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ネコミミ娘に転生したので楽しく気ままに生きたい  作者: 星川 咲季
■第1章 異世界の日常編(3歳)
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第27話 文字を覚えた

ついにフランが文字を覚えて本を読み始める回です。


 月曜日。

 お母さんと一緒に冒険者ギルドに行く。当然、既に超お気に入りであるエプロンドレスを着ている。

 今日も背中に背負ってもらって移動しているわけだが、他の人のエプロンと見比べてついニヨニヨしてしまった。

 気持ち悪い顔になってなければいいんだけど。


 ギルドに到着した。

 朝のミーティング前、サラさんに会ったら大変なことになった。


 「サラさん、おはよう」


 「フランちゃん、おは、よ゛、くっ、萌……くはっ!」


 サラさんは笑顔で鼻血をふいた。

 マンガのキャラか。


 普通ならみんな何事かと心配するんだろうけど、この時ばかりは周りの人はドン引きだった。


 サラさん、落ち着いて。

 とりあえず落ち着いて。

 とてもいい笑顔なのに鼻息が荒いし、茶色の目がギラギラ輝いてるし、頭を振ってるわけでもないのに茶髪のポニテがブンブン揺れてるし、涎がたれかけてるし、なんか怖いので落ち着くまで近寄らないでほしい。

 鼻血でエプロンドレスが汚されたら困る。

 サラさんはすごいんだかすごくないんだかよく分からなくなってきた。



 そんなわけで、若干身の危険を感じたので速攻で資料室に退避した。

 ミィさんはいつもの紫の前髪パッつん、左右のお下げに、紫の目を半分閉じて眠そうな表情だ。ヘブン状態のサラさんを見てきたので安心感が違う。


 「おはよう、ミィさん」


 「……おはよう、フランシェスカ……」


 「見て見て、お母さんに作ってもらったんだよ。可愛いでしょ?」


 くるっと回る私を、ミィさんは頷き撫でてくれた。

 そうそう、これよこれ、私はこういう感じでいいのだ。



 ミィさんはいつものように文字表と図鑑、砂入りのお皿とペンを用意してくれた。

 そしてさっそくテストされた。

 土日を挟んで文字と読みを忘れそうになったかちょっと不安だったけど、杞憂に終わった。

 うん、大丈夫だ。


 「どお? もうちゃんと覚えたよ。これで本を読めるようになったよね?」


 「…………」


 ミィさんはじっと私のことを見て反応してくれない。


 「あれ? ど、どうしたの?」


 「……自分でやらせておいてなんだけど、フランシェスカのように小さい子どもがやりきれるとは思ってなかった。しかもたったの1週間で覚えた。驚愕。やはりフランシェスカは賢い……」


 おお、ミィさんが珍しくたくさんしゃべってる!

 文字しか勉強してないし、割とだらだらやってたので1週間もかかったって認識なんだけど。


 「そうなのかなあ」


 よく分かんないので、曖昧に答えておいた。


 それよりも、やっぱりミィさんは私が幼児だと分かったうえでやらせてたのか。

 鬼か。

 他の子には同じようにしないでほしい。


 まあ何はともあれ文字を覚えよう計画は思った以上に早くできた。

 感謝だね。

 そして、ちょっとは頑張ったんだからご褒美がほしい。

 大分仲良くなったと思うんだけど、今なら愛称で呼んでもらえるかな。


 「そうだ、私、頑張ったんだし、ご褒美にフランって呼んでほしいな」


 「……褒美がそれでいいの……?」


 「それがいいの。もうお友だちなんだし、フランシェスカじゃなくて、フランって呼んでほしいなあ」


 「……ん、仕方ない……フラン……」


 「やったー! ありがとー!」


 しれっとお友だち宣言も通ったし、サラさんに続いてギルドのお友だちができた!

 ひしっとミィさんに抱きつくとちょっと嬉しそうな顔をして撫でてくれた。



 少しすると、ミィさんは何を思ったのか急に本棚に行き、分厚い本を持ってきた。


 「……本を読むには必要……」


 相変わらず説明が無さすぎて分からない。

 なんかテーブルに置いたときにどんって重量級な音が鳴ったんだけど。

 これをどうしろと?


 「……辞書で調べれば読めるようになる……」


 首をかしげる私にミィさんが説明してくれた。


 なるほど、これは辞書か。文字を覚えた今、ついには辞書を引いて単語を覚えて読めと。

 確かに私が本を読みたいって言ったことに対する答えになってるよ?

 でもこの人さっきは「自分でやらせといて、私のような子どもがやりきれるとは思ってなかった」とか言ったよね。

 そうつらつら思う私にミィさんは続けてきた。


 「……文字と発音は対応している……単語の並びによって文字の発音が変わるケースはほとんどない……ゆえに辞書の使い方を覚えれば簡単……」


 イメージは日本語のひらがなのような感じだろう。これなら何とかなりそうだ。


 しかし、辞書を初めて見る幼児がいきなり使えたら不自然なはずだ。

 それに引きかたが違うかもしれない。素直に教えてもらおう。

 それにしても、ミィさんは私にいったいどこまで教え込むつもりなんだろうか。

 幼児相手にはもう少し自重した方がいいと思う。



 辞書の引きかたを教えてもらった。前世と同じだった。よかった。

 というわけで、さっそく植物図鑑のバラのページを読んでみる。

 文字は読めるようになったので、単語の発音が知ってる単語と当てはまるから、何となくは読めるようになってた。

 そこに辞書を引いて調べれば完璧だ。

 辞書の表現はとても優しいので分かりやすくてとても助かる。

 と思ったら、意外と載ってない単語はちらほらあった。

 まあ中世ヨーロッパっぽい時代だし辞書があるだけましか。

 分からない言葉はミィさんに確認していこう。



 こうして受付奥のテーブルや資料室を行ったり来たりして日々を過ごした。





サラは説明をしてくれるお姉さんキャラのはずが、いつの間にかコミカルな子になってました(笑)


次回更新は10/28(土) 22:00の予定です。

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