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ネコミミ娘に転生したので楽しく気ままに生きたい  作者: 星川 咲季
■第1章 異世界の日常編(3歳)
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第14話 冒険者ギルドの受付嬢サラさん

新キャラ登場です。


 ミーティング室にはいつも私を可愛がってくれる受付嬢のお姉さんがいた。

 名前はサラさん。

 普人族の10代半ばだと思う。西欧的な見た目なので年齢がちょっと分かりづらい。

 くりっとした茶色い瞳に愛嬌のある顔つきで、ちょっと癖のある明るい茶髪は、うなじが見えるよう上げて縛りポニーテールにしている。

 この世界にシュシュやゴムは無いので、ポニーテールにするのは地味に大変だと思う。


 サラさんは私を見ると花の咲いたような笑顔を向けてきてくれた。


 「フランちゃん、おはよう。今日もいい天気ね」


 「サラさん、おはよう。いい天気だね」


 「あれ? フランちゃん、目元がちょっと赤いけどどうしたの?」


 そういえばそうだった。


 「朝ちょっと泣いちゃっただけで、もう全然大丈夫だよ。それよりサラさん、お口の周りがちょっと汚れちゃってるよ?」


 「あ、ありがとうね。じゃあ、一緒にきれいにしよっか」


 「うん」


 サラさんは部屋の隅へ行き、甕から水を汲みハンカチを濡らしている。「げっ、さっきうたた寝した時のか……」と高性能なネコミミで聞こえたけど、私は良い子なので気にせず黙っていよう。


 私は戻ってきたサラさんに濡らしたハンカチで目元を拭いてもらった。

 その後、サラさんも口周りを拭き終わると、いつも通り私は座ったサラさんの膝に座らされ、ハグされたり、撫でられたりした。


 「ん~、フランちゃんは今日も可愛いわ~。もふもふだわ~」


 「ありがとう。サラさんはキレイで素敵だよ」


 可愛がってくれるのは嬉しいけど、ネコミミをもふりまくるのはやめてほしい。


 そうこうしてるうちに、職員の制服に着替え終わったお母さんもミーティング室にやってきた。


 「サラ、おはよう。いつもフランを可愛がってくれてありがとうね」


 「おはようございます、マリアンナさん。可愛い子を可愛がるのは毎日朝日が昇るくらい当然です」


 「ふふ、それでもありがとう。空いてる時間でもフランの相手をしてくれるし、本当にとても助かるわ」


 そう、サラさんは休憩時間になると色々とお話ししてくれるのだ。

 暇で仕方ない私にとって、とてもありがたいお人なのだ。

 ついでにもふられるけど。


 「いえいえ、私がやりたくてやってることなので気にしないでください。それにしても、私もフランちゃんみたいな賢く可愛い子が欲しいです。誰かいい人はいないかな~」


 サラさん、まだ女子高生くらいの年なのに、もう結婚願望があるみたいだ。

 この世界では15歳で成人らしいし、この世界ではこれが一般的なんだろうか。


 「あら、サラは強くて可愛いくて若いんだし、それに王都冒険者ギルドの職員とエリートなんだから選り取り見取りじゃないのかしら。昨日、ギルマスに男性からアタックされたって聞いたわよ?」


 「あー、それですかー。あれはダメです。女性を都合のいい道具とか奴隷としか思ってない例のあいつですよ。あいつ、なんて言ったと思います?「ふむ、俺のものになれ、奉仕させてやる」ですよ、信じられます?」


 うわ、これはひどい。

 何をどうしたらそんな言葉が出るのか謎すぎる。


 「アタックって精神攻撃のアタックじゃないの。ギルマスも微妙な言い回しを……。それじゃあ選択肢にすら入らないわね。私もあれは嫌いよ。下品だわ。問題行動を起こしてはいないから罰則対象にできないけど……」


 「ですよね~。同じ貴族だと思いたくもないわ。あんな時代遅れの恥知らずな貴族がこの国に未だいるなんてと何度嘆いたことか。旅の者が王都の貴族を見て残念な印象を持たれるのはこの国にとって大損失よ。箔付けのために冒険者なんてやるなっつーの。しかもマリアンナさんの胸をじろじろ見やがって、何度目潰ししてやろうかと思いましたよ」


 「まぁ、問題を起こした時は切り取ればいいわ。そうすれば女性の気持ちが分かるようになるでしょうし。何か問題行動を目撃したことがないか、みんなで注意しておきましょうか」


 「ですね。ブラックリストに入れておきます」


 サラさんは激おこだ。

 それにその貴族ってギルドの女性職員全員から要監視対象にされるレベルとかどんだけヤバい人なんだ。


 それにしても、切り取るとか危険なワードがしれっと出てきたんだけど……。

 具体的に何を切り取るのか言ってないけど、多分男性にとって大切な何かなんだろう。

 お母さんに色目をつかうような奴みたいだし、どうなろうが知ったことじゃないけど、貴族相手に何かを切り取るくらいの過激な処罰ってことは、その問題行動って犯罪とか人命にかかわる危険な行為なんだろうか。関わり合いたくない。


 あと、サラさん貴族だったのか。

 なんで貴族が受付嬢やってるんだ。


 「じゃあ、サラはどんなタイプがいいのかしら?」


 「私はケインさんみたいに強くて優しくてイケメンで素敵な男性の方がいいんです」


 なんか「キリッ」って聞こえてきそうな表情だ。

 やっぱりお父さんを知ってたらそう思っちゃうよね。

 でも、うちのお父さんのような人は他にいないと思う。

 そして比較対象となってしまうお父さんという高レベルの男性が身近にいるだけに、私は将来結婚できる気がしない。


 「私が言うのもなんだけど、ケイン並みの人って他にいるのかしら?」


 「今のところいませんが、きっといつか現れてくれることを祈ってます」


 サラさんが血涙を流しながら言ってる。

 あと若干抱きしめる力が強いので緩めてほしい。





サラさんは最初説明するためだけのキャラだったはずが、気づくといい扱いやすく愉快なキャラになってました。


次回更新は10/9 22:00の予定です。

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