第70話 お茶会開始
気づいたらPV 100,000超えてました!
ご愛読ありがとうございますヽ(´▽`)ノ
「フラン!」
美少年執事に案内された先から私を呼ぶ声が聞こえた。
この声に私は自分でもすごくウキウキしてきたことが分かった。
2週間ぶりにエリーと再会だ。気づくと私は駆け出していた。
あ、隣にアイリもいる!
「エリー、アイリ! おはよう!」
「おはよう、フラン!」
「おはよう! 久しぶりね!」
私はエリーとアイリに挨拶のハグをした。
「アイリはもう来てたんだね」
「ええ、アタシの家からエリーの家に近いしね」
「そっか、そうなんだ。それにしてもエリーとアイリはいつの間に仲良くなったの?」
エリーがアイリに向ける視線は2週間前のような視線ではなく、私と同じように親しそうな視線だ。
一方アイリもエリーのことを怖がるような素振りは全くなく、普通に愛称で呼んでいる。
すごい変化だ。
「アイリとは手紙で色々と話しましたの。フランが来るまでの間も話して打ち解けましたのよ」
「エリーったら手紙でも今朝フランが来るまでの間でも、ずっとフランのことばっかり言ってたわ」
「おーーーほっほっほっ! フランは私のお友達ですもの。お友達を自慢するのは当然ですわ! 聞けばアイリもフランとお友達になったって言うんだもの。フランのお友達なら私にとってもお友達ですわ!」
「ぶれないわねぇ。そんなわけでフランを話題にしてたらすっかり打ち解けたのよ」
「そうなんだ。二人が仲良くなって良かった。嬉しいよ」
私の何を話題にして仲良くなったのか分からないけど、内心かなり恥ずかしい。
でもここは中身が大人の余裕をみせるのだ。んふふん。
「あら、やっぱりフランは可愛らしいわね」
「そうよね。クールぶってるけど、すごく分かりやすいわ」
エリーは微笑ましい表情で、アイリはニヨニヨした表情で私を見る。
「?」
二人の視線がネコミミやしっぽに向いてることに気づく。
「……まさかフランって自分の耳の内側が真っ赤になってるのに気づいてないの? それにめっちゃ耳としっぽが動いてるわよ?」
「そんな真っ赤な上に動いてる?」
念のためエリーにも聞いてみる。
「ええ、とっても」
「むぁー!」
私は恥ずかしさのあまりにしゃがみこんで手で顔を覆う。
「こんな感じで打ち解けたのですわ」
チラッと指の隙間から見ると、私が見てることに気づいたエリーとアイリがお互いに頷き握手する。
マジで恥ずかしいから!
そういう追い討ちはいいから!
今は顔まで真っ赤になってる自信があるから!
少しして落ち着いたので、何事もなかったように立ち上がった。
分かってますよと言わんばかりの視線を向けられてるような気がするけどスルーだスルー。
「さて、三人揃ったのだし、さっそくお茶会を始めましょう。スー、持ってきてちょうだい」
エリーはそういうと、大きすぎず、かつ小さすぎずちょうどいい大きさのテーブル席に着いた。私もアイリも後に続く。
テーブルと席は巨大なパラソルで日陰となっており、直射日光を遮っている。
「どうぞ」
阿吽の呼吸と言わんばかりに紅茶とクッキーがテーブルに並べられた。
紅茶には湯気がたっており、いつの間に淹れていたのか謎だ。リアルメイドはヤバい。フラン、分かった。
お茶会はこの綺麗な庭園でやるらしい。
美少年執事もそんなこと言ってたような気がした。
並べられたクッキーは、ケーキスタンド、じゃなくてクッキーだからクッキースタンドに並べられている。こういう小洒落たものって可愛いよね。
それに普段私が食べてる全然甘くないクッキーとは見た目からして違い、とても美味しそうに見える。
でも、真っ先に手を伸ばすとはしたなく見えそうだ。
貴族のお作法なんて知らない。ぐぬぬ……。
「いつでもお好きにどうぞ。最初に取ったり、多く取っても心配には及びません」
私がそわそわしてると、メイドのスーさんがそっと教えてくれた。
さすがスーパーメイド。
私の中でスーさんはすでにスーパーメイドだ。さすスー。さスー。
冗談はさておき、そういうものかと思ってると、アイリはすでに1枚目を食べ終えていた。
別に気にしなくていいなら良かった。
一つ口に入れる。
「あまーい! 美味しー!!」
前世以来の甘いお菓子!
私は嬉しさで目を細め、気づいたときには思ったことをそのまま口から出ていた。
あれね。
小並感ってやつね。
語彙力がないとかいうつっこみは無しね。
薄味になれてるせいか甘すぎるように感じるけど、今は些細なこと。
果物も甘くて美味しいけど、それはそれ、これはこれだ!
「うふふ、気に入ってくれたようね。次は紅茶をどうぞ。別の美味しさを味わえますわ」
甘味をもきゅもきゅゆっくりと堪能してると、エリーは紅茶を勧めてくる。
私はまずは紅茶のカップを手に取り、少しチロチロと飲んでみる。
うん、熱くない。
猫獣人だからか知らないけど、猫舌になった気がする。でも温度は適温だ。スーパーメイドのスーさん、さスー。
今度はちゃんと味わって飲んでみた。
「わぁ、これも美味しい! ノメルの香りがするしお洒落だね!」
「え? そうなの?」
「そうですわ。フランはよく分かったわね」
こんなに分かりやすいのにアイリは首をかしげていた。
なんとなくそうなんじゃないかなーって思ってたけど、猫獣人はやっぱり嗅覚も鋭いようだ。
ノメルって言うのは見た目がレモンっぽい柑橘類の実だ。見たことのある大半のものは前世と同じ見た目と名前だけど、中には呼び方が違うものもある。紛らわしい。
そんなことはさておき、さすが貴族のお茶菓子は最高だ。
「クッキーも紅茶もとっても美味しいよ!」
私は上機嫌で2枚目のクッキーを口にいれた。
美味しさでものすごい笑顔になってるのが自分でも分かる。
「ねえエリー。アタシ、すごくフランをお持ち帰りしたいわ」
「奇遇ね。私も同じ気持ちですわ。それにスーもあの様子だと限界が近いですわ」
スーパーメイドのスーさんをちらっと見ると、プルプルしながら鼻血をハンカチで拭いてる。見なかったことにしよう。
美少年執事はスーさんを見て必死に笑いを堪えている。
いいんか。
ちょっと気恥ずかしさに悶えながら私はクッキーと紅茶を楽しんだ。
次回更新は1/18(木) 19:00の予定です。




