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ネコミミ娘に転生したので楽しく気ままに生きたい  作者: 星川 咲季
■第3章 二人の友人編(5歳)
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第49話 王都観光のスケジュール

魔術師のルビーにどこへ行くのか聞くお話です。


 土曜日になった。

 今日は王都観光の日だ。


 「お父さん、お母さん、それじゃあ行ってくるね」


 「ああ、大丈夫とは思うが気を付けるんだぞ」


 「行ってらっしゃい」


 私は二人に見送られながら待ち合わせである冒険者ギルドを目指した。

 ギルドに到着すると受付嬢のサラさんと、資料室の司書ミィさんが出迎えてくれた。


 「おはよう、サラさん、ミィさん」


 「おはよう、フランちゃん」


 「……フラン、おはよう……」


 「今日は観光に行くのよね。いいなあ、私もフランちゃんと一緒に行きたいわ。お仕事サボっちゃおうかしら?」


 「……無責任な女性は男性からのうけがよくない……」


 「涙を飲んで仕事をこなすわ」


 相変わらずミィさんはサラさんの扱いがうまい。


 「じゃあ私たちはミーティング室に行くわね」


 「はーい、お仕事頑張ってね!」


 サラさんとミィさんにひらひら手を振って見送った。



 私は受付のロビーに足を運ぶと、そこには既にルビーお姉さんがいた。

 今日は観光案内なので、とんがり帽子とローブの魔術師衣装じゃない。赤毛がよく映える明るくきれいな服だ。インスタ映えしそう。スマホが無いのが悔やまれる。いや、あってもどこにもつながらないんだけどさ。

 でも腰のホルダーにはロッドがさしてあり、魔術師の冒険者として最低限の武装をしてる。街中で武装とか日本のように安全じゃ考えられない光景だ。まあ日本でロッド装備だとコスプレにしか見えないわけだけど。


 「ルビーお姉さん、おはよう!」


 「おはよう、フランちゃん」


 「1の鐘(6時頃)までまだ少しあると思うけど、ずいぶん早いね」


 「当然。依頼人を待たせないのが私の主義よ」


 時間にルーズなこの世界ではルビーお姉さんのような考え方は珍しい。

 時間いっぱい観光したい私としてはとてもありがたく嬉しい。

 ライト君はまだ来てないけど、コメントに少し早めに来てほしい旨を書いてもらったので、1の鐘(6時頃)までには来てくれるだろう。

 何もせず待っててもしょうがないので雑談がてら予定を聞いてみた。


 「今日はどこにいくの?」


 「ふっふっふー。よくぞ聞いてくれました。最初に行くのは教会。ここ王都の教会は大きさもすごいけど、見た目も迫力あってとっても素敵よ。なにがあるのかは見てのお楽しみね」


 「誰でも入れるんだよね?」


 「もちろんよ。毎日多くの人が訪れているわ。信者じゃなくても問題ないし」


 「ああよかった」


 前世と比べて情報の獲得手段が非常に乏しいこの世界では人伝に聞くか、書物で調べるしかない。もっとも、その書物も昔の情報な場合が多いし、そもそも知りたいことが書いてある書物自体が無い場合も多い。

 入っちゃダメなところに知らずに入って大事になるなんてことは避けたい。

 私はほっとすると、ルビーお姉さんはにっこりとした。


 「次は魔術ギルド。魔術ギルドは魔法学校みたいなところなのよ。私もそこで魔術を習ってるわ。土日は魔術競技もやってて誰でも見学できるから面白いわよ」


 「へぇ~、魔術ギルドなんてのがあるんだ。それに魔術を競技にするって平和でいいね」


 「そうね。魔術は多少の適性があれば誰でも使えるといっても、貴族や血筋でしか使えないって印象がまだまだ強いのよね。だから競技で関心を集めて、平民でも使えるってことをアピールする意味もあるのよ。人はできることが増えればそれだけ将来の選択肢が広がるもの。ま、詳しい話を聞きたくなったら言ってね」


 「うん、分かった」


 私は魔法が使えるけど魔術についてはさっぱりだ。

 興味はあるので競技を楽しみながら知るにはいい機会かもしれない。


 「その後は王城がよく見えるお店で昼食。建物の屋上がオープンカフェになってるらしいわ。とてもおしゃれね」


 「今日は天気もいいしぴったりだね」


 「そうね、味もなかなかってライトが言ってたし、楽しみね」


 考えて見たらこの世界に生まれてからちゃんとした外食をしたことなかった。

 あるのは帰り道で時々お肉の串焼きを買ってもらって食べるくらいなものだ。

 何気にお昼ごはんも楽しみになってきた。


 「そして最後に話題のアクセサリーショップよ。今までにない不思議なデザインのアクセサリーがあるらしいのよ。元は貴族向けのお店だったらしいんだけど、今は平民も気軽に入っていけるお店なんですって」


 「んふふー、可愛いアクセサリーがあるかもしれないし楽しみだね!」


 「ふふっ、やっぱりフランちゃんも興味津々よね。私も行くのは初めてだから楽しみよ」


 「なんだ、フランもそういうのが好きなんだな」


 振り返るとライト君が来てた。


 「おはよう、ライト。ちょっと遅いわよ」


 「ああおはよう。ってなんだよ、まだ1の鐘(6時頃)は鳴ってないぞ」


 「紳士はレディを待たせるものじゃないのよ」


 「そりゃ悪かったな」


 「まあいいわ。せっかくだし待ってた時間でフランちゃんに今日のスケジュールを説明しておいたわ」


 「お、さんきゅ。まあなんだかんだとアクセサリーショップ以外は定番なとこだけど、初めてなら絶対後悔させないから安心しろよ」


 「うん、楽しみにしてるね!」


 「あら、ちょうど1の鐘(6時頃)が鳴ったわね。それじゃあ出発しましょうか」


 ライト君が私の手をちらちら見てるうちに、ルビーお姉さんは私の手を取って歩き始めた。

 あ、ちょっとライト君がしょんぼりしてる。別に手くらい繋いだってかまわなかったのに。

 きっと頼れるお兄ちゃんをやりたかったんだろう。


 こうして私の王都観光は始まった。




次回からはしばらく観光回です。うまく描写を伝えられたらと思います。


次回更新は12/9(土) 22:00の予定です。

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