名字が鈴木だもんね。間違いなく鈴木商店の一族でしょう」
鈴木商店。それは神戸で生まれた大財閥。小さな砂糖販売店からスタートし、樟脳の取引で大きくなっていった。
前世では第一次世界大戦の需要で更に成長し、終戦による需要減と米騒動の時の冤罪で業績が悪化。昭和二年に消えるという運命を辿る。
この世界では戦争需要の代わりにダンジョン素材で成長し、今でも大財閥として各種事業を行っている。
「多分事件の事も調査済みなんだろうな。その上で聞いてきたと思う」
「多分、父さんの説明と自分達の調査に違いがないかも判断の一因になってるね」
おっかない面もあるが、きちんと調査をして公正な判断をしてくれると考えると頼もしくもある。少なくとも今の市立中学校とは比べるまでもない。
「後は試験次第だな。優なら大丈夫だと思うが油断するなよ」
「うん。できるだけの試験対策はやるつもりだよ」
こうして転入する学校の目処はついた。後は俺が試験で下手を打たないようにするだけだ。
「そういえば、体質の事とスキルの事言わなかったけど大丈夫かな?」
「・・・多分そこも調べてるだろう」
しっかりしているようでどこか抜けている親子であった。




