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第151話 オリジナル魔導器の製作

 アルバート・アンピエールが第一著者(ファーストオーサー)の論文を手に取り、抄録部分にざっと目を通す。どの論文も意欲的かつ挑戦的で新奇性があり、その着眼点に興味を惹かれた。


 なかでも、『五輪彩華(ごりんさいか)』と名付けられた簡易術式に関する論文は、無属性エーテルを五属性の属性エーテルに変換する試みが特に独創的だ。


 図で示されている術式基盤は、ルーン文字で構成された五輪の花のような形状をしており、それぞれに火、水、土、雷、風の変換術式が記されている。プロフェッサーの実験結果によると、エーテルの変換が上手くいかず、非常に微弱なものにしか成り得なかったため、未完成の術式になったと考察されている。


「……追試してみるか」


 追試というのは、このプロフェッサーが行った実験をもう一度その通りに行い、結果を確かめてみることだ。再現性を確認したいということもあるが、単純に僕自身の興味によるところが大きい。論文や図表を見るだけでは見えて来なかったもの――つまり、プロフェッサーが自身の実験から考察として書き切れなかった事象をこの目で見たくなったのだ。


 白紙の術式基盤と魔墨を手許に用意し、実際に『五輪彩華』の簡易術式を描いてみる。エーテルを流して起動すると、五色の花に美しい光が灯った。


 だがやはり、実験結果にあるように、その光はかなり弱々しく、今にも消えてしまいそうだ。


 おそらく、エーテルを五属性に分ける過程でエーテルが五等分されるから一つ一つは非常に弱い属性エーテルになるのだろうな。


 プロフェッサーの理論のとおり、属性の変換自体は成功している。だが、出力が五分の一では限定的な用途でしか活用できない。しかも、術式を追試してわかったことだが、術式が複雑化しているせいで、起動するためにもかなりのエーテル量を消費するため、効率が悪くなっているのだ。


 試しに流すエーテルを意識して増やしてみると、微弱だった光がやや強くなることが確認できた。

 やはりこれでは、液体エーテルを流して使用するエーテルの量を増やしたとしても、燃費が悪すぎてまるで使い物にならないだろうな。とはいえ、そこを解決すればかなり使えるようになりそうだ。


 良い着想を得たことだし、この追試を基として、どの属性エーテルを流しても『雷のエーテル』に変換して出力させる簡易術式を作ってみることにしよう。


 プロフェッサーは五属性への同時変換にこだわったようだが、属性を絞ることで簡易術式の簡略化の道が見えてくるはずだ。


 せっかくだから、簡易術式にさらに付与魔法の術式を描き込み、イメージした箇所に電流を発生させることが出来れば、ホムのプレゼントになりそうだ。


 理論が固まれば、あとは外側をどうするか決めなければな。そう考えながら作業台の部品を物色していると、ちょうど手のひらほどの大きさの鍵のような形の術式基盤付きの部品があるのを見つけた。


 これなら持ち運びにも便利だし、『五輪彩華』になぞらえて、五輪の花の様な形をしたオブジェをつけても映えるだろう。花びらを雷の魔石で構成し、雷属性に変換しやすくしておけば、エーテルの効率もよくなるはずだ。


 鍵のようになっている部分の先端にはエーテルを集中させるための針を仕込んで、エーテルが分散しないようにしてもいいな。使わないときは針を本体に格納できるような仕掛けを加えれば、ホムも安心して携帯できるだろう。


 魔導器を設計し始めると、次々にアイディアが浮かんでくる。作業に集中した僕は、雷への属性変換を主目的とした小型魔導器を完成させ、飛雷針(ひらいしん)と名付けた。



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