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ネコミミ娘に転生したので楽しく気ままに生きたい  作者: 星川 咲季
■第4章 それぞれ思ってること編(6~7歳)
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第78話 マリアンナの独白2 - やらかしたフラン

ちょっとお下品な表現が含まれますので、苦手な方はそっとブラウザを閉じてくださいませ(^^;)


 子どものやることって面白いわね。

 そう思って放っておいたあのときの私をひっぱたいてやりたいわ。

 その時のことはこうよ。


 「むぁーー!」


 お手洗いの方からフランの驚く声が聞こえたわ。

 まあこれくらいならいつも通りなのでさして気にしなかったけど、その日はそれで終わらなかったのよね。


 「うわああぁぁぁーーーん! おとうさーーん!! おかあさーーん!!」


 ワンピースの裾をたくしあげて下半身すっぽんぽんのままフランがお手洗いから飛び出してきたわ。

 もちろん、リビングにはケインもいたわ。


 「フラン、どうしたの? あと早くワンピースの裾を下ろしなさい。その格好ははしたないわよ?」


 ケインが盛大にむせてるしね。


 「え?」


 フランはきょとんとして自分の格好を見下ろすとあっという間に顔とネコミミが真っ赤になった。

 あらあら、6歳でもう恥ずかしがるなんてすっかり女の子ね。

 それにこういうちょっと抜けてたりするところがケインそっくりで可愛いわ。


 「きゃあああぁぁぁーー!! 見ちゃダメーーー!!!」


 「ぐふぁっ!」


 ケインは完全にとばっちりよね。

 でも、飛び蹴りなんてしたら丸見えよ?


 「ほら、落ち着きなさい」


 私はフランを落ち着かせ、綺麗なタオルを濡らしてお股を拭いてあげた。



 「それで、何かあったの?」


 フランはドロワーズをはいてなく、エプロンもないせいかちょっと恥ずかしそうにしてるけど、ようやく落ち着きを取り戻すとぽつぽつと話し始めたわ。

 もちろん、少し離れたところにいるケインも一緒に聞いてるわよ。


 「えっとね、お手洗いでおしっこしてたらね、スラちゃんがピカッて光ってね、なんか変わっちゃったの」


 どうしよう。

 途中から意味が分からないんだけど。

 チラッとケインを見ても首を横に振るだけで話を促すようなしぐさをする。

 と、とりあえず話を聞くしか無いわよね。


 「ええと、聞きたいことがあるんだけど、まず、スラちゃんって何かしら?」


 「スラちゃんはね、お手洗いにいるスライムだよ」


 「えっと、ま、前からスラちゃんなんて呼んでたかしら?」


 「ううん、心の中で思ってただけで、呼んだのは今日が初めてだよ」


 「そ、そう。それで、そのスラちゃんが光ったの?」


 「うん」


 まさかとは思ったけど、生活用の魔物(スライム)に名前を付けたのね。

 それにスライムが光るとか……。

 もう私は動揺を抑えるのに精いっぱい。


 「……光る前はいつもと違うことを何かやってたの?」


 「えっと、ちょっと恥ずかしいけど……うぅ……あ、あのね、最近お水に魔力が染み込むか試してるでしょ? じゃあお手洗いでするやつにも染み込んだりするのかなーってやってみたの。体の中だからか簡単だったよ?」


 思わず私は頭を抱えた。

 うちの娘はいったい何やってるのよ……。


 「でね、魔力を含んでるけど大丈夫だよね、スラちゃんって声をかけたらね、魔力がスラちゃんに吸い込まれていったんだよ。そしたらいきなりお手洗いの中がピカーって光ったの」


 私は正直もう嫌な予感しかしないわ。

 だって、今になってフランの話を聞いて気づいたけど、確かにお手洗いの方から魔力を持つ生物の気配がするもの。

 ケインも気づいたのか、複雑な表情でお手洗いの方と私をチラチラ見てるのよね。


 「お手洗いの中から光があふれてきたから驚いて見たらね、スラちゃんがちょっと大きくなってて、何かいつものスラちゃんじゃなくなったの」


 私は一瞬意識が遠のいた気がしたわ。


 もうヤダ。

 これダメなやつよ。

 いや、マジで。

 絶対そのスライム進化してるわよ。


 恐らく状況的には、スライムがあの子の魔力を潤沢に注いだアレを取り込み、かつ名付けられたという奇跡的なタイミングによって進化したんだと思うわ。


 長く生きた魔物は進化するって言われてるけど、こんな方法で人工的に進化するなんて……。

 しかも生活用のスライムが。


 元が危害を加えるような殺傷能力は無いといっても、進化したスライムも同じとは限らない。


 「……ケイン、お願い」


 「! だ、ダメ! スラちゃんをやっつけないで!!」


 聡いフランは今の言葉だけでどうなるか気づいたようで、ケインの足にしがみついた。


 「だが危険かもしれないんだぞ」


 「ヤダ! スラちゃんだって、ずっとこの家で暮らしてきたんだよ!」


 「フラン、わがまま言わないの」


 「ダメったらダメ、だよっ、ぐすっ、私たちの言うこと分かって、くれるかも知れ、ないんだよ、ぅ」


 ついにはポロポロ涙を溢し嗚咽混じりに訴え始めるフランに私たちはどうにもたじろいでしまう。

 魔物は人の言うことが分かるような知能を有するほど危険なんだけど……。


 「お願い! 一回で、いいからっ、ひっく、スラちゃんが言う、こと聞くか、ぐすっ、確かめさせて!」


 あまりわがままを言わないフランが珍しく食い下がってきた。

 うーん、どうしようかしら……。






次回更新は2/4(日) 19:00の予定です。

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