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ネコミミ娘に転生したので楽しく気ままに生きたい  作者: 星川 咲季
■第2章 魔法習得の訓練編(4歳)
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第39話 魔力は綺麗

ようやく今回で訓練が終わります。


 土曜日、私はお母さんと一緒に庭に出た。


 「さあフラン、次のメニューよ」


 「え? まだあるの? 魔法はまだなの?」


 「次で最後よ。でも、難しいから時間がかかると思うし、ゆっくりやっていきましょうね」


 「はぁーい」


 今の魔力操作でも難しかったのに、これ以上難しいとかテンション下がる。

 でも、ここまで来たら最後までやるしかない。


 「最後の目標はこんな風に魔力の体外放出よ」


 お母さんの右手からキラキラと光の粒のような霧のようなものが出た。

 とてもきれいだ。


 「お母さん、そのキラキラしたのが魔力だよね?」


 「そうよ、よく分かったわね。実は魔力感知のスキルレベルが低いと見えないのよ。今までの訓練でフランのスキルレベルが上がってたってことね」


 「へぇー、不思議」


 「魔力そのものの放出は難しいし、放出できても無駄遣いだから普通はしないのだけど、できること自体は魔法を発動させる時の効率や魔力の調整に意外と役立つのよ。あとは魔力が枯渇しないよう魔力の消費を止めて魔法の強制終了ができるようにもなるわ。魔臓の無い人なら魔力が尽きても気分が悪くなるだけで済むけど、私たちの種族は魔力が尽きると危険なのよ」


 「え? 魔力が尽きるだけで? なんで?」


 「私たちの魔力は魔臓が作ったり溜め込んだ魔素をもとに作るって話は覚えてるわよね? 魔法で魔力を使うと言うことは魔臓の魔素を消費してると言うことになるの。だから一気に魔素が尽きるくらいの魔法を使うとショックで気を失うのよ。例えば魔物との戦闘中に気を失うことはどうなるか言わなくても分かるわね?」


「う、うん。気を付けなきゃだね」


 てっきり魔素が尽きたらゲームみたいに魔法が使えなくなるだけかと思ったら、思わぬ落とし穴があった。

 気を失うとか、戦闘中に限らず街中でも誘拐とか録でもないことになる可能性があってめっちゃ危険だ。

 考えてみたら体を動かすのにも体力が必要だし、体内の魔素が尽きたら気絶するなりの影響が出てもおかしくはないか。


 「この訓練で注意してほしいのは、今までと違って魔力が空気中に霧散するから体内にある魔臓の魔素が減るの。怠くなる程度なら問題ないけど、フランの場合はまだ小さいから負担をかけないようそこで中止しなさいね。ちなみにそれ以上やると胸がだんだん苦しくなってきて最後には魔力が枯渇するわ」


 「分かった。疲れたらちゃんと休むね」


 「それじゃあ訓練の仕方を教えるわね。と言ってもやり方は単純よ。両手を合わせたら、魔力を右手から左手に移動させて循環させるのよ。今までは体の中を移動させていたと思うけど、今度は手のひらとはいえ体の外に出すから難しいはずよ。慣れたら逆方向もやるのよ。それができたら教えてね」


 「うん、分かった」


 なんかこれなら簡単そうな気がする、とは思わないぞ。

 今まで簡単だった試しはないし。



 2週間たってようやくできた。

 最初は右手から押し出す魔力の量が足りないのかと思ったけど、どうやらそう単純なものでもないらしい。

 右手はゆっくりと染み出すように魔力を出すのと、左手は魔力を引っ張るような感覚でやってみたらなんとかなった。

 一度やり方が分かれば逆方向についても何とかなった。

 ちなみに、ギルドで練習してる時はサラさんにお祈りしてるように見えて可愛いと言われ抱き着かれた。


 「お母さん、ようやくできるようになったよ」


 「よくやったわね。どう? 怠くなったらちゃんと休んでるかしら?」


 「うん、少し疲れたなって思ったらちゃんと休んでるよ」


 「いい子ね。じゃあ次で最後の課題よ」


 「ようやく最後だ~」


 「今は手のひらを合わせてやってるけど、手のひらを少しずつ離しながらやるのよ。こぶし一つ分を離してできれば魔力放出はできるようになるわ。さ、それじゃあスタート」


 「はーい」



 数か月がたち、もう少しで春。私の誕生日も目前だ。

 最後の課題をクリアするのはホントに時間がかかった。


 手のひらを少しでも離すと魔力は急激に空気中に霧散した。

 体の中にある魔力がお風呂からお湯を抜いて出ていくようにどんどん減っていくのが分かった。

 とりあえず魔力は放出してるよね、と言うことでお母さんに見てもらったら、「光ってないのはダメよ」とダメ出しされた。


 どう頑張っても霧散するのでなんとかなんないかと悩んだ末に閃いたのは、体の中だけじゃなく空気中でも私の魔力なんだから魔力操作できるんじゃ?と思ったことだ。

 結果は正解だったようで、魔力感知と魔力操作の範囲を体の外まで伸ばすことでなんとかなった。

 と言っても、体から距離が離れるほど不安定になるので今でも15センチくらいが限界だけど。


 魔力の放出をすると最初の方はすぐに体が怠くなった。

 少し休めばすぐに回復するけど、1回怠くなるとしばらくやる気がなくなる。

 仕方ないので、ちょっと疲れたかなと感じる程度ですぐに休憩して、回復したらまた再開を繰り返した。

 こんなやり方でも魔素の貯蔵量や回復速度が増えたようで、今ではバンバン魔力を使ってもそう簡単には疲れなくなった。

 お母さんが言うには、一度増えれば1年魔力を作らないとかしない限り、そう簡単に魔素の貯蔵量や回復速度が減ることは無いそうだ。

 維持が楽なのはいい。


 でも、課題のクリア条件である魔力の放出でキラキラと光が出たのは最近だ。

 しかも全力で魔力を放出してようやくうっすら程度だし。

 お母さんの魔力量どんだけ……。


 そんなわけで、1年かけて課題を全てクリアした。

 次の誕生日、ついに魔法を教えてもらえることになった。

 思えば長かったなあ。

 暇だったと言うこともあるけど、よく1年も頑張れたものだ。

 魔法ってこんなに長い時間訓練しないといけないなんて大変だ。

 こんなに頑張ったんだからいろんな魔法を使えるようになりたいな。








フランは魔法が使えるようになるのは1年がかりの訓練が必要で大変だと思ってますが、実際はそんなことないです。

妖精が本能的に空を飛ぶ魔法が使えるように、別に訓練しなくても魔臓持ちなら魔法が使えるようになります。

しかし基礎をしっかりやった方がその後の成長率や汎用性に圧倒的な差となって表れます。


次回更新は11/20(月) 22:00の予定です。

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