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ネコミミ娘に転生したので楽しく気ままに生きたい  作者: 星川 咲季
■第1章 異世界の日常編(3歳)
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第16話 冒険者ギルドで観察しよう

受付嬢のサラさんが説明してくれる回です。


 私は猫獣人である。今の名前はフランシェスカである。

 どうして転生したのかとんと見当がつかぬ。

 何でも暗く暖かな所にいたが、この世界に生まれた時に驚きで泣き声をあげたことは朧気ながら記憶している。




 あまりの暇さに猫っぽい小説の出だしを考えてしまった。


 早くサラさん休憩になってくれないかな。

 それにしても、あのちょっと癖のある明るい茶髪のポニーテールを後ろから見てると、揺れ具合がいいんだよね。

 なぜだかほんの少しウズウズする。


 ……


 はっ!


 うん、たぶんこれ以上見てはいけない。

 あれは絶対トラップだ。

 絶対私を誘ってる。



 やることがないので、寝るか眺めるしかない。

 勝手に外に行ったり別の部屋に行くのは禁止されているのでとにかく暇だ。

 職員さんの近くまで行ってもいいけど、お仕事の邪魔になるだろうからあまり近寄れない。

 これ、普通の幼児じゃ耐えられないと思う。


 う~ん、そういえばなんか忘れてるような気がするけど、思い出せないなら今すぐでなくていいだろう。

 ぼんやりしてても仕方ないので、職員さんたちをもう少し真面目に観察しようかな。


 職員さんはクエストボードに新たな依頼の紙を次々とピン留めしているわけだが、壁に設置する場所によって依頼内容を確認する冒険者たちが違うように見える。

 何が違うんだろう?

 たくさん集まってるところは、街中でのお仕事をしてる人が多いかな。

 で、ちょっと奥の方は武装してる人が多いところを見ると、討伐系なのかな。


 うーん、よく分かんない。


 「フランちゃん、お待たせ~」


 サラさんが休憩時間になったらしく私に声をかけてきた。

 茶髪のポニーテールに視線が奪われそうになるけど我慢我慢。


 「サラさん、お疲れさま」


 「相変わらず大人しくて良い子ね」


 「そお? 暇だから寝たり眺めてるだけだよ」


 「普通、フランちゃん位の歳だと、あっちいったりこっちいったりするもんだと思うけどなあ。さすがマリアンナさんの教育の賜物ね」


 サラさんの考える通りです。中身が大人な私だから大人しくできているんです。

 何もやることが無いのはつらたん……。


 サラさんが貴族と分かった後でも私は丁寧語にはせず普通に話してる。

 記憶では自我が戻る前からこんな感じなので、今更変えるのも変だし3歳児が丁寧語とか使い始めたらおかしいからそのままだ。

 もっとも、サラさんの性格的には普通に話した方が良さそうな気もするし。

 そうだ、せっかくだからボードに集まる冒険者たちのことについて聞いてみよう。


 「サラさん、サラさん、ちょっと教えてほしいんだけど、いい?」


 「なになに~? 知りたいことがあるんならお姉さんが教えてあげよう」


 サラさんがなんかすごいドヤ顔。

 前世の年齢に当てはめると高校生くらいだし年相応で可愛いと思う。

 でも、この世界じゃ15歳で成人らしいから、周りの人に子どもっぽいと思われてるような気もするけど。


 「あっちのクエストボードに集まってる冒険者さんたちって、街のお仕事とか、魔物退治のお仕事とか、やりたいお仕事で分かれてるの?」


 「正解。もう少し詳しく言うと、あれはね、冒険者ランクで分かれてるんだよ」


 「ランク?」


 「そう、ランク」


 「ランクって、【鉄】とか【ブロンズ】とか、そういうの?」


 「そうよ、よく知ってるわね、フランちゃん」


 この世界識字率の問題か、冒険者ランクは文字ではなく【鉄】とか【ブロンズ】で表すらしい。


 「【鉄】とか【ブロンズ】で、やりたいお仕事を分けてるんだよね?」


 「そうなんだけど、単純にお仕事が分かれてるというわけじゃないわ。【鉄】のランクの人は街のお仕事だけやっていいんだけど、【ブロンズ】のランクの人は街のお仕事に加えて魔物退治のお仕事もやっていいのよ。ランクが高いとできるお仕事が増えるってことなんだけど、フランちゃん、分かる?」


 「うん、サラさんの説明分かりやすいよ。えっと、つまり、【鉄】より【ブロンズ】の方がランクが高いってことだよね? 【鉄】のランクの人はランクが低いから魔物退治のお仕事は受けれないってことだよね?」


 「そうよ、フランちゃん。すごいわ、3歳児とは思えないほど賢いわっ!」


 「んふふーん」


 そりゃ中身は大人ですからね!

 そしてすごい勢いでなでなでされる!

 え、なんかなでなでされすぎでちょっと熱い!


 サラさんのぐいっと手を押し上げる。


 「じゃあフランちゃんにランクのことについてもっと教えてあげよう」


 「うん、教えて教えて」


 サラさんは押し上げられた手を再び私の頭に乗せ、今度はゆっくり丁寧に撫でてくれる。

 撫でながらにっこりほほ笑むと、ランクのことについて教えてくれた。


 「よろしい。ではまず最初のランクは【鉄】。フランちゃんも知ってるランクね。主に街でお仕事をする人たちが持つランクよ。一番人が多いランクでもあるわ」


 「へぇ~」


 「次に高いランクは【ブロンズ】。これもフランちゃんは知ってるわね。魔物退治のお仕事ができる人たちのランクよ。【鉄】と【ブロンズ】で冒険者の半分以上を占めるわね。ちなみに12歳未満は【ブロンズ】にはなれないわ」


 「なんで12歳未満は【ブロンズ】になれないの?」


 「魔物退治はとても危険なお仕事だからよ。間違って子どもが魔物退治のお仕事を受けて怪我したり死んじゃったりしないようにしなきゃいけなくてね。フランちゃんは魔物退治できる?」


 「ううん、無理だよ。怖いしできないよ」


 「そう、普通、子どもは魔物退治できなくて当たり前。でもね、時々ケンカがすごい強い男の子が、「俺は強いんだぞ、魔物なんて楽勝だ!」って勘違いするの。ケンカなら相手が泣いちゃえばそれでおしまいだし怪我で済むけど、魔物はそんなこと関係ないでしょ? 泣いても見逃してもらえず殺されちゃうわ。だから事故が起きないように12歳未満の子どもは【ブロンズ】になれないようにしてるのよ」


 「そっかー。分かった。う~ん、でも、強ければすごいなーって思うけど、わざわざ怖い魔物と戦いたいって変なの」


 「そうね。きっと男の子は強くなったら、これぐらい強くなったんだって試したくなっちゃうんでしょうね」


 前世と比べると分かりやすい敵が「魔物」として存在しているだけに、この世界は男性が力試しがしやすい環境でもあるのか。命がけだけど。


 サラさんが3歳児相手に平然と生死に関する説明をするくらいだ。

 王都がいくら外壁に囲まれていて安全だと言っても、一歩王都の外に出れば生死に直結する脅威の存在が身近にあることは忘れずにいよう。




冒険者のランクに対応する英語(アルファベッド)を割り当てられればいいんですが、この世界には英語は無いので金属で代用です。


次回更新は10/13 22:00の予定です。

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