第58話 エリーの高笑い
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私にはこの世界で同年代の友達はいない。
たぶん一番近い年齢は美少年冒険者のライト君と資料室の司書ミィさんだ。それでも10歳近くは離れてそうな気がする。
それにいわゆるママ友繋がりの友達もいない。
つまり何が言いたいのかというと、エリーが同年代なのかどうかが気になってるのだ。
というわけで聞いてみた。
「そういえばエリーって何歳なの?」
「私は5歳ですわ」
「え? そうなの? 私と一緒だね。私も5歳だよ」
「まあ、お揃いですわね。嬉しいですわ!」
「うん!」
なんとエリーとは同い年だった。
もしかしたらって思ってたけど、いざ同い年だと思うと私も嬉しい。
「なんかエリーって私と同い年なのに大人だよね」
身長的に同年代だとは思ったけど、立ち振舞いや言葉遣いが大人顔負けな上に完全に貴族そのものなので、もしかしたらもう少し年上かと思ってた。
「あら、そんなこと言ったらフランこそしっかりしてるじゃないかしら。年上だと思ってましたわ」
「うーん、しっかりしてるのかなあ?」
「ええ。少なくとも私にはそう見えますわ」
「そんなこと言ったらエリーの方がよっぽど大人だよ」
「そうかしら?」
「そうだよ」
私たちはクスクスと笑いあった。
そんな感じで私とエリーは仲良く会話を楽しんでたり、アクセサリーをああだこうだ言って楽しんでると、ライト君が暇そうに話しかけてきた。
「なあ、女はやっぱそういうのが好きなのか?」
「もちろんだよ。ねー」
「ねー」
エリーは何だかんだと結構ノリがいい。
貴族っぽい反応ではなく、私と同じ反応でちゃんと返してくれる。
もうすっかり打ち解けたと思う。
「ふーん、俺にはよくわかんねーや」
「あなたは地がいいから、もっときれいに着飾ればモテると思いますわ」
「そーだよね。ライト君、勿体ないよ」
「マジか。すっげー気になるけど、でも今の俺の稼ぎじゃそこまで余裕はないからしばらくは見送りかな。うう……」
この年齢で働いてるだけあって、前世の同年代の男子と比べてライト君は現実的だ。
そんなこんなでエリーがある程度見終わったので、今度は店員さんに椅子を借り私も見て回った。
基本的にはお母さんが持ってるようなアクセサリーとあまり変わらないように思える。
エリーにいろんなアクセサリーを見せてもらったときからもしかしたらって思ってたけど、念のため店員さんにも聞いておこう。
「ねえねえ、店員さん、最近話題のアクセサリーってあるの?」
「ごめんなさい、実はもう売り切れなのよ。オーナーのお嬢様が作ったものだから数が少なくてね」
「むぁー、そうだったんだ。また入荷するの?」
「数は少ないけども時々入荷するわね。いつ入荷するかはお嬢様次第だけど」
「そっか、ありがとね」
「いいのよ。他にも素敵なものはたくさんあるから、ゆっくり見ていってね」
「うん」
やはりというかなんというか、既にお店には無かったようだ。
ぐぬぬ。
「話題のアクセサリーはもう売り切れてないんだって」
「そう、残念ね」
「あ、やっぱり?」
エリーもルビーお姉さんも残念そうだ。
まあ無いものはしょうがない。
私にとっては前世には無かった獣人系のアクセサリーが新鮮なのには変わらないので、それを見て楽しもう。
私が椅子を抱えて移動しようとすると、エリーがもじもじしながら私の服の裾を摘まんでいた。
私は椅子を下ろしてエリーに向き直った。
「? エリー、どうしたの?」
「あ、あのね、私とフランは……その、お友達、でいいのかしら?」
「え? もう友達だと思ってたよ? 違うの?」
「そ、そんなことないですわ! 私たちは友達よね!」
「うん、もちろんだよ。エリー、よろしくね」
「ええ、こちらこそよろしくお願いしますわ!!」
エリーはよっぽど嬉しいのか、私の手を握ってブンブン振りながらすっごい笑顔だ。
私としてもこんないい子と友達になれたのは嬉しい。
きつめの釣り目だけど、やっぱり笑顔がとっても可愛い。
エリーは手を離すと背を少し丸めてぷるぷるしだした。
「ふふ、うふふふふ、やりましたわ!」
エリーは大興奮だ。
「ついにやりましたわ!! 私にも同い年の友達ができましたわ!!!」
がばっと姿勢をただすと、片方の手は腰に当て、もう片方の手は口元に添え、しっかり上体を反らす。
「おーーーほっほっほっ!!!!」
何事かと思う間もなく、ついには高笑いをしだした。
エメラルドのきれいな瞳にちょっときつめなつり目、金髪ツインドリルがこの高笑いの姿にとてもマッチしており、思わず感嘆の声がでるほどだ。
前世を含めてリアルでこういう高笑いを初めて見た。
うん、既に中二病を卒業したとはいえ、正直こういうのは結構好きだよ。やろうとは思わないけど。
それにサラさんという濃いキャラで耐性はできてる。私は全く問題ない。
でも、ルビーお姉さんとライト君だけでなく、他のお客さんも若干引いてるのは仕方ないね。
カランカランカラン……
「ちょっと、誰よアタシのお店で高笑いしてるのは」
お店のドアから私たちと背の高さがそう変わらないくらいのピンク髪の幼女が入ってきた。
突然高笑いしだしたら普通の人はびっくりすると思いますが、フランはサラに訓練されていたので耐性がついてました。
次回更新は12/27(水) 22:00の予定です。




