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ネコミミ娘に転生したので楽しく気ままに生きたい  作者: 星川 咲季
■第1章 異世界の日常編(3歳)
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第20話 お勉強とミィさんとの会話

ミィはなんだかんだと子どもには甘いです。


 私の前には文字表が広げられている。

 文字を覚えよう計画のため植物図鑑を音読してもらおうとしたら、話すことが苦手だから文字を覚えろと言うことらしい。こんな3歳児にも関わらずに、だ。


 ま、まあ嬉しい想定外でチャンスだしこのまま進もう。


 「この表があれば、私でも読めるようになるのかな?」


 「……そのために教えるつもり。覚えてくれると助かる。それに……」


 「それに?」


 「……本が読めるととても楽しい……」


 この子はとても素直なようだ。


 「うん、分かった。ミィさんお願い」


 「……読み上げる……聞いて……」



 こうして私は文字を教わることになった。


 ここに来たのはサラさんの2回目の休憩である2の鐘(9時頃)の少しあとのはずなので、お昼休みの3の鐘(12時頃)まではすぐだった。

 途中何人かの見知った冒険者が資料室に来て、勝手に本棚から本を取り出して読み、少しすると本を戻し出ていった。

 しかし、ミィさんは合間合間で注意深く一瞥するだけだった。

 本は高価なはずなので盗難や破損されないか気を使ってるのだろうが、私もよくカウンター越しに見かける人たちなので、ここの常連なのだろう。

 それ以外は付きっきりで見てもらっていた。

 もっとも、ミィさんは一度指差しながら読み上げたあとは、私が復唱し、この文字は〇〇って言うの?と確認し、正解であれば首を縦に振り、間違えると首を横に振るだけで、どうしても分からないとき以外はほとんど話さなかったけど。



 一通り文字を教わったあと、植物図鑑のバラのページを開き、バラの名前と最初の説明文を指差しながら音読してくれてるところで、お母さんが迎えに来た。サラさんに私の場所を聞いたんだろう。


 「フラン、ミィに本を読んでもらっていたのね。お利口に聞いていたかしら?」


 「うん、ミィさんに読んでもらってたよ」


 「ミィ、フランの面倒を見てくれてありがとう。サラに聞いたらミィに頼んできたって言うから、話すのが苦手なあなたには大変だって心配したのよ。だから、本を読んであげてるところを見て驚いたわ」


 「……マリアンナ、問題ない。長い目でみれば、これでいい……」


 「そう、なら良かったわ。これからフランとお昼なんだけど、ミィも一緒にどうかしら? サラも来るはずよ」


 「ミィさん、一緒に食べよ?」


 「……同席させてもらう……」


 「ありがとう、じゃあ行きましょうか」


 ミィさんは資料室に誰も居ないことを確認しドアに鍵をかけた。


 私たちはギルドの裏庭に行くと既にサラさんが奥のテーブルで待っていた。

 この小さな裏庭は職員用であり、職員は裏庭かミーティング室でお昼ごはんをとる決まりになっている。冒険者ギルドは受付ロビーの隣の部屋で飲食店を営んでいるのだが、そちらは依頼者や冒険者たち用だ。いるのはほとんど冒険者たちばかりだけど。


 「マリアンナさん、席を取っておきましたよ」


 「サラ、ありがとう。ミィも一緒だけどいいかしら?」


 「もちろんですよ。ミィと私の仲ですし。ミィ、ようやく来る気になったわね」


 「…………」


 「ああん、マリアンナさん、ミィが無視する~」


 「まあまあ、すねないの。ミィは私が誘ったのよ。ミィ、時々でもいいからまた一緒に付き合ってくれないかしら?」


 「……善処する……」


 「さ、それじゃあ私とサラがお昼ごはんを取ってくるから、ミィはフランとここにいてもらえるかしら?」


 「……問題ない……」


 「じゃあフラン、いい子にしてるのよ」


 「はーい」


 そう言うとお母さんとサラさんはいつものように厨房へお昼ごはんを取りに行った。



 ……



 会話がない。

 聞けば答えてくれるけど、そうしないと本当に何も会話がない。

 ちょっと気まずくなる沈黙だ。


 ……


 ん~


 むぁー


 何か話そう。

 とりあえず、午後もこのまま続けていいか聞いてみよう。


 「ミィさん、午後も教えてくれる?」


 「……仕方ない……」


 「じゃあよろしくね!」


 微妙な反応だけどOKしてくれた、と思う。


 ……


 なんか話さないとなんも言ってくれないよね。

 ここは幼児らしい感じで適当に話しかけてみよう。

 3歳児に気遣われるっていいのかミィさん。


 「ミィさん、もうちょっと頑張ればお花の本読めるかなあ?」


 「……まだ難しい……」


 「あとどれくらいで読めるかなあ?」


 「……あなた次第……」


 「そっかー。あ、名前はあなたじゃないよ。フランシェスカだよ。フランって呼んでね」


 「……分かった、フランシェスカ……」


 そういえば、サラさんにもお母さんにもなぜか愛称で呼ばない。なんでだろう?

 私的には結構仲良くなったと思うんだけどな。フランって呼んでくれてもいいのに。

 なんか愛称で呼ばせたくなってきた。


 「フランー。フランでいいのー」


 「……善処する……」


 ここは子どもの目力でプレッシャーをかけてやる。幼気な瞳はすごいんだよ?


 じー……。


 あ、若干ミィさんがしどろもどろしだした。


 「……しかしフランシェスカはとても賢い……」


 「そおなの?」


 目力きいたのかな?

 これは話題をそらしてる気がする。

 微妙に挙動不審な感じでミィさんから話を振ってきたし、反応がちょっと増えてきたし、なんかだんだん楽しくなってきた。


 「……肯定する。教えがいがある……」


 「んふふーん。ミィさん、ありがと」


 ミィさんが褒めてくれた。思わず嬉しくなってドヤってしまった。

 さて、愛称で呼んでくれるようにするにはどうしようかな。

 作戦を考えちゃうぞー。


 と思ってると、お母さんとサラさんが戻ってきた。

 残念。タイムアップだ。






無口キャラって本当に無口だと影が薄くなるので喋らせると無口じゃなくなります。


\ジレンマ/


次回更新は10/19(木) 22:00の予定です。

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