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ネコミミ娘に転生したので楽しく気ままに生きたい  作者: 星川 咲季
■第2章 魔法習得の訓練編(4歳)
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第33話 魔力を作るのは難しい

魔力を作るのに試行錯誤します。


 お母さんと一緒にしばらくクスクス笑いあった。

 少ししてお母さんが私を簡単なハグをする。


 「じゃあ私はそろそろ掃除とか家事をするわね。回復魔法で怪我は治ったけど体には負担がかかってるんだし、フランは大事を取って今日は大人しくしてるのよ? 約束よ?」


 「はーい」


 そういうとお母さんは立ち上がり、掃除用具を取りに行った。

 この家は広いので掃除は地味に時間がかかって大変だったりする。

 いくら朝の準備とか色々と異常なほど早いお母さんでも、早く動けばせっかく集めた埃が舞ってしまうので時間をかけるしかないんだろう。



 私のやれるお手伝いは台所や洗面所、お手洗いなど各部屋にある甕に水を補給するだけで、あとできることと言ったら自室の掃除だけだ。食器を出して並べるのも一応お手伝いになるのかな?

 でも、今日は大人しくするという約束をしたので守るしかない。約束を破るとお母さんはものすごく怒るし。

 大声をあげたり体罰は全く無いけど、笑顔なのにすくみあがって動けなくなるほどのプレッシャーは心底怖い。私はいい子なので言いつけは守るのだ。



 とりあえずは帰ってから行っていなかったお手洗いへ行く。

 4歳になって体は多少大きくなったけど、便座のない屈む和式タイプなため、相変わらず下着は脱いで外さないとまだ落ちそうで若干怖い。

 自我が戻る前を含めて1年以上やってる習慣だから抵抗は無いけど、それでも毎回面倒くさいと思う。

 ホント早く大きくなりたい。

 しかし、早く大きくなりたい理由がお手洗いとかいいのか私。


 そうそう、お手洗いの住人(?)であるスライムは魔物ということもあり、自我が戻った直後でも若干怖かったが、1年もお世話になっていれば怖さは全く無くなり、今ではなんだかペットみたいな感覚が出てきた。

 水信玄餅のような物体がぷるぷるして動くさまは意外と可愛いのだ。

 もちろんスライムの様子を見るときは甕に給水しに来るときとか、何も入ってないとき限定だ。

 ちなみに、台所の排水や生ごみを入れる台所用ごみ箱にもスライムはいるらしいけど、私はそのごみ箱に用事はあんまりない。お手洗いのスライムが一番なじみがある。

 なじみのあるとはいっても、そのスライムの住処はお手洗いの中なので触りたいとは思わないけど。



 お花摘みが終わったので自室に戻った。

 今までは夕食まで特にやることもなく暇だったが今日からは違う。


 魔力感知のスキルの訓練だ。


 相変わらずスキルっていう表現がゲームっぽい表現だと感じてしまうが、まあそういう文化なんだろう。

 どんなファンタジー要素があったとしても、もうこの世界は私にとって現実だ。

 ならばとことん楽しんで生きていこう。


 さて、自分に魔力なるものがあると分かったものの、今はそれがぽかぽか暖かい感じがするという感覚しか分からない。

 お母さん曰く、魔力感知のスキルを磨けば魔力の強弱とかが分かるって話だ。

 しかし、それ以前としてまずは自身で魔力を作らないといけない。

 ネット小説や漫画で読んだ、魔力を練るっていうやつなのかな?

 よく分かんない。

 とにかく魔力を作るのを再現させることからスタートだ。



 よくあるパターンとして精神統一っぽい感じとかどうかな?

 しっぽがあるので立ちながらでもバランス感覚はばっちりだけど、やっぱり落ち着いてやったほうがいいよね。

 ということでベッドに腰かけて目をつむって深呼吸しながらやってみよう。


 ……


 …………


 ………………


 …………zzzZZZ


 すやぁ


 「はっ、ね、寝てた……」


 私はいつの間にかベッドに横になり丸まって寝てた。

 寝るのが大好きな私にとって、落ち着いて目をつむって深呼吸とかしてたら当然の結果なのかもしれない。

 ぐぬぬ、精神統一がこんなに難易度高いとは思わなかった。

 精神統一で補正が効いたのが命中じゃなく睡眠だったとは。

 私に精神統一はまだ早いっぽい。



 じゃあ次。

 気合を入れればどうかな?


 立ち上がって両手を胸の前まで持ってきてぎゅっと握る。


 「ぐぬぬぬぬ……」


 全身で力んでみる。

 んふふん、さっきお花摘みしたし、勢いあまって漏れ出る心配は皆無だ!

 気合も込めちゃう!


 「むぁああぁーーー!!」


 「フラン!? 大きな声上げて大丈夫なの!?」


 「はわああぁぁぁあぁぁーーーーっ!!」


 いつの間にかお母さんが音もなく私の部屋のドアを開けて心配そうな表情で私を見ていた。

 私は驚きのあまり自分でもびっくりするほど飛び上がり、そのまま床に落ちて尻餅をついた。痛い。


 「お、お母さん、びっくりさせないでよお」


 でも私は痛むお尻をさすりながら、ちょっと不満の目を向けて文句を言う。

 ついでなのでしっぽをぺしぺし床で叩いて抗議しておく。

 お母さんはしゃがみ込み、私の頭を撫でてくれる。


 「だって、唸り声がしたかと思ったら突然大きな声が聞こえたのよ? あんな出来事があったばかりだもの。心配になって来るわよ。それで、大丈夫なのよね?」


 「う、うん、全然大丈夫だよ。自分で魔力を作れないか色々試してたの。心配させてごめんね」


 そう言われると何にも言い返せない。

 自分でもしっぽやネコミミがしゅんとしたのが分かる。


 「そんなことで謝らなくてもいいのよ。それにしても元気そうで安心したわ。なにか痛みがあるとか変な違和感があったら遠慮しないで言うのよ」


 「分かった。お母さんの回復魔法で痛いところは無くなったしもう大丈夫だよ。何かあってもちゃんと言うね」


 「ならいいわ。じゃあいくわね」


 そういうとお母さんはドアを閉めて家事に戻っていった。


 相変わらずお母さんの気配無く無音で現れる能力はヤバい。

 全く気付けない。

 っていうか、声を出してからドアを開くまでタイムラグがほとんど無かったように思うんだけど。

 忍者か。いや、この国は中世ヨーロッパっぽい感じだし洋風でNINJAか。



 んー……気を取り直して、と。


 さっきの気合を入れるやつでも魔力を作れた感覚は無かった。

 魔力はもっと大きくなれば自然と作れるようになるっぽいから、やっぱり4歳児じゃすぐには難しいのかなあ。

 早く魔法が使えるようになりたいなあ。







回復魔法は怪我の度合により体へかかる負担が変わりますが、フランは獣人であり普人と比べて基礎体力が高いので割と平気だったりします。

それでも負担はあるので精神統一の際に自然と寝てしまいました。


次回更新は11/9(木) 22:00の予定です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ほのぼのしていてまったり楽しく読んでいます。 あと、度々出てくる雄叫び(?)の「むぁああ」に癒やされました。 [一言] 完結されているので、応援代わりに最後までじっくり読ませて頂きたいと思…
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