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ネコミミ娘に転生したので楽しく気ままに生きたい  作者: 星川 咲季
■第3章 二人の友人編(5歳)
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第42話 魔法の使い方を覚えた

マリアンナ(母親)は常にフランにとってプラスになることを考えて行動してます。

例えマイナスが含まれていたとしても結果としてプラスになるなら多少の無茶なら辞さない覚悟です。


 鐘の音が聞こえる。


 「……ン……」


 ほかにも何か優しい声が聞こえる。

 あれ?

 いつの間に寝ちゃったんだっけ?

 っていうか今何時?

 ちょっと気怠さがあるけど何してたんだっけ?


 「……ラン?」


 まどろんでいた意識がだんだんとはっきりしてきた。

 えっと、何やってただっけ。

 確か回復魔法の練習をしてて、最初から成功はしたけどかさぶたになっちゃって、2回目はもっと上手にやろうとして綺麗に治せて、3回目は……。


 「フラン?」


 「お母さ (ごつっ!)「いったーーーい!!!」」


 思い出すのと同時にがばっと勢いよく起き上がったら、私を覗き込むお母さんにぶつかった。


 あ……目の前に星が……。

 さすがファンタジーな世界……。


 「イテテテ……って、そうじゃなかった。お母さん、ぶつかってごめんね、それとさっきの怪我は大丈夫?」

 

 「イタタ……私は大丈夫よ。フランこそ大丈夫?」


 「うん、ちょっと気怠るいけど大丈夫だよ。魔力が枯渇して気を失ってたみたい」


 魔力枯渇で気を失ったのは初めてだ。

 あと、おでこが痛くて若干涙目になってる気がするけど、とりあえず大丈夫アピールだ。


 「ああよかった。心配したわよ。体の方は大丈夫そうでよかったわ。おでこは痛みが和らぐ回復魔法を使うわね」


 お母さんはそう言うと自分と私のおでこにそれぞれ手を当てて魔法を使った。

 単純に傷を癒すだけじゃなく、こういう回復魔法もあるんだ。

 やっぱり魔法は便利だ。

 痛みが和らいでいい感じ。


 私は一人ふむふむと頷いていると、お母さんが神妙な顔をして声をかけてきた。


 「えっとね、フランにまず謝らないといけないことがあるわ」


 「え? なんか謝ることあるの?」


 まったく思い当たることはないんだけど。


 「実は3回目はね、わざとざっくり切ったのよ。フランが腕をつかんだことには驚いたけど、怪我の大きさには関係なかったわ。回復魔法の練習にはちょうどいいと思ったし、いざという時に少しでもフランが動けるようになってほしかったのよ。辛い思いをさせてしまってごめんなさい」


 そう言うと私に頭を下げた。


 「や、やめてよ。謝ることなんてないよ。お母さんは私のためにわざわざ痛い思いをしてまでやってくれたんだし、気にしなくていいよ」


 「そんなことないわ。フランはびっくりするほど大人びてるけど、今日ようやく5歳になったばかりなのよ。期待して無茶させ過ぎたわ。本当にごめんなさい」


 「もう、本当にいいってば。それに何とかなったんだし」


 「……そうね、本当にすごいわ。今更だけどあの程度なら回復魔法をかけてある程度傷をふさいだ後、数週間もたてば傷痕なんて残らないのよ。でもフランはそんな怪我したことないから知らなかったわよね。心配させたわね」


 「そ、そうだったんだ」


 あの傷の深さをあの程度とか言い切るお母さん生命力にあふれすぎでしょ。

 何はともあれ本当に良かった。

 私はお母さんに抱きついた。


 「頑張ってくれてありがとう、フラン」


 お母さんも私をぎゅっとハグしてくれた。



 少ししてハグを終えると今度は真剣な顔をして尋ねてきた。


 「さっきフランが使った魔法について聞きたいんだけど、いいわね?」


 一応尋ねる形だけど、有無を言わさぬような雰囲気だ。

 私はこくりと首を縦に振る。


 「あの魔法は間違いなく普通の回復魔法と一線を画する魔法よ。無理にとは言わないけど、よければどんな魔法なのか教えてもらえないかしら?」


 真剣な顔に普段ではほとんど感じたことのない雰囲気に思わず縮こまってしまう。


 「別にいいけど……もしかしていけないことしちゃった?」


 「いけなくはないけど、フランのためにも念のため聞いておきたいのよ」


 念のためって雰囲気じゃない気がするけど、お母さんなら大丈夫かな?


 「んっとね、普通の回復魔法って本人の怪我が治る力が高まるんだよね? でも、あんなにひどい怪我じゃ治る力が足りなくて、ちゃんと手が動くように治せないかもしれないし、治せても傷跡が残ったりすると思ったの。だから本人の治る力じゃなくて、私の魔力をそのまま治る力にすれば、どんなひどい怪我でも関係なく元通りに治るよね。だからたくさん放出した魔力を治す力になるように魔法を使ったの。初めてだったから魔法が失敗しないようにたくさん魔力を使ったけど、たぶん枯渇するほどはいらないと思うよ」


 「…………」


 「お、お母さん?」


 「はぁ……相変わらずフランはホントにスゴいわね」


 「そお?」


 「そうよ。間違いないわ。まさかと思ったけど、フランの説明で納得いったわ。フランの使った魔法は間違いなく従来の回復魔法を超えた代物ね」


 「魔力そのもので元に治るようにしたから体に負担はかかんないと思うけど、やっぱりなんかいけなかった?」


 「ううん、そんなことない。むしろすごいことよ。ただ……そうね、この魔法は最低5年は封印しなさい。フランが10歳になったら、その時にまだ封印し続けるかどうか判断しましょう」


 「え? なんで封印なの? この魔法は魔力がたくさんいるけど便利だよ?」


 「すごすぎるからよ。今フランがこの魔法が使えると知られるのは絶対にダメ。フラン、これはあなたのためなの。とにかく今はこの魔法を封印して。お願い」


 「う~ん、分かった」


 あまりに真剣に言うものだから何かがあるんだろう。

 私は頷いた。



 「さて、魔法も教えたことだし、私はそろそろ買い物したりお昼ごはんの準備をするわね」


 そっか、さっき聞いた鐘の音は2の鐘(9時頃)だったんだ。


 「お母さん、私も何かお手伝いするね」


 「いいのよ、今日はフランの誕生日なんだし、さっきは魔力枯渇で倒れたんだし、ゆっくりしてなさい」


 そうだった。誕生日だった。すっかり忘れてた。



 その後、私はお母さんの言いつけ通りゆったり過ごした。

 夕方、お父さんが帰ってきてから誕生日祝いをした。

 お母さんはお父さんに私がすごい魔法の才能があるって自慢しまくってちょっと恥ずかしかった。


 魔法の使い方も分かったし、これからの人生、楽しく気ままに生きていこう計画は大きく前進したと思う。

 将来世界旅行するときでも、回復魔法が使えれば安全だろう。

 そう思うとだんだんと楽しくなるしワクワクする。

 んふふん、んふふん、んふふふーん。

 私は上機嫌だ。





マリアンナ(母親)はフランが発動させた回復魔法が強力すぎることから様々なことを危惧して封印させてます。


次回更新は11/26(日) 22:00の予定です。

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