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ネコミミ娘に転生したので楽しく気ままに生きたい  作者: 星川 咲季
■第5章 冒険者活動と日常編(8歳)
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第99話 負けず嫌い

4/7 誤字修正しました。


 王子様が驚き反射的に目を閉じた隙に、私は王子様の首筋にダガーサイズの木剣を突きつける。

 そして、王子様が目を開けると同時に言葉にする。


 「これで私の勝ち、ですよね?」


 「なっ! くっ……! ま、参った……」


 王子様は抵抗せず、いや、抵抗できずに負けを認めた。


 「勝者、フランシェスカ様!」


 セバスチャンさんの勝利宣言が広場に響き渡った。



 やった。

 勝てた。

 勝てたよ!

 私、できたよ!!



 「おーーほっほっほっ! おめでとう、フラン! 素晴らしかったですわ! おーーーほっほっほっ!」


 ああ、エリーに高笑いさせてあげることができた。

 エリーの高笑いは、なんか、こう、言葉ではうまく表せないけど、すごくいいんだよね。

 え?

 分からない?

 いいんだよ、私がいいと思えればそれで。


 私は呆然とする王子様に一礼すると、エリーたちの元に駆け出した。


 「エリー、アイリ、勝てたよ! 私、うまくやれたよ!!」


 「ええ、しっかり見てましたわ! 素晴らしい勝負でしたわ!」


 「おめでとう、フラン! 最後の動き何よあれ! ほんと凄かったわ!」


 「二人ともありがと!」


 うまくいって本当によかった。

 嬉しい!


 「それにしても事前の作戦じゃ木剣は二本って話だったけど、三本持っていったり、最初に一本投げたりしたから正直ちょっと心配だったのよ」


 「アイリ、フランは(わたくし)の作戦を補ったのよ。最初に一本投げたのは、捨てる二本目に注目させたかったからだと思いますわ。事実、捨てる二本目をうまく使って猫だましをする隙を作り出していたもの」


 作戦にないことをしたから、正直どう言おうかと思っていたら、エリーは私がしたことをお見通しだったようだ。


 「よくわかったね。エリーの言う通りだよ。隙を作るための猫だましだけど、猫だましをするにもちょっとでも隙を作った方がいいかなって思ったんだ。でね、どうせ木剣を捨てるならうまく気を逸らせるために使えそうかなって思ったんだ」


 「うっわ、ミスディレクションよねそれ。フランって幻の6人目とか呼ばれたことありそうだわ。土壇場で思いついて、しかもそれを成功させるとかどんだけよ」


 誰だよ幻の6人目って。


 「それだけではありませんわ。猫だましをしたあと、右手で木剣を突きつけるだけじゃなく、左手で相手の木剣を持つ右手首を掴んで反撃させなくした上に、右足で相手の左足を踏んで動けないようにもしていましたわ」


 「エリーよく見てるね」


 普通、木剣を相手の首筋に当ててる時に手足まで見ないと思うよ。

 エリーは本当によく見てる。


 「え、な、何よそれ。アンタそんなことまでやってたの? だから殿下は素直に負けを認めたのかしら。フランがチート過ぎる件について」


 「さすがに勝負といっても王子様に木剣をぶつけるわけにもいかないしね。単純に木剣を突きつけただけだと、それ以上私が何もできないと見透かされて木剣を弾かれたり、反撃されると思ったからだよ」


 手足それぞれを違うことさせるために動かすってのはいつも訓練っぽい運動でやってるから特別なことじゃない。それどころかしっぽを使ったり魔法発動が無いだけマシだ。


 「アンタってやっぱり獣人ね。そういう戦闘センスはホントすごいと思うわ」


 「そうそう、最後の勝負を仕掛けたときから勝負が終わるまで、フランの瞳孔が猛獣のように縦に細長くなっていてカッコ良かったですわ」


 自分の瞳孔がそんな風になってるなんて気が付かなかった。

 鏡を見た時に瞳孔が細くなるなんてことはないから、体を動かすときに集中するとそうなるのかな?

 よく分かんないけどまあいいや。


 「なにそれ! アタシも見たかった!」


 「フランと勝負すれば見れますわ」


 「それは勘弁」




 そんな感じで私たちはキャイキャイ喜びあっていると、王子様たちがやってきた。

 エリーは何か言いたそうな王子様に先だって声をかける。


 「フランが劣っていないとお分かりいただけたかしら?」


 「……まあな。でも同じ手は二度は通じないからな」


 「もちろんですわ。剣術だけの勝負だったらフランが獣人とは言えどもさすがに殿下には敵いませんもの。それでも、今回のように殿下が油断していればの足元を掬うだけのことはできますわ」


 「ふん……」


 むすっとしてるけど、事前に提示したルール通り結果は受け入れてくれたみたいだ。

 エリーの作戦通り。良かった。


 「なあ! 今度は俺と勝負しようぜ!」


 しかし、なんとマッシュ様が空気を読まずに勝負をしかけてきた。


 「いくらフランでも、このまま(・・・・)ではマッシュ様には敵いませんわ。それに服装だって今はカジュアルなエプロンドレス。そんな服装ではフランは十全に動けませんもの」


 「そうなのか? やっぱりその服じゃ都合悪いのか?」


 マッシュ様が私にも聞いてくる。


 「えっと、ちょっと動きづらい、かな?」


 「なんだ、ちょっとくらいならいいだろ別に」


 そう言われるとつらい。

 どう答えようか迷ってるとエリーが助け舟を出してくれた。


 「フランがジャンプしたり本気で激しく動いたら下着が見えてしまいますわ。マッシュ様、女性の下着を見たいだなんてエッチですわ、破廉恥ですわ」


 「お、俺は別にエッチでもハレンチでもねーし!」


 「それでも勝負をお望みならば、また後日ですわ」


 「む、しかたねーな。また今度だぞ!」


 マッシュ様はそういうと私の肩をバシバシと叩く。

 地味に痛い。

 私は結構です、とすごく断りたい。

 女の子相手にバシバシ叩くなよ、女の子相手に勝負しかけるなよとつっこみたい。

 しかし脳筋っぽくてもマッシュ様は貴族だ。平民の私に拒否権はない。

 それにエリーが明確に拒否しないところを見ると、多分無駄なんだろう。


 「マッシュとの勝負ができないのなら仕方ない。ならば次の勝負だ」


 むぁー、まだやんの?





次回更新は4/10(火) 17:00の予定です。

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