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ネコミミ娘に転生したので楽しく気ままに生きたい  作者: 星川 咲季
■第3章 二人の友人編(5歳)
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第74話 旅行の楽しさを語ってみた


 昼食を終えた後、午後は普段何をやってるのかという話題になった。


 「(わたくし)は言語学、算術、歴史などの勉強、作法やダンスなどなど様々なお稽古をしていますわ」


 なにそれ怖い。

 貴族の英才教育ヤバい。

 いくらなんでも5歳児にやらせ過ぎじゃ……。


 「エリー、大変じゃないの?」


 「特に大変とか思ったことはないですわ」


 「あなた、それじゃあお屋敷から出かける時間なんてないんじゃないの?」


 「ええ、そうですわ。先日二人と出会った日は、実はたまたま1日空いた日で、初めて街中に行ったのですわ」


 なんか上級貴族(?)って幼少からブラックすぎじゃ?

 私としては前世が過労死だったので他人事じゃない。


 「今日みたいに休むことも大事なことだよ。週に2日は自由な日がないと心が疲れていつか壊れちゃうよ。エリーはもっと自分がやりたいことをしていいと思うよ?」


 「ありがとう、フラン。そうですわね、これからはお二人と毎週お茶会がしたいですわ」


 「賛成よ! アタシも二人と会って話したいし、お茶会しましょうよ!」


 「うん! 私も賛成! あ、でもどうしよう!? さすがに毎回新しい魔法をお土産で披露するのはできないよ!?」


 「何慌ててるのよ。あんなすごい魔法を毎回持ってこられたら世界がヤバいわ。アタシも毎週のように新作なんて無理よ。そんなこと気にしなくていいと思うわよ。ね? エリー?」


 「そうですわ。別に手ぶらで構いませんわ。ふふっ、慌ててるフランも可愛らしいですわ」




 気を取り直して次はアイリの番だ。

 アイリもエリーと同じように勉強や作法など習い事はあるそうだけど頻度は少なく、もっぱらアクセサリー作りにはまってるそうだ。


 「本当はアクセサリーだけじゃなく、もっと色々と作りたいのよね~。魔道具を作ってみたいわ」


 「なんで?」


 「ロマンよ、ロマン! っていうのもあるけど、高級品でポンポン買えるものじゃないし、魔術で代用できるらしいのよね。何よりアタシが欲しいと思えるものが無いのよね」


 魔道具とかファンタジーでお約束だけど、私は町中でほとんど見たことがない。

 魔術で代用できるってことは生活魔術くらいの魔道具しかないのかな?

 それなら便利だとは思うんだけど、貴族のアイリが高級品っていうくらいなら、超高いのかもしれない。


 「今は大したものが無いし貴族の趣味のようなものしかないけど、魔道具は絶対広まるわ! だから少しでも早く手を付けたいし、アタシが欲しいものが無いのなら作りだすしかないもの!」


 アイリは魔道具作りに可能性があると息巻いていた。



 ちなみに冒険者ギルドのギルドカードは、普通に金属のカードだったりする。

 ラノベにありそうな血を一滴でも垂らすと自分専用になったり、討伐数が自動記録されるような謎技術が使われている魔道具ということは一切ない。本当に単なるライセンス証兼身分証明だけするカードだ。

 一応言っておくと、スキルやステータスを判別する謎水晶も無いよ?




 最後は私の番だ。

 私が話したことはもちろんギルドでのことだ。

 資料室の本を読んだり、回復魔法のアルバイトをしてることを話した。


 「でね、そもそもなんで本を読んだりアルバイトでお金を稼いでいるかって言うとね、将来、世界旅行したいなあって思ってるんだ」


 「まあ、世界旅行ですのね。素敵ですわ。でも、外壁の外には魔物がいて危ないのではなくて?」


 「そうよ、確かに旅行はいいと思うけど、いくらなんでも危険よ」


 だよね。普通はそう思うよね。

 前世の趣味が旅行だったとは言えないけど、でも、私の情熱は押さえられないのだ!


 この王都ですらすごく楽しい!

 それが資料室にある本、特に冒険者たちの旅の記録的な本を読んだら、この王都に勝るとも劣らず面白いことがたくさん書いてあった。


 魔法なんてある世界だし、王都だけで人生を終えるのはもったいない。

 世界旅行は絶対に前世以上のことが私を待っているはずだ!


 「うん、二人の言いたいことは分かるよ。でも、資料室の本を読んだらね、世界にはすっごくきれいで不思議なことがたくさんあるんだよ! 古の賢龍の山には呪いや病気を癒す不思議な温泉があるとか、洞窟には水晶だけじゃなくミスリルとかアダマンタイトとかの不思議金属が転がってるみたいなんだよ! エルフの国の街は自然豊かな植物で作られた家が建ってるし、森にはアンブロシアって不思議な木の実があるよ! 獣人の国では何年かに一回、陸海空の競技大会が開かれるみたいなんだよ!」


 「へえ、ミスリルは気になるわね」


 「(わたくし)は、エルフの国を見てみたいですわ」


 「でしょ? 見に行けたらいいよね! それに外国だけじゃなくて、この国だってすごいんだよ! この国はいろんな種族の人が暮らしてるしそれが当たり前だと思ってたけど、外国は種族ごとに別れてるんだって! だから私はこの国で生まれてよかった! エリーとアイリに出会えたしね!」


 私のテンションアップが止まらない!


 「世界には私の魔法よりもきれいな風景や不思議なことがたくさんあると思うの! そう思ったら、こう、胸の辺りからワクワクが溢れてくるでしょ! だから多少危なくても旅行したいんだ!」


 「おーーーほっほっほっ!! 素晴らしいですわ! 今の貴女はとても輝いていますわ! フラン、国内だろうと国外だろうと旅行に行くときはぜひ(わたくし)も一緒に行きますわ!」


 「ホント!? やった! 一緒に行こうね! 二人なら楽しくなるよ!」


 「ちょ、ちょっと、アタシを置いていかないでよ! アタシも一緒に行くわ! ムーンライト家のブランドを世界に広めるんだから!」


 「やったー! アイリも行こうね! むぁー、今から楽しみだよ! 早く旅行ができるくらい大きくなりたいな!」


 そんなこんなで午後は午後でとても盛り上がった。

 でもいつまでも楽しい時間は続かず、4の鐘(15時頃)が鳴ったためお茶会はお開きになった。


 私の情熱が届いたのか、エリーとアイリも旅行に前向きだ。

 まあ所詮は5歳児の約束だし、二人とも貴族だから将来本当に一緒に行けるかは分からないけど、ちょっとくらいは期待してもいいよね。

 私は馬車で家まで送ってもらうなか、将来が楽しみでご機嫌だった。






次回更新は1/26(金) 19:00の予定です。

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