第82話 エリザベスの友達日記
今回は少し短めです。
2/15 誤字修正しました。
私、フランとアイリとお友達になったことを機に日記をつけることにしましたわ。
と、慣れるまでは日記をつけるたびに書くことで思い出すようにしているのです。
私は公爵家の娘。
王族に嫁ぐことになるようで、赤子の頃から様々な教育を受けておりますわ。
そのせいか私は割と大人びていると自分自身で思うのです。
でも、習い事ばかりで同年代の子と触れあう機会が全くなく、友達は一人もいなかったのですわ。
メイドのスーや執事のスチュアートとは年齢が近いとはいえ、それでも10歳近く年上だもの。しかも上下関係があるから友達って感じではないのです。
だから対等にお話しできるフラン、アイリとお友達になったときは、本当に心の底から嬉しかったのですわ!
友人の二人を紹介しましょう。
フランは可愛らしく聡明な子。
彼女は何といっても私の初めてのお友達ですわ。
私が公爵令嬢と知っても同じように接してくれるし、気が合うし、気遣い上手だし、フランがいないなんて考えられませんわ。
彼女は私が知らないことをたくさん知っていますわ。
私は習い事で色んなことを学んだと思っていたけれど、街のことについては全然知らないも同然でしたの。
そんな私はフランに教えてもらいましたわ。
冒険者ギルドではどんなことでみんなが困っているのか、冒険者たちは何を思って日々生きているのか、街ではどんなことが話題になっているのか、魔物の動向はどうなのか、などなど。
ざっくり書いたけどもこれだけあるし、覚えてることを細かく書いていくだけで何日もかかりそうですわ。
印象に残ったものは後日時間があるときに少しずつ書いていくとしましょう。
フラン本人は気づいてないことがほとんとですけど、ネコミミやしっぽを含めて表情が天気のようにコロコロ変わるし、とても可愛らしいし、楽しそうに話すし、本当に素敵な子ですわ。
そして可愛らしいだけじゃなく、とても聡明な子でもあるのですわ。
フランは資料室で勉強したと言っていましたわ。
それだけのはずなのに、優秀な教師から教わり、努力している私に何事もなく並んでいる時点でありえませんわ。
しかも本人は暇潰しに勉強しているけど、気分でやったりやんなかったりって言ってましたわ。
そんな天才な彼女はよく得意気な顔でんふふんと調子には乗るけど、驕ることはなくそこも魅力の一つなのですわ。
あと、よくハグをしてくるけど、日に干した布団のようにぽかぽかと暖かいし、なんだか良い匂いがしますわ。
獣人はみんなフランのような感じなのかしら?
フランのことや、フランが話してくれたこと、私が感じたことを書いていくだけで本ができそうですわ。ふふっ。
アイリはムーンライト男爵家の令嬢。
習い事ばかりの私とは違い、自由を楽しむ魅力的な子。
最初こそフランのことが心配で脅すようなことを言ってしまったけど、お茶会前の手紙のやりとりで謝って以降、彼女とも打ち解けて友達になれましたわ。
フランの手紙にあった通り、アイリはとても感じのいい子でしたわ。
もちろん、脅してしまったことは即座に謝りましたわ。
アイリはとにかく色んなことにチャレンジしていますわ。
失敗談も多いけど、それを笑い話にできる心の強さ。
失敗しても、やりたいことを次々見つけていける行動力。
そして話しているときの目の輝き。
物心ついたときから公爵家の娘として恥ずかしくないよう、学や教養を身に付けるために習い事を淡々とこなすだけの私には彼女がとても眩しく見えましたわ。
もちろん、彼女の様子を見ると、やりたいことだけをやってるだけではなく、貴族としての学や教養をしっかり身に付けていますわ。
その上で好きなことをやりとおしているのです。
素直に尊敬できると同時に公爵家の娘として負けていられないと燃えますわ!
私は、あの日、黙ってお忍びで街に出て本当に良かったですわ。
ああ、神様。
ただただ与えられたものをこなすだけの空っぽな私に、なんて素敵な友人と巡り合わせていただけたのでしょう。
感謝申し上げますわ。
私はこれからも彼女たちといても恥ずかしくない私でいられるように努めますわ。
さて、今日はこの辺にしておきましょう。
続きはまた今度ですわ。
エリーは二人と友達になるまでぼっちであり、日々過ごす日常にどこかむなしさを感じていました。
そのせいもあり、フランとアイリの影響力がとても大きかったりします。
次回更新は2/16(金) 19:00の予定です。




