第46話 回復魔法始めました
アルバイト開始です。サラとミィが久しぶりに登場です。
★祝★ユニークアクセス10000ですヽ(´▽`)ノ
ギルドで回復魔法を1回使ったら次に使うまで必ず少し休みなさいとお母さんに言われている。
理由を聞いたら、ただでさえ獣人が魔法を使えることは珍しいのに、私のような子どもが魔法をバンバン使い続けたらケットシーと思われる可能性があるからだとか。
ゆったり休むと体に魔素を取り込める量が増えるらしいので、魔臓を持たない普通の人はそうやって回復を図るらしい。
つまり堂々と休むだけで偽装できるのだ。
これからもこういったことには注意した方がよさそうかも。
前世の日本ほど法整備がされてないだろうし、何かの拍子で権力者に知られ、権力を使われたら一発でアウトだろう。自分の身は自分で守らないといけないよね。
翌日、冒険者ギルドの受付のロビーの一角に看板と椅子を用意してもらった。
昨日の今日でこんなに早く用意できるものなのか不思議だけど、不都合無いので気にしない。
椅子に座って待ってみたものの、冒険者たちやギルドへの依頼者たちは物珍し気に私の方をちらちらと見るだけだ。
まあそりゃそうだよね。幼女が回復魔法で怪我を治しますっていって気軽に来る人はいないでしょ。
と思ってたら、最初の利用者は受付嬢のサラさんだった。
次の利用者もサラさんだった。次もその次もだ。
と言うか、営業初日はサラさんしか来なかった。
「フランちゃん、また指を切っちゃったの。お願いできる?」
「いいけど、サラさん、何で休憩時間の度に怪我してるの?」
1回5Gと地味に高いにも関わらず何度も来る。お貴族様はやっぱりお金持ちなのかな?
「そこにフランちゃんがいるからよ」
時々、サラさんがアクセル全開でついていけないです。
「……わざとじゃないならいいけど、わざとだったらもうやんないからね。自分を大事にできないのはダメだよ? 私、サラさんに怪我してほしくないもん」
もしかしなくてもサクラをしてくれてるっぽいけど、友達が例え小さくても怪我してくるのは嫌だ。
「心配してくれてありがとう、フランちゃん」
何故か涙を流しながら私にハグするサラさん。
自我が戻った2年前と比べると事あるごとにハグされてる気がする。
ちなみにサラさんは未だ独身だ。運命の人はなかなか現れない。
翌日、朝のミーティングが終わると早速受付の奥にある看板を取りに行く。
すると看板には可愛いイラストが増えていた。私をデフォルメした絵っぽい?
「どう? 結構上手に描けてるでしょ?」
「うん、すごく可愛いよ! サラさんが描いたの?」
「イラストは私が、文字はミィよ」
「……(頷く)……」
「サラさん、ミィさん、ありがとう!」
サラさんは多芸だ。イラストまで描けるとかホントすごい。
ミィさんは文字表の文字を見て思ったけど、とてもきれいな字だ。
ミィさんは満足げに頷くと資料室へ向かっていった。
さて、サラさんとミィさんのお陰か、今日は一日に数人、私のとこに来てくれた。
よくギルドへ依頼を出しに来るちょっと裕福そうなおじ様やおば様方が私のお客さんだ。
怪我といってもホントに大したことはなく、突き指したとか、包丁でちょっと切ってしまったとかそんなやつ。
いきなりグロいのじゃなくて良かった。まあそもそもグロいレベルは医務室へ直行するだろうけど。
怪我の具合や話し方からすると、私におこづかいをあげるような感じで来てくれたように思える。
そんなわけで、サービスで湿布をイメージして肩凝り腰痛に効く回復魔法を使ったら思ったより好評だった。
こういう平和な感じっていいよね。
その翌日はアルバイトはお休みだ。
いつものように旅行に関連しそうだったり、旅行に有益そうな情報がないかを探しに資料室に来た。
「……フラン、疲労に効果のある回復魔法も使えるとサンドラに聞いた……」
資料室に来て開口一番にミィさんが聞いてきた。
朝の挨拶をしたとき、なんか聞きたそうな感じがしてたけど、このことだったのかな?
だいぶ慣れてきたけど、相変わらず眠たそうな表情は何を言いたいのか分かりづらい。
「うん、使えるよ。ミィさん」
「……その……」
ミィさんが言い淀むのが珍しくて私は首をかしげる。
「……えっと……目の疲れを癒すことはできるだろうか……」
この2年が経ってもミィさんの身長は変わらず小学生か中学生か分からないように小さい。当然私の方が小さいけど。
それにしても、もじもじするミィさんの姿は可愛い。彼女は私の癒しだ。
「勿論だよ! 任せてよ!」
ようやく文字を教えてもらった恩返しができるチャンスだ。
目の癒しと言えば、小豆が詰まったホットアイマスクだ。前世では結構お世話になったからイメージはばっちりだ。
「ミィさん、椅子に座って目を閉じてゆったりリラックスしてね」
ミィさんはこくりと頷くと指示通り椅子に座ってゆっくり目を閉じた。
……いつも眠たそうな目なので普通に眠ってしまったように見えてしまうが、気にしない気にしない。
私はミィさんの正面に椅子を移動させ、ミィさんの顔に微妙に触れない程度の距離で手を向ける。
「じゃあ始めるね」
私は小豆の詰まったホットアイマスクをイメージして回復魔法を使った。
もちろん、レンジでチン済みのイメージだ。
「……ん?……なんか暖かい……」
んふふん。いい感じでしょ。
「……ふわあああぁぁぁぁぁ…………」
10分くらい続けたらミィさんは最後には温泉に入った時に出るような気の抜けた声を上げて蕩けてしまった。
くったりしてるミィさんがちょっと色っぽいような気がするけどきっと気のせいだろう。
しばらくするとミィさんは復活した。
「……フランは最高の癒し……一家に一人は欲しい存在……」
ご満足いただけたようで何よりだ。
その後、ミィさんには文字を教わった恩があるのでタダでいいと言ったが受け入れてもらえず強引にお金を握らされた。
その代わり資料室に来たとき1週間に1回でもいいのでやってほしいとお願いされた。
もちろん快諾だ。
冷やし中華始めました、ってノリでサブタイトルを付けてみました。
次回更新は12/3(日) 22:00の予定です。




