第21話 冒険者ギルドでのお昼ごはん
食事の仕方って人によって違うので面白いですよね。
祝! PV10000ヽ(´▽`)ノ
皆様に支えられ、投稿してから1か月でついにPVが10000超えました!
ありがとうございます(*´ω`*)
ミィさんが愛称で呼んでくれるようにするにはどうすればいいかな。
なんか作戦を考えちゃうぞー、と勢いづきそうなところで、お母さんとサラさんが戻ってきた。
残念。タイムアップだ。
「二人ともお待たせ」
「マリアンナさん、今の見てました? なんかミィがフランちゃんと会話してましたよ。ミィが他人に興味持つって珍しいですね」
「そうねえ、仲が良くて嬉しいわ」
改めて二人が並んでるところ見ると、サラさんって結構背が高く感じる。お母さんのネコミミの高さを含めて同じくらいだし。
考えてみたらこの国の普人はヨーロッパっぽい感じの見た目だし背は高いのかもしれない。私の基準は日本人の大きさだし。とすると、お母さんはこの国の基準より結構低いのかもしれない。一部は基準より明らかに大きいけど。
そんなとりとめの無いことを考えてると二人はプレートをテーブルに並べていき、みんな席についた。
みんな指を組んで食事の挨拶であるお祈りをする。
「「「「日々の糧をお与えくださりありがとうございます。いただきます」」」」
無口なミィさんはもしかしたら口パクかと思ったけど、この高性能なネコミミには小さな声ながらちゃんとお祈りの言葉を言ってることが聞きとれた。
おお、挨拶はちゃんとするんだね。
そう思いチラ見したら、いつもの眠そうな目付きではなくジト目で反応された。
え、思ったことがばれてる?
とりあえず誤魔化そう。愛想笑いだ。んふふーん。
「あぁ、フランちゃん、めっちゃ分かりやすい。ネコミミがぴこぴこ動きまくっててバレバレな所が可愛いわ」
「ふふ、そうねえ」
むぁー、まさかのバレバレだった!
前世は割りとポーカーフェイスは得意だったのでいけると思ってたのになんて罠!
獣人は感情隠すのが難しい種族だったの!?
うー、顔だけじゃなくネコミミの内側も真っ赤だろうな……。
ぺたんと伏せてるけど。
お昼ごはんの内容は、いつものライ麦パンのような黒パン、サラダ、お肉がゴロゴロ入った野菜スープだ。お肉がたくさん入ってて嬉しい。料理人のおっちゃんナイス。
とは言っても、体が小さいので量は幼児サイズなわけだけど。
ミィさんも小柄だから量は少な目だ。
それにしても、サラさんの食べ方は何度見ても上品だ。普通のお昼ごはんなのに、何て言うか優雅な感じで食事をする。前から不思議だったけど、貴族だって分かったらこの上品さに納得だ。もしかしたら上級貴族だったりするのかもしれない。相変わらず謎の高スペックだ。
前世も今も平民な私にはこんな優雅に食べることは無理だけど、丁寧に食べることはできる。獣人は野蛮だなんて言われないようにしなきゃ。それに私がはしたないとお母さんの教育が悪いって言われちゃうしね。中身が大人な私はできる幼児なのだ。んふふん。
そんなこんなで4人で食べたお昼ごはんはいつもより美味しかった。ミィさんは無口だけど、みんなでいると賑やかに感じる。
お昼ごはんを食べ終え、しばらくゆったりしたあと、お母さんは予定を聞いてきた。
「ねえフラン、午後はどうするのかしら?」
「またミィさんのとこに行くよ」
「そう、じゃあ4の鐘に迎えに行くまで大人しくしてるのよ。ミィ、申し訳ないけどよろしく頼むわね。フランの相手は手が空いたときで構わないし、無理しなくていいからね」
「……問題ない……」
「食器は私たちが下げるからミィはフランちゃんをしっかりエスコートしてあげるのよ」
サラさんの言葉にミィさんはこくりと頷くと私の手を握ってきた。
私たちは再び資料室に行き、鍵を外して中に入った。充満してるのインクの臭いが鼻をくすぐる。
午後も午前と同じように文字表の文字を復唱したり、少し飽きたら植物図鑑の別のページの花を眺めたり、また文字の勉強をしたりと、のんびり気ままに過ごした。
ちなみに資料室の隣にもお手洗いがあったので、行くときはミィさんに一声かけていった。お手洗いは自宅のものと変わりはない。落下防止のため下着を脱ぐけど、当然私用の籠は無いので、仕方なく抱えるしかなかった。
こういう穏やかな時間は好きだ。受付の中にあるテーブルにいて暇をしてるよりずっといい。
獣人だからか無性に体を動かしたくなる日もあるけれど、今日はそんなことはない。まあそんなときは裏庭に連れていってもらえばいいだけだが。
気づくと4の鐘が鳴っていた。
もう少しでお迎えが来るし、ミィさんにお礼を言わないと。
「ミィさん、今日は本を読んだり字を教えてくれてありがと。とっても分かりやすかったよ。それでね、もうそろそろお迎えが来るから帰っちゃうけど、また明日も来ていいかなあ?」
「……来るといい……」
そう言うと、ミィさんは私をそっと撫でてくれた。そして、いつもの眠そうな目付きではなく、優しい表情をしていた。
私も嬉しくなって目を細めた。
少しすると遠くからお母さんの足音が聞こえてきた。
私は猫獣人だからか、例え扉の向こうで鳴る小さな足音でも、お父さんとお母さんならいつの間にか分かるようになっていた。
前世の猫は飼い主が帰ってくるのが分かるっていうことを聞いたことがあったけど、たぶんそれに近い感覚なんだろうなぁと思う。
ミィさんは私の様子で察したのか、気づくと撫でていた手を離していた。
いつもの眠そうな目付きに戻り、文字表や植物図鑑を丁寧に本棚へしまっている。
ちょうど本をしまい終わったころにお母さんが資料室にやってきた。
「フラン、お待たせ」
「ううん、全然待ってないよ」
「ミィ、フランの面倒見てくれてありがとう。何か困ったことは無かったかしら?」
ミィさんはふるふると首を横に振る。
「そう、良かった」
「ねえお母さん、明日もここに来たいんだけど、いいかな? ミィさんはいいって言ってくれたよ」
「私は全然かまわないけど、ミィはいいのかしら?」
「……問題ない……」
「分かったわ。申し訳ないけど明日もよろしくね」
ミィさんはこくりと首を縦に振る。
「さ、帰りましょうか。フラン、ミィにお礼はしたかしら?」
「うん、したよ。でももう一回言うね。ミィさん、今日はありがとう。ミィさんが読んでくれてとっても嬉しかったよ。また明日ね」
まさかの幼児に文字を教え込もうと無茶ぶりするミィさんだけど、話すことが苦手なのに色々と教えてくれたし、実際に楽しかったし、ミィさんが頑張ったってお母さんに分かるようアピールだ。
「…………」
ミィさんは無言だったけど、ぶんぶん手を振る私に小さく手を振り返してくれた。
私たちは資料室を後にすると、他の職員さんたちに声をかけ冒険者ギルドの裏口から帰りの途に就いた。
普段無口だったり表情が乏しいキャラが微笑んだり優しい表情っていいと思うんです。
PV10000記念として10/22日(日)まで毎日更新します。
次回更新は10/20(金) 22:00の予定です。




