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ネコミミ娘に転生したので楽しく気ままに生きたい  作者: 星川 咲季
■第1章 異世界の日常編(3歳)
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第15話 冒険者ギルド職員のお仕事って何?

冒険者ギルドの説明回です。


 そんなこんなで雑談してると、他の受付嬢さんや職員さんたちも続々とミーティング室に集まってきた。

 職員チーフさんが号令をかけた。


 「おはよう、みんな集まったな。それじゃあ始めるぞ」


 朝のミーティングは、クエストボードに張り出す依頼について気を付けなければならない依頼の有無だとか、魔物の動向に関する情報だとか、不審者の目撃情報は無いかだとか、王都外の街道の治安状況だとか、各職員さんの体調だとか、そういうことを情報共有する。


 森に採取しに行く冒険者、魔物を討伐する冒険者、行商人の護衛をする冒険者、街中を中心に活動する冒険者など、冒険者は様々な活動をする。

 職員は、単に冒険者から依頼実施を受け付けるだけじゃなく、できる限り正確な情報で安全をサポートすることも大事な仕事なようだ。


 冒険者はすべて自己責任が基本だが、信頼性の低い情報で魔物討伐に向かった冒険者が死亡なんてことになったら、ギルドとしての信頼に影響するし、人的損失とデメリットが大きい。

 当然、依頼によっては不確かな情報にならざるを得ない場合もあるが、そういった場合は注意事項を明記したり、受け付ける際に説明することで、冒険者がリスクを判断できるようにするようだ。


 また、依頼者が冒険者をただの便利な雑用と扱ったり、不当な理由で依頼料を出し渋りさせないため、ギルドが依頼を受ける際は依頼達成条件や達成料等の情報明記が必要なことを依頼者にも意識してもらっているらしい。

 逆に仕事の態度があまりにひどかったり脅したりする愚かな冒険者がいた場合は、その冒険者に警告したり処罰するためにも依頼者に報告を促しているようだ。

 お互い仕事に対して真摯に向き合えるようギルドが仲介し舵取りするのか。


 ちなみに、依頼料が安いけど大変な仕事とかどう見ても不人気な依頼は、ギルド側が何とかして冒険者に受けてもらえるようにするらしい。

 依頼達成時にプラス査定とかしたりするのかな?


 さっきから、ようだとか、らしいばかりなのは、受付嬢さんや職員さんが冒険者や依頼者に話をしているところを聞いたり、サラさんに教えてもらっただけだからだ。


 私は職員ではないし、細かいことは知らない。

 楽しく気ままに生きるだけなら、将来はお母さんと同じようにギルドの受付嬢もいいんだけど、世界旅行をするっていう目的を見据えると、長期休業できる職業や立場じゃないとダメだ。

 むぁー、悩ましい。

 だいたい、そんな自分勝手ができる職業あるのかな?

 ……まだ私は3歳児だし、そのうち考えよう。


 ちなみに、私がお母さんの子どもでギルドに連れてこられてるのはほとんどの職員が知っている。

 お母さんの膝の上にしれっといるが、特に問題になったりはしない。

 保育園や託児所が無いのであれば、子どもを預ける親族がいない母親は家で面倒見るか、職場に連れて行って面倒見るかしかないだろう。

 お父さんとお母さん以外の親族には会ったことが無いし、祖父母の話を聞いたことが無いから、少なくとも近くに住んでいることは無いだろう。

 魔物が跋扈したり、医療技術が低そうなこの世界では、最悪、もういない可能性もありえるけど、こちらはあんまり考えたくない。

 そんなわけで、今現在、ここ冒険者ギルドに連れてこられる幼児は私だけだ。


 とりあえず、今日もいつも通り平和、なのかどうかは分からないけど、街道から外れた草原や森にいる魔物の分布に問題はないそうだ。

脅威となる対象の状況が分かるのは大事なことだ。



 ミーティングが終わり、職員さんたちはそれぞれ担当している場所へ向かった。


 私の担当する持ち場、もとい大人しくしてるスペースは、受付の中の方にあるテーブルと私用の登れる段差付き子ども椅子だ。

 一人で街中に出たり、ギルドの訓練場に一人で行くのは禁止されている。攫われると脅されているあたり、この世界では王都と言えども幼児が一人でふらつくのはやはり危険なのだろう。うぬぼれるつもりはないが、昨日初めてドレッサーの鏡を見て自分が可愛いと分かったため、マジで攫われると思える。なおのこと大人しくしているほかない。

 ただし、職員さんと一緒であれば、連れて行ってもらえるかは別としてギルドの建物内と裏庭に限り好きに移動可能だ。保護者が必要なんですね分かります。


 椅子の上に立ち上がれば、受付のカウンター向こうにいる冒険者たちが見える。

 もちろん、椅子の上に立ち上がる際はお行儀よく靴を脱ぐ。

 汚れ回避は当然だ。


 みんなどんな依頼が張り出されるのか待っているらしい。



 職員さんたちがコルクボードのような形のクエストボードに新たな依頼の紙を次々とピン留めしていってる。

 ある程度留め終わると、ボードを抱え、受付のカウンターから少し離れた壁にボードをセットしていく。

 クエストボードにいちいち張りに行くより断然早いし効率的だ。


 職員さんがボードから離れ、「それではどうぞ」と宣言すると、冒険者たちが一斉にクエストボードへ殺到した。

 少しでも割りのいい依頼がないかみんな必死に探しており殺気だっている。

 受付の中にいるけど正直ちょっと怖い。


 冒険者と一言で言っても多種多様な仕事をしている。

 カウンターの向こうにいる冒険者たちを見てると、ぶっちゃけ、ここ王都では街の中を中心に活動している人が半分以上占めてると思う。

 こういった街でお仕事する人も冒険者って言う。

 何でも屋みたいで便利な言葉だ。

 そりゃ外壁の外に行って魔物に襲われる心配をするより、安全な街中を中心に活動したほうがいいもんね。


 ちなみに、受付嬢さんの話を後ろから聞いてると、無条件で冒険者にはなれないようだ。

 最初に仮ギルド証を発行し、その後、誰でもできる依頼を規定数こなして初めて正式なギルド証を発行してもらえる。

 ギルドが仕事を斡旋するからには、最低限の信頼が無ければ話にならないのだろう。

 例外的に、身分が保証されてたり何らかの実績がある場合は、最初からギルド証を発行してもらえるんだと。

 身分が保証されている人は貴族とかかな?


 冒険者ってお宝を当てて大金持ちになったとか、魔物から街を守り名声を欲しいがままにするとか、夢にあふれた仕事に聞こえるけど、そういうのはやっぱり相当な実力者が前提で一部の人だけだろう。

 現実は大変そうだ。


 それでも、冒険者たちは真面目にお仕事に取り組みさえすれば、ギルドがしっかりサポートしてくれるから、比較的安定して仕事できると思う。

 生活できる収入を得られているかどうかは分かんないけど、これだけ人がいると言うことは何とかなるんだろう。





王都の冒険者ギルドは、街中にいるだけで魔物に襲われる心配はほとんどないため、ハローワーク的な役割が大きいです。


次回更新は10/11 22:00の予定です。

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