第145話 寮に引っ越し
私は黒髪黒目の少女シアと一緒に王都北西側にある寮までたどり着いた。
寮母さんに挨拶を済ませ、私たちはそれぞれ割り当てられた部屋に向かう。と言っても、シアの部屋は入り口から一番近いところで、その次に私なので割とすぐなんだけどね。
多分、身分の低い人から近いところなのかな。
「フラン、手伝ってくれてありがとう。あとは私一人でやれるからその辺にほかっといて」
「はーい」
私はシアの大量の荷物をシアの部屋に運び込んだ。
寮までの道中でシアが力尽きそうだったので、代わりに私が持ち運んだからだ。
普通荷物は大量になるよね。
学業で使う筆記用具、制服、私服、下着などの衣類、私物などなど。バックパックやショルダーバッグ、トートバッグっぽいものがパンパンだ。逆によくこれだけで済んだのかも。
まあ前世の日本みたいにコスメの類いがほとんどないってのも大きいと思うけど。
と言うより、平民にはコスメの類いはほぼ無いんだよね。
じゃあ貴族にはあるのかと言うと、あるにはある。
化粧水、美容液、乳液っぽいもの位らしいけど。
エリーのお母さんであるヴァージニア様が言うには、王国は多種族国家であり肌の色が違うなんて当たり前。メイクは自分の種族や血筋を否定するような行為に捉えられるので、基本的にメイクするのはあんまり良くないんだって。
なので使われるのは化粧水、美容液、乳液とかその辺までっぽい。自前の肌をもちもちプルプルな美肌にして見せることが重要なんだって。
口紅は式とかイベントで使うらしく普段使いはあんまり無いみたい。
前世じゃ社会人はメイクするのがマナーだったので、この辺の感覚は凄く不思議に感じた。
人種どころか違う種族までいるこの世界では、メイクの意味が前世と180度違うって驚いたんだよね。
世界が違うと文化や価値観も違っていてすっごい面白い。
まあメイクが必要ないならないで構わないけどね。
ぶっちゃけ楽だし。
お母さんはすっぴんにも関わらず美人で可愛いから、その遺伝子を継いだ私も将来はそうなれるはず。期待大だ。
「じゃあ私は自分の部屋に行くね」
「うん。私のとこにはいつでも遊びに来てくれていいからね」
「私のとこもだよ。じゃあ、またね」
あんまりシアのとこにいてもお邪魔になっちゃうので、私はシアの部屋を出る。
そしてこれから自室となる部屋に入っていった。
部屋には勉強机にベッド、タンスがある。クローゼットもちゃんとある。
エリーやアイリが来てもスペース的には全然余裕。
自宅の自室よりも多少広いと思うので、お茶会用の小さなテーブルを入れても大丈夫かな。
とりあえずアイテムボックスにしまってあるものを片っ端から取り出してタンスやクローゼットにしまっていく。
当然、マイ枕も持ってきてるよ。
マイ枕が無くても普通に寝れるけど、やっぱり使い慣れたものがいいんだよね。
小物類はみんな持ってきた。
スラちゃん用のベッドもちゃん持ってきてる。
あ、スラちゃんのベッドは石臼ね。餅つきで使いそうなやつ。あれは安定感があって好きっぽい。
私が石臼を部屋の隅に設置すると、スラちゃんはバッグから飛び降り、器用に石臼へと向かっていった。
それにしてもアイテムボックスは本当に便利。
冒険者活動に便利だろうってことでエリーとアイリの3人で作った魔法だけど、日常生活でも大活躍なんだよね。
アイリやお母さんからは、悪用する人に狙われるといけないから人前で使わないようにって話なので気を付けてるけど、それを差し引いても最高。引っ越し業者要らずだよ。
そんなこんなで割と短い時間で片付いたので、私は備え付けのベッドの寝心地を確かめる。
うん、まあまあかな。
でも自宅にある私が買った高級ベッドの方がいい。
多分この部屋は平民向けなので上質な部類なんだろうけどね。
備え付けとしてはとてもいいと思う。
とてもいいと思うけど、取り替えちゃおっか。
というわけで備え付けのベッドはアイテムボックスにしまい、代わりに自分のベッドを設置した。
パクるつもりはないので、後で寮母さんには取り替えたことは伝えとこう。エリーの家に預かってもらったってことにしとけばいいかな。実際にアイテムボックスの紙を預けとけば事実になるし。
そんなわけで私の引っ越し作業も無事に完了だ。




