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ネコミミ娘に転生したので楽しく気ままに生きたい  作者: 星川 咲季
■第3章 二人の友人編(5歳)
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第63話 協力関係と友達


 私はアイリが転生者だと分かった。

 でも、その話がどうして助けを求める話に繋がるのかが分からない。

 これから説明してくれると思うけど、とりあえず聞いてみよう。


 「それで、アイリの話だと、私とアイリとエリーがその物語に登場することは分かったよ。それがなんでアイリが助けてほしいってことになるの?」


 私はとりあえず話を促して私の種族について思い出されないように話題をそらす。

 といっても元の話題に戻るんだけど。


 「えっとね、部分的に残ってる記憶によると、その……アタシもあなたも、もしかしたら破滅ルートに入るかもしれないからよ」


 「え? 破滅!? なんで!? 物語に出てくるんだったら大丈夫なんじゃないの!?」


 いやいやいや、意味が分からないんだけど!

 誰が主人公か知らないけど、なんで破滅フラグが立ってるの!?

 私たちがモブだとしても乙女ゲーでモブが破滅っておかしくない!?


 「えっとね、とても言いにくいんだけど……エリザベス様がね、悪役なのよ。で、アタシたちはその取り巻き」


 「え」


 「アタシたちはその取り巻き」


 「ごめんね。耳が疲れたのか聞こえなかった気がするからもう一回いいかな」


 「エリザベス様が悪役で、アタシたちはその取り巻き」



 おーのー。



 いやおかしくない?

 なんでエリーが悪役で、私たちが取り巻きなの?



 「……なんで破滅なのかもう少し詳しく覚えてる?」


 「ええ、多少なら。物語では12歳でアタシたち3人は貴族学校に通うのよ。そして同時に入学する主人公を傲慢になったエリザベス様が3年間いじめ続け、卒業式の断罪イベントで一生幽閉もしくは国外追放を受ける。アタシたちは責任の一端として同じ処罰が下るみたいなの。一番酷いのは、その後に起きるイベントでアタシたち三人は魔物に襲われてデッドエンドってパターンもあったと思うわ」


 「平民の私が貴族学校に入学って時点でつっこみどころだけど、そもそもエリーが誰かをいじめるって私にはとても信じられないよ。だいたい責任の一端があるって、物語の私たちはいったい何をやるっていうの?」


 「物語のフランシェスカはエリザベス様が悪事をするよう(そそのか)す役で、アイリーンがエリザベス様に悪事をするよう煽る役よ」


 私ら言い逃れできないほどの酷い役じゃないですかやだー。


 「私は間違ってもエリーにそんなことしないよ? 例え誰かがエリーを(そそのか)したり煽ったりして誰かをいじめをしようとしたら、むしろ止めるよ? 友達にそんな恥ずかしいことしてほしくないもん」


 「今のあなたを見て絶対にそんなことしないって確信してるわ。もちろん、アタシもそんなことするつもりは絶対無いわよ。更に言うならエリザベス様も酷いことするような性格には見えないし」


 私から見てもアイリが酷いことするような人には見えないし、なんかもう物語として既に破綻しかかってるじゃん。


 「えっと、私もアイリも変なことしないんだし、もう解決なんじゃないの? アイリが助けてほしいって大げさじゃない?」


 「ええそうよ。でも例えば強制イベントとか、歴史の修正力とか、あ、これはさすがにフランには分からないわよね。まあとにかく何があるか分からないし、万が一のためにも協力してほしいのよ。何かあった時にはアタシがフランを助けるし、逆にアタシを助けてほしい。そしてそれがエリザベス様を助けることにもなると思うわ」


 万が一にも私、アイリ、エリーが間違った道に進まないようにってことだよね。

 それってフツーに今まで通り健全に過ごせばいいだけのことだし、必死になって何かをしなきゃいけないこともない。

 私の人生の目標である楽しく気ままに暮らしていくことは変わらない。

 あ、分かってると思うけど、楽しく気ままにって言っても好き勝手やって誰彼構わず迷惑かけるとかそういうことはしないからね?


 「うん、そういうことなら分かったよ。私も協力するね」


 「ありがとう、フラン」


 アイリは心底嬉しそうにして私の手を取って笑顔になった。

 私もつられてぎゅっと握り返し、笑顔で返す。



 アイリの話は分かった。

 アイリの話の通りなら、確かに私にも関係のある内容だ。

 最初は物凄い警戒したけど、なんだかんだと話を聞けて良かった。


 でも、これだけは違うと思ったことがある。


 「うーん、アイリの話は信じたんだけど、それでもやっぱり私はこの世界が物語ってありえないと思うんだけどなあ」


 「正直言うとアタシもそう思うわ。物語の設定の一部は似たところはあるけど、違うところが多すぎるもの。逆に言えば似たところがあるからこそ万が一のためにも備えたいんだけどね。ま、結局のところ今を生きるここが現実ってことよね」


 「そうだよね。物語の私はどうだか知らないけど。私がお父さんやお母さんが大好きだって気持ちは本当だし、物語の設定だーって言われたら嫌だもん。この気持ちは誰かに決められたものじゃなく、私だけの気持ちだもん」


 「同感よ。一部と言っても前世の記憶を含めてアタシの気持ちが作り物だなんて絶対に認めないわ」



 アイリはちょっともじもじしてから話を続けてきた。


 「ね、ねえ、フラン。アタシたちって結構気が合うと思わない? だからね、ただの協力関係だけじゃなくって、そのね、えっと、アタシの友達になって欲しいな? ううん、アタシの友達になってください!」


 バッとアイリは手を差し出してきた。

 アイリの顔は真っ赤だ。

 私はもちろんアイリの手をとる。


 「うん、もちろんだよ! 私もアイリと友達になりたい。アイリが秘密を打ち明けて私に信じてほしいって一生懸命話してくれたんだもん。私はそんなアイリがすごいって思うよ!」


 「フラン、ありがとう! よろしくね!」


 「うん、よろしくね!」


 私とアイリはお互い笑顔で手を握りあった。


 アイリが転生者だとしても、今は私と同じこの世界の住人だ。

 そのことをアイリも十分分かってる。

 そんな彼女とも友達になれたことはとっても素敵なことだと思う。





ようやくあらすじ二つ目を回収です。

乙女ゲー要素は基本的にあまり出ません。


次回更新は1/4(木) 19:00の予定です。

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