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ネコミミ娘に転生したので楽しく気ままに生きたい  作者: 星川 咲季
■第1章 異世界の日常編(3歳)
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第4話 恵まれた環境

 私自身についてある程度は整理できたと思う。

 次は環境について整理してみた。4点ほど分かったことがある。



 1つ目は前世と比べて種族が変わりはしたが五体満足で障害なく生まれてきたことだ。

 また、体が「前世の記憶」による膨大な情報量に耐えられて良かった。


 って、ちょっと待った。疑問があった。

 私は前世の体とおさらばしてるわけだけど、そもそもその「前世の記憶」とやらは今の私のどこから湧いて出てきたんだろう。

 転移じゃないから物理的な繋がりは一切ない。

 まさか記憶は魂を媒体に保存されるとか?

 マンガじゃあるまいし、いくら何でもそんなことは……とは思うけど、それくらいしか思い浮かぶネタは無い。謎過ぎる。

 ……私は専門家じゃないし、誰にも証明できないだろうから考えるだけ無駄か。

 とにかく、五体満足だし五感に問題はないし思考も正常。良かった良かった。



 2つ目は言語をちゃんと取得していること。

 両親の言葉は日本語には聞こえない。ましてや英語でもなさそう。

 でもある程度は理解できるし話せるのは、赤ちゃん時代の時にぼんやりとした意識でも本能に従って学習していたんだろう。

 赤ちゃんすごい。

 ゼロから新たな言葉を学ぶとか万年英語平均点だった私にはハードルが高すぎる。本能ありがとう。これでバイリンガルだ。


 とは言ったものの、ちゃんと日本語も発音はできるけど誰かに通じるわけでもないし、余計なトラブルに巻き込まれないためにも普段は封印が無難かな。

 ただ、秘密の日記とか知られたくない情報を書くためなら将来使うのもいいかもしれない。

 今のところ深い思考は日本語が出てきてるから大丈夫だと思うけど、そのうち思考もこの世界の言葉になるような気がする。言語は何年も使わないと忘れるらしいので、思考の言語が変わった後で忘れずにいられるか心配だ。



 3つ目は私がそれなりに裕福な家庭の子どもであること。

 前世は正社員だったにもかかわらず、不況のあおりで給料がどんどんと安くなり、最終的にはいわゆるワーキングプア一歩手前だったと思う。

 考えてみたら、正社員が終電までやってワーキングプア一歩手前ってヤバすぎる……。


 一方、今は親子3人で7LDKの家に住んでいる。

 お父さんの部屋、お母さんの部屋、私の部屋、両親の寝室、他3部屋にLDKだ。

 他3部屋のうち1部屋は薪とか干し肉とか備蓄を目的とした倉庫部屋、もう一部屋はゲストルーム、最後の一部屋は鍵がかかって入れない。いったい何の用途なんだろう?

 この世界の一般的な家がどれくらいかわからないけど、私的には十分大きいと思う。


 部屋の調度品や部屋の作りを見る限り、豪邸のような作りじゃないけど隙間風が吹くようなボロさは全くない。木造とレンガのハイブリッドな作りになってる。

 和風や中華風なものはうちの中には無かった。確認できたのはぱっと見て回れる範囲だけど。

 家が中世ヨーロッパっぽい感じだし、その時代でこれだけの家に住めるということは、それなりに裕福なんだと思う。もしかしたらお父さんは高給取りじゃなかろうか。


 そんなわけで、お父さんは貴族なのかと聞いてみたけど笑われた。どうやら違うらしい。私たちには家名が無いのでやっぱりそうか。

 ちなみに、我が家は王都にあり、王様だけじゃなく貴族もいる。



 4つ目はこの世界は私の知る前世の概念や文化とそこまで大差ないように見えること。

 日の光は暖かく感じるし火は熱い。水は冷たいし熱せられると沸騰する。

 一部知らないものがあるが、ベッドやコップなど家具や食器は同じ形だ。

 人はちゃんと人の形をしてる。タコのような宇宙人スタイルじゃなくて良かった。

 服は布でできている。肌触りは前世のものほど良くはないけど充分我慢できる範囲かな。擦れて痛くなることは無いと思う。


 食事は朝昼晩の3食だ。

 主食は硬くてちょっと酸っぱいけどちゃんとしたパンだ。ライ麦パンかな?

 他には半分以上は見たことないけど野菜もある。

 お肉は加工済みなので何の動物の肉なのかわからないけど鶏っぽい味は覚えてる。

 元日本人としてお米を食べたくなるけど出てきた記憶はない。この世界に存在してればいいんだけど。


 太陽っていうか分からないけど、陽が東から昇れば朝が来るし、西に沈めば夜になる。

 この惑星は地球と自転方向が同じみたいだね。

 月は色違いが3つあるし、日によって位置がバラバラ。公転周期が違うのかもしれない。

 ぼんやりした記憶だと、暑くて薄着な日や寒くて厚着の日があるから季節もあるっぽい。



 こんな感じで衣食住がしっかり揃ってる恵まれた環境だ。

 中世ヨーロッパのような木造とレンガの家屋、家具、食器とレトロ感がある。


 現代日本のようにビニールやプラスチックは無いし、レバーを倒せば水やお湯が出る便利さは無いので、楽しく気ままな生活が送れるか、世界旅行できるかどうなるか分からない。

 けれど、これはこれできっと何とかなるだろうし、いいのかもしれない。


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