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ネコミミ娘に転生したので楽しく気ままに生きたい  作者: 星川 咲季
■第2章 魔法習得の訓練編(4歳)
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第29話 事故と光る手

ちょっとシリアスっぽいです。

痛いのが苦手な方はご注意ください。


 4歳になった春のある日、私はお母さんと一緒に冒険者ギルドから帰ってくる途中、今後の私の人生を大きく左右する出来事が起きた。




 お母さんは野菜を買うために露天商の店主さんに話しかけていていた。

 私はその間は暇なのでいつものように面白いことが無いかきょろきょろしていた。


 そこに1羽のよく見かける鳥がちゅんちゅん鳴いて道路を行ったり来たりしていた。

 器用に行きかう人々を避けつつ地面をつついている。エサを探してるんだろう。


 「ちゅんちゅん鳴いてるけど、そういえばなんていう鳥なんだろう?」


 ぱっと見は雀に見えるんだけど、背中の部分にも白い羽が多く混じってる。

 前世で見かけた雀に白い羽だから白雀(仮)って呼んでみる。

 白雀(仮)は道路からこちら側にやってきた。

 相変わらず地面をつついてる。


 「ねえお母さん、あの茶色と白色でちゅんちゅん鳴いてる鳥って何て言うの?」


 「この鳴き声は白雀ね」


 お母さんはこちらを見ずに教えてくれた。

 相変わらず野菜を眺めたり店主さんと話してる。


 適当に白雀(仮)とか呼んでみたけどあってた。

 次からはちゃんと(仮)は抜いて呼ぼう。

 私は白雀が気になってふらふらと近寄って行った。

 意外と近寄っても大丈夫だ。


 ちゅんちゅん


 あ~、雀って丸っこくて可愛いよね~。

 癒されるわ~。


 でもなんでか目の前をうろうろされると無性に気になるんだよね。

 うずうずする的な意味で。


 これって猫獣人としての血のせいなのかな?

 サラさんの茶色いポニーテールにはもう慣れて大丈夫だけど、対象が動物となるとまた違うのかもしれない。


 とって食べるわけじゃないけど、ものすごく捕まえたい。

 獣人の身体能力なら捕まえられるのかな?

 捕まえれたら飼ってみたりとかできないかなあ。


 そう思って音を立てずにゆっくりゆっくりと白雀に近づいて行った。


 ちゅんちゅん


 あ、白雀と目が合った。ぐっと白雀が身構える。

 飛ぶつもりだ!

 捕まえるには今しかない!


 「今だっ!」


 地面を蹴って飛び出すと思った以上の速度に自分自身でびっくりした。


 って、目の前に積み荷の山が!


 「きゃあああああぁぁぁぁぁーーー!!!!」


 ドーーン!

 ガッシャーーーン!!

 ガタガタッ、ガタガタガタッ!!!


 激しい激突音とともに、崩れた積み荷が私に降ってきた。


 「フラン!!」


 お母さんの悲痛な叫び声が聞こえた気がした。


 一瞬、スローな感じで崩れてくる積み荷が見える。

 でも私の体は反応できず動けない。


 積み荷である木箱や樽、麻袋が次々に私を打ち据え、私は積み荷に押しつぶされた。


 「ーーーッ!!!」


 痛い、痛い、痛い!


 あまりの激痛とショックで声が出ない。



 痛みが全身を駆け巡って動けないでいると、ふと私の上から何かがどけられた。

 気づくと私はお母さんに抱きかかえられていた。


 ともかく体中が痛い。特に左足がズキンズキンと痛む。


 「フラン、大丈夫!?」


 どうやらすぐにお母さんが助け出してくれたようだ。


 あまりにしょうもない理由で怪我をして心配かけてしまったことに情けなくなり思わず謝った。


 「お母さん、ごめんなさい……」


 「そんなことはいいの。意識があって良かったわ。頭が痛かったり吐き気はない?」


 「ううん、それは大丈夫……」


 だんだんと酷くなる痛みで涙がぽろぽろこぼれてきた。


 「ううぅ……足が、左足が痛いよぉ……」


 「ちょっと見せてね」


 「いたーーーーーっ!!」


 痛い痛い!

 触んないで!!


 「……大丈夫よ、骨は折れてないわ。でも、ヒビが入ってるかもしれないわね。うん、これくらいなら何とかなるわ」


 触られた痛みで涙が溢れる。

 お母さんは何か言ってるけど、私は痛みで頭が真っ白になりそれどころじゃない。

 嗚咽を漏らしながら泣きじゃくるしかない。


 いつの間にかお母さんは左手で私を抱き支えつつ右手を私の左足にかざしていた。

 お母さんの右手から暖かい光が発すると、左足がぽわっと暖かい光に包まれた。


 「!!!???」


 「今治してあげるから安心なさい」


 私はお母さんの手が光ることにびっくりした。

 暖かい光に包まれた左足に何かが流れ込んでくるような感覚がした後、だんだんと痛みが引いていくのが分かる。

 そして赤く腫れ上がっていた足がもとに戻っていく。


 まだまだ体中は痛いままだけど、手から光が出るとか、光で痛みが引いていくとかファンタジー極まりない光景を目にして私は混乱した。


 な、なにこれ?

 もしかしてこれって回復魔法ってやつなの?

 ファンタジーすぎる!

 あ、でも私は獣人とかファンタジーな存在だった!

 え?

 あれ?

 でもこの世界の獣人って魔法使えるの?

 そもそもお母さんって魔法使えたの?


 「こいつぁ驚いたな。これならポーション無くても大丈夫そうだな。奥さん、積み荷は崩れただけだし後は俺がやっとくよ。早く帰ってお子さんの手当ての続きをしてやんな」


 「店主さん、娘がご迷惑をおかけしすみません。後日お詫びを……」


 「いつもひいきにしてもらってるし、箱や樽は壊れてねぇし、この程度なら何の問題ねぇ。どうしてもってんなら、後日お子さんが元気になった姿を見せてくれりゃあそれで充分だ。さ、早く帰った帰った」


 「すみま……いえ、ありがとうございます。失礼します」


 お母さんは店主さんにお礼を言ったあと、買った荷物を回収し私を抱きかかえて帰路についた。


 私は体中がまだズキズキ痛みはするものの、お母さんが回復魔法らしきものを使ったことにとても驚き目を白黒させていた。

 それこそ気付いたときには家に着いていたくらいに。





雀が目の前をちゅんちゅんしてたら仕方ないです。


次回更新は11/2(木) 22:00の予定です。

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