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ネコミミ娘に転生したので楽しく気ままに生きたい  作者: 星川 咲季
■第2章 魔法習得の訓練編(4歳)
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第34話 家族団らんの夕ごはん

ほのぼのとした家族団らん回です。


 「フラン、ごはんよ」


 「はーい」


 あの後自主訓練を適当に続けてみたが、結局お父さんが帰ってきて夕ごはんが始まるまでの間に魔力が作れた感覚は無かった。


 家族3人で食卓につく。

 手を組んでいつものお祈りだ。


 「「「日々の糧をお与えくださりありがとうございます。いただきます」」」


 今日の夕ごはんはいつもの黒パンと鶏肉のソテー、野菜たっぷりトマトスープ、レタスっぽい葉のサラダだ。サラダにかかってるドレッシングは植物油に少量の酢、それに塩と香草を入れたシンプルなものであり手作りだ。

 去年よりも食べられる量が増えたので、この前の誕生日に「野菜よりもお肉の量を増やしてほしい欲しいなあ~」とお願いしたが、ニッコリ笑顔で「バランスよく食べなさい」と一蹴されたのはいい思い出だ。


 いつものようにお父さんは私に聞いてきた。


 「フラン、今日はどうだったんだ?」


 「もう、お父さん、前も言ったでしょ? どうだったって聞かれても、色々あって何から言えばいいのか困るよ。お父さんはどうだったって聞かれて困らないの?」


 前世のテレビ番組を思い出す。

 今日はどうだったとか何をしたのか、と言うこの手の質問は子どもが困ると言ってたけど、まさにその通りだと思う。

 この世界では日常は非常に緩やかだけど、自我が戻った私にとって、1年たった今でもまだまだ目新しいことはたくさんあるので、何から話せばいいやら。


 「ああすまない、そうだったな。じゃあ何か楽しいことや大変なことはあったか?」


 「楽しいことはあったよ。お昼ごはんの時なんだけどサラさんが苦手な果物が出てきてね、えっと、お母さん、あの甘酸っぱい果物って何て言うんだっけ?」


 「あれはノメルの実よ」


 「それそれ。でね、皮をむいて薄くしたノメルの実が最後に残ったんだけど、残しちゃうのかな~って思ってじーっと見てたら、サラさんが「フランちゃん食べたいの? 食べたいならあげるよ?」って聞いてきたの。その後、お父さん、どうなったと思う?」


 「さあ、どうなったんだろうな。フランはサラからノメルの実をもらったのか?」


 「ぶぶー、違うよ。なんとね、サラさんが話してる途中でミィさんがフォークでノメルの実をサラさんの口の中に入れちゃったの! その時のサラさんすっごい面白かったんだよ! ね、お母さん」


 「そうねぇ、いつも優雅に食事をするサラが目を白黒させて、でも口から出すなんてはしたない真似は意地でもするものですかと言わんばかりに、むーむー唸りながら口を酸っぱそうな形にしてちょっと怒った顔で食べてたのよ。ふふっ、あの時のことを思い出したら、うふふっ、ごめんなさい、ちょっと、ふふふっ」


 「おいおい、マリアがそんなになるほどサラは変顔してたのか。ははは、こりゃ気の毒に」


 「でね、ノメルの実を食べ終えたサラさんがミィさんに怒るかと思ったら、ミィさんはサラさんが話す前に珍しく自分から声をかけたんだよ、「サンドラ、酸っぱい食べ物は美容と健康にいい。理想の男性を求めるなら食べるべき」って。そしたらサラさんはちょっと怒りながら酸っぱい顔をして残りのノメルの実もちゃんと食べたよ。すっごい面白かった! サラさんも面白かったけど、ミィさんも面白いよね」


 「ははは、ミィは容赦無いのな。ま、仲がよさそうでなによりだ」


 「だよね。あと、大変なことって言ったら、今日帰り道で怪我したことかな」


 「怪我? フラン、大丈夫なのか?」


 「全然大丈夫だよ。お母さんに回復魔法かけてもらってばっちり治ったよ!」


 「そうか、ならいいんだが……。マリア、何があったかもう少し教えてくれないか?」


 「もちろんよ。後でちゃんと説明するわね」




 食事を終え、残りの歯磨き、タオルで体を拭いたりと寝る前のことは全部終わった。

 その後、お母さんは事故の全容と私たちの種族がケットシーであることを話したこと、魔法の訓練をこれからしていくことをお父さんに説明した。

 お父さんはお母さんの説明を聞き終えると私をハグした。


 「フラン、大変だったな。マリアからも言われてると思うけど、本当に気を付けるんだぞ。俺はフランが傷ついたら悲しいんだ。それと、ケットシーのことや魔法についてはマリアの言うことをしっかり聞くんだぞ」


 「うん。怪我しないように気を付けるね。お母さんの言いつけもしっかり守るよ!」


 「よし、いい子だ」


 わしゃわしゃとお父さんは私の頭を撫でる。お父さんの撫で方は豪快そうに見えて意外と繊細で気持ちいい。

 それとイケメンの笑顔いただきました。

 お父さんのはにかみは貴重です。


 「マリア、フランの怪我を治してくれてありがとう。俺じゃマリアほどのことはできないし、マリアがいてくれて本当に良かった」


 「いいのよ。むしろ私が気を付けなければいけなかったのに回復魔法を使わないといけない事態になってしまって……」


 「いいんだ、誰のせいでもない。マリアもフランも悪くない。次に失敗しなければそれでいいんだ」


 「ケイン……」


 「マリア……」


 お父さんとお母さんはキスをして抱き合った。

 1年たった今でも娘の目の前だろうとすぐこういう雰囲気になる。

 ホントいつまでも新婚のようにラブラブだ。

 私たちの種族は特に子どもができにくいらしいけど、これだけラブラブならいつかは弟か妹ができてもおかしくない気がする。


 もう寝る前のことは全部終わってるし、私は一足先に自室に戻ろう。

 おやすみなさい。



 翌朝、お母さんはつやつやしてて、お父さんは穏やかだった。





ノメルの実はレモンっぽい柑橘類の実です。


次回更新は11/11(土) 22:00の予定です。

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