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ネコミミ娘に転生したので楽しく気ままに生きたい  作者: 星川 咲季
■第2章 魔法習得の訓練編(4歳)
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第30話 私はレア種族だった

ついにフランの種族が分かります。


 私はお母さんが回復魔法らしきものを使ったことに驚いている間に家に着いていた。

 気づくと私はリビングにいた。


 「フラン、他に痛いところはない?」


 「えっと、体中が痛いよ」


 「そう、傷や痣になってないか見るから服を脱がすわね」


 リビングでエプロン、ワンピース、果ては下着まで脱がされすっぽんぽんにされた。

 お風呂は無いので、毎日すっぽんぽんになってお湯を含んだタオルで拭かれてるので、今更お母さんに見られても恥ずかしくはない。


 あちこち痛みがあるところはやっぱり擦り傷や痣になっていた。

 考えたら4歳児である小さな私があの大きな積み荷の下敷きになったら圧死もありえるほどで、絶対にただじゃすまないはずだ。

 にもかかわらず怪我は擦り傷、全身打撲、左足にヒビが入った程度ですんだのは獣人が頑丈だからだろうか。または運が良かったのだろうか。

 今気づいたけど、お気に入りのエプロンは泥だらけにはなったが、幸い破れてなさそうで少しほっとした。


 「じゃあさっきみたいに治すからじっとしてるのよ」


 「うん」


 「上から順にやってくわね」


 お母さんは私に右手をかざし集中する。

 するとさっきのように右手から暖かな光が発し、私を包んでいった。

 痛みがだんだんと引いていく。


 「ふぅ、これでもう大丈夫よ。どう? まだ痛むかしら?」


 「ううん、もう大丈夫だよ。お母さん、ありがとう」


 そう言うとお母さんは私を優しくハグして包み込んだ。


 「ああよかった。フランに何かあったら、私は……」


 「ごめんなさい、心配かけて、ごめんなさい……」


 「もういいの。あなたが無事なら、それでいいの」


 私はお母さんにひしっと抱きつき、小さく嗚咽をあげてしばらく泣いた。




 ようやく落ち着き、私が着替え終わるとお母さんが尋ねてきた。


 「フラン、聞いてもいい? どうして積み荷にぶつかったのかしら?」


 厳しく追求するような感じではなく、優しく聞き出すような感じだ。


 「えっとね……白雀を捕まえようとしてね、思いっきり飛び出したら思ったより速すぎて止まれなかったの……」


 冷静になって考えると激しくしょうもない理由だった。

 まるで道路にボールが転がっていったのを追いかけて事故にあうようなパターンだ。

 まんま子ども過ぎて中身が大人な私が息をしてない。

 間違いなく黒歴史の新たな1ページだよね。

 なんてこった。

 むぁー……。


 「そっか、フランは素早いのね。じゃあ次は失敗しないようにするにはどうすればいいかな?」


 「危なくないか辺りをよく見て、走っちゃいけないか気を付ければいいんだよね?」


 「そうよ。辺りをよく見るのはとても大事ね。でも走っちゃいけないってことは無いわ。思いっきり飛び出したり走ったりしたらどれくらい速いのか知ればいいのよ。それに思った通りに動けないと危ないし、何より獲物を狩れないわ」


 わお、娘に対する説明に「狩り」が平然と入ってきた。

 獣人族の文化を感じる。すごい。


 「う、うん、そうだよね。今度お庭で確かめてみるね」


 いつまでも前世の人間の感覚じゃまずいのかもしれない。

 身体能力は前世の4歳児と比べて考えられないほど高いし、瞬発力に至っては下手しなくても前世の大人な私より高い気がする。

 今度真面目に確認しとこう。



 そしてさっきからすっごい気になることがあるんだけど、聞くなら今しかない。


 「ねえ、お母さんの手が光ったら痛くなくなったけど、あれってなあに?」


 「あれは回復魔法よ」


 きたっ!

 魔法きたっ!!

 回復魔法きたっ!!!


 冒険者に魔法使いっぽい人がいたので魔法は存在自体はあるとは思ってたけど、獣人の魔法使いっぽい人は見たことなかった。だから私には魔法に縁は無いって思ってすごしてきた。

 でも、もしかして、もしかすると!?


 「獣人って魔法使えるの? それにお母さんが使ってるのを見たのは今日が初めてだよ?」


 「ほとんどの獣人は魔法が使えないわね。使えても火種くらいな物よ。でも私たちは魔法が使える珍しい種族なのよ。それと私は魔法をよく使ってるわよ? 薪に火をつけるときとか」


 え?

 うそ?

 …………

 思い出すとコンロでもないのに、確かにいつの間にかかまどの薪に火が着いてた記憶がある。

 火打石はあるのは知ってるけど、使ってるとこなんて見たことないし。

 そうか、あれって魔法でつけてたのか。


 正直、獣人は異世界ものの例にもれず魔法なんて使えないし関係ないと思い込んでいた。

 それがまさか私も使える可能性があるとなるとテンションアゲアゲだ!

 やったね!!

 レア種族最高!!!


 「ホント!? 私も使えるかな?」


 「使えるわよ。もちろん訓練が必要になるけどね」


 「お母さん、教えて! 私も魔法使ってみたい!」


 「まだフランには早いわ」


 「えー、なんでー!? いいじゃん! 私も使いたい!!」


 「う~ん……本当はもう少し大きくなってから言おうと思ってたんだけど……今から言うことは私とお父さん以外はほんの少しの人しか知らないことなの。私とお父さんの許可なしに他の人に絶対に話しちゃダメ。例えサラやミィでもね。それが約束できるなら教えてもいいわ」


 え、魔法を教えてもらうことってそんな大事なことなの?

 いったいどういうこと?

 でも、魔法が使えるなら構わない。


 「うん、約束する。だから教えて?」


 どんな約束も守っちゃうよ。

 んふふん。


 「分かったわ。まず魔法について教える前に、私たちの種族について教えるわね。私たちはケットシーっていう珍しい種族なの」


 ケットシーって前世の伝承で出てくるやつだったような?

 あと、国民的RPGの最後のファンタジーにも出てきて仲間になるキャラだったのは覚えてる。まああれはロボットだったけど。

 まあ何にせよ、どうやら私はレア種族だった。





魔法が使えそうな獣人と言ったら狐獣人が一番な気がしますが、猫獣人でもケットシーなら魔法が使えても良さそうじゃないかな?

と思いました。割とアバウトです(^^;)


次回更新は11/4(土) 22:00の予定です。

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