第185話 魔法少女フラン爆誕(?)
そんなわけで、いよいよ私の見せ場だ。
剣士『くそ、魔物の群れがすぐそこまで……ここまでか……』
白猫『おにーさん、お困りかな?』
剣士『……白猫か……なぜここに……』
白猫『だからもー、困ってないかって聞いてるの。助けてほしい?』
剣士『困ってる。せめて巫女だけでも助けてくれないか……いや、あれだけの群れだ。もう間に合わん。俺たちのことはいいから逃げるんだ……』
白猫『助けてほしいなら仕方ないなぁ。約束だしね。でも、この貸しは高いよ? あと、今から見るのは秘密だよ?』
元の台本では、このあとブローチを握るなんてアクションはなく、単に短剣を抜き、構えながら『私の本気、見せてあげる!』って言うの。
でも、台本のこの部分は戻らずポーズをいれたままだ。
ショートマントの胸元にあるブローチを握りしめてクルリと横に一回転し、その後、短剣を抜いて構える。
恥ずかしいセリフは無くなったから、これくらいなら全然OKだよ。
そんなわけでブローチを握りながらクルリと横に一回転。
さあこの後は短剣を抜いて決めセリフだ!
って思う間もなく突然ブローチから魔力を感じた。
私は思わぬ反応にびっくりしてブローチを見ると、ブローチがキラキラと光を放っている。
そしてすぐにステージ衣装からも光が溢れだし、私の体を包んだ。
あまりのことに体が硬直して動くことを忘れる。
「むぁー、な、なにこれどうなってるの!?」
「フラン、落ち着きますのよ。衣装に施した工夫が作動したのですわ」
エリーは気絶してる巫女役なのに器用に私だけ分かるように小声でアドバイスくれる。
それはいいんだけどさ、こんなの聞いてないよ?
工夫って衣装の工夫じゃないの!?
なんて思ってると突然体がスースーしだしたけど、光ってるからよく分かんない。
体の部分から光が止むと、フリフリな衣装が身を包んでいた。
そして腕の部分からも光が止むと、皮のグローブではなく肘まである白い手袋が現れた。指輪に腕輪までついてる。
同じように脚についても脛までカバーしてるブーツが水色のアクセントの入ったおしゃれなブーツに変わった。
そしてネコミミフードが脱げると同時に、自分じゃ見えないけど多分ネコミミ対応のリングと何かが出現。
最後に胸元のブローチの左右からリボンが飛び出すと同時にショートマントが白くなり、ばさりと背中側だけのマントに変わった。
「キター! 魔法少女キター! 完璧よー! なにこれめっちゃカッコ可愛くて尊すぎる! アタシの目に狂いはなかったわーー!!」
「まあ、なんて素敵なのかしら」
「フランが可愛すぎます!」
「…………むぁぁーー!?」
アイリやキャロちゃん、シアを始めとして野外がやいのやいのと騒ぎだしたことで、私も再起動した。
「どどど、どうなってるのー!?」
こ、これって間違いなく魔法少女セラキュアじゃ!?
「カットぉー!」
慌てる私にチェルシーの声がかかる。
「フランちゃん、違うわよ! ここは『私の本気、見せてあげる!』って言いながら魔法のステッキを構えるのよ!」
「え、いや、こんな風になるなんて聞いてないよ!?」
「なに言ってるのよ、台本の通りじゃないのよ! もう、本番まで時間がないんだからリハーサルは完璧にしなきゃダメじゃない!」
ど、どういうこと!?
それに魔法のステッキってなによ!?
間違ってないはずなんだけど!?
「だって、台本は元に戻すって」
「そうよ、戻したわよ」
「じゃあなんで」
「殿下の言う通り戻したじゃない。セリフを。忘れたの?」
「ええっ!? セリフだけ!? うそっ!?」
思わず王子様の方に振り向くと、既に彼は立ち上がっていた。
「嘘ではないぞ。ちゃんとセリフの件は戻すと話し、お前も同意したではないか」
「むぁー!? な、なにそれずるい! 元に戻すって言ったのに!」
「銀のが確認しなかったのが悪い。それに何だ? 降りてきてちゃんとやるという約束を破るのか?」
「う、それは……むぁーん……」
「それでいい」
王子様ひどい!
なんなのもう!
ニヤニヤするな!
その後、私は諦めてめっちゃ魔法少女をやった。




