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ネコミミ娘に転生したので楽しく気ままに生きたい  作者: 星川 咲季
■第3章 二人の友人編(5歳)
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第75話 公爵様と男爵様


 あのお茶会から2週間が過ぎた。

 この間、私はいつも通りに回復魔法のアルバイトをし、そしてその資金で手紙を買い、エリーとアイリと文通していた。


 エリーは今週から週1日に休みを入れるようにし、それとは別に午前に魔法の訓練、午後にお茶会をするとのことだった。

 そして午後のお茶会のお誘いだけでなく、午前の魔法の訓練にも付き合ってもらえないかとお願いされた。

 それにどうやらアイリもエリーのとこで魔法の訓練に参加するらしい。

 もちろん、私は二人に会いたいのでOKの二つ返事だし、両親にも許可済みだ。


 一方、アイリは相変わらずアクセサリー作りをしてるようだ。

 普通の5歳児が細工師とか普通は信じられないと思うけど、天才として通ってるらしい。自慢してた。

 他には『この前のことは誰かに言ったり手紙に書いちゃダメよ♪』という内容があった。

 そりゃそうだよね。もちろん私としても話したり書いたりするつもりはない。

 ちなみに私が手紙が書けると知ったアイリはめっちゃ驚いたと返信が返ってきた。

 んふふん、どっきり成功だ。


 そんなわけで金曜日の今日、私は魔法の訓練とお茶会に参加する。

 今日のお迎えも1の鐘(6時頃)が鳴った頃だ。

 気づくと隣にお母さんが並んでた。いつもと違ってしっかり着飾っている。


 「あれ? お母さんどうしたの?」


 「私もファーレンハイト様のところに行くのよ。お仕事の話をしにね」


 お母さんはウインクしながらそう言うと、美少年執事のスチュアートさんに続いて馬車に乗り込んでいった。

 私も馬車に乗り込みお母さんの隣に座った。


 「お仕事ってどんなの? お母さんはもしかしてエリーのお父さんにはもう会ってるの?」


 「もちろんよ。この前フランがお茶会に行く前にケインと一緒にご挨拶に伺っているわよ。お仕事の内容は秘密よ」


 てっきり子ども同士の付き合いかと思った。

 けどよく考えたら相手は貴族なんだし、お父さんとお母さんが既に挨拶に行ってたとしてもおかしくはないか。

 それにしてもお母さんはウィンクしながら口に指を当てて秘密よとか相変わらず可愛いらしい。



 そんなこんなでエリーの家に着いた。

 ……なんかエリーの家って言うと近所にある友達ん家みたいな言い方になる気が……とにかくファーレンハイト家のお屋敷に着いた。


 「マリアンナ様、フランシェスカ様、ようこそいらっしゃいました。主のもとにご案内します。こちらへどうぞ」


 「え? 私もなの?」


 「そうよ。公爵様にご挨拶するからいらっしゃい」


 エリーの手紙にはエリーのお父さん、つまりファーレンハイト様と面会するようなことは一切書いてなかったのでちょっとたじたじだ。

 いったいどんな人なんだろう。


 私は美少年執事のスチュアートさん、お母さんに続いてお屋敷に向かう。

 ダンスパーティーができそうなほど広い玄関ホールを通り、応接室に入った。

 ホールだけではなく応接室の床や絨毯はとても綺麗だし、壁の絵や調度品はセンスよく飾られている。

 庭園もすごいけど、お屋敷の中はもっとすごい。まるでおとぎ話や映画の中に迷い込んだみたいでとても素敵だ。

 でも、メイドさんはこんな高価そうなものを掃除しないといけないとか神経がすり減りそうで、中身が小市民な私はちょっと心配だ。


 「おかけになってお待ちください。何かあれば私に申し付け下さい」


 スチュアートさんは私たちにそう言ったあと、部屋の外にいるメイドさんに私たちを案内したことを伝えた。

 メイドさんはファーレンハイト様に伝言しに行くんだろう。


 少しするとスチュアートさんが扉を開けた。


 「マリアンナ様、フランシェスカ様、準備が整いました。ご案内いたします」


 私たちは応接室から出て会議室のような部屋に通された。

 部屋の中は丸いテーブルがあり、金髪でクールダンディーな雰囲気のおじさまと、灰色の髪でたれ目で柔らかそうな雰囲気のおじさまがいた。


 さすが貴族!

 容姿レベルが超高い!


 クールダンディーなおじさまがエリーのお父さんだろう。瞳の色はエメラルドグリーンではなく茶色だけど目元がそっくりだ。表情はキリッとしておりとても知的に見える。

 一方、灰色のおじさまはアイリのお父さんだろう。たれ目なところとか金色の瞳がそっくりそのままだ。

 二人とも見た目はお父さんと同じくらいで30歳前後だろう。貴族の当主って壮年のおじさまってイメージがあったのでかなり若く見える。


 お母さんは部屋に入り、ある程度近寄ると「ごきげんよう」と言いつつカーテシーをする。私もお母さんに倣ってカーテシーだ。

 応接室で待ってる間にお母さんがカーテシーをしたら真似すればいいと教えてもらった。


 「ほう」


 クールダンディーなおじさまは私のカーテシーを一瞥して感心したかのようだ。

 んふふん、前世ではこっそり練習してたし、この前のお茶会でエリーとアイリに指導してもらったしカーテシー自体は特に問題はないのだ。


 「マリアンナ殿、わざわざご足労痛み入る」


 「もったいないお言葉ありがとうございます」


 公爵様は偉ぶらずにお母さんに労いの言葉をかけてくれた。


 「そなたの隣にいる子の紹介をしてくれないか?」


 「もちろんです。フラン、公爵様と男爵様にご挨拶して差し上げて」


 「はい」


 予想通り金髪ダンディークールなおじさまがエリーのお父さんなようだ。


 「初めまして、ファーレンハイト公爵様、ムーンライト男爵様。私はケインとマリアンナの娘、フランシェスカです。エリーとアイリの友達です」


 「私はフレッド・フォン・ファーレンハイトだ。さすがはマリアンナ殿の娘だな。普通は私を怖がってまともに挨拶もできんぞ」


 「そうなのですか? こんなにカッコいいのに怖がるなんてもったいないです」


 若干眼光が鋭いが、クールダンディーなおじさまなんて前世で絶滅危惧種だったのだ。マジでもったいない。

 それにうちのお父さんもイケメン度合がヤバいし、イケボでもあるし、イケメン耐性は多少なりともあるから大丈夫だ。


 「ふっ、ははははっ! エリザベスから貴女のことを聞いてはいたが、よくできた娘だ! 気の強いうちの娘が懐くわけだ。どうか仲良くしてやってくれ」


 「もちろんです!」


 「次は僕だね。僕はグレイ・フォン・ムーンライトだよ。いつも娘がお世話になってるね。変わった娘だけどよろしく頼むよ」


 「はい!」


 「マリアンナ殿、素晴らしい娘の紹介ありがとう。身分故に友人付き合いに苦労するかもしれないがその子はきっとうちの娘にいい刺激になるだろう。改めて礼を言う」


 「恐れ多いです。ありがとうございます」


 どうやら私は公爵様のお眼鏡にかなったらしい。

 良かった。

 こんな奴はうちの娘の友達にふさわしくないなんて言われなくて。


 「フランシェスカ嬢、ここからは仕事の話だ。使用人に案内させるからエリザベスとアイリーン嬢のところに行っておいで」


 「はい、お気遣いありがとうございます」


 「うん、いい返事だ」


 こうして公爵様であるエリーと、男爵様であるアイリのお父さんに挨拶は済んだ。

 受付嬢のサラさんみたいに優しい貴族でよかった。







次回更新は1/28(日) 19:00の予定です。

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