第60章最終戦編 あけましておめでとうございます
今回の一言・・・・・・「いまさら」
いまさら「あけおめ」ですよ。タイトル!
本当は一月に入ってすぐ書きたかったんですが・・・・・・
最終決戦編もコレで最後です。長かった・・・・・・
落ちてきた雷によって眩い光に包まれた良祐と蓮、周りの空たちは腕で目を隠した。
「良祐!!」
二人の不安な声が光の中にいる一人の青年の名を叫んだ。
「そんなに大声で人の名を呼ぶな・・・・・・」
光が消えたが、雷と良祐の振った刃の衝撃で出来た土煙で良祐の姿は見えないが、いつも通りの声が聞こえてきた。
「勝ったぜ」
土煙が消え始めると良祐の姿がゆっくりと見えてきた。空と紅希の瞳に映る姿は、右肩に刀を掛け、こっちを見てくる黒い瞳。
「良祐!!」
さっき、名を呼ぶ時の声と違って二人は感動しているのか嬉しいのか良く分からない思いを名前に込め名を呼んだ。
「バカやろう!!!心配させやがって!」
刀を投げ捨て空は走って良祐の下に行き、自分の腕を首に掛けた。
「ほんっと、心配したよ良祐・・・・・・」
空の投げた刀を拾ってゆっくり歩いてきた紅希が安堵した。
「悪かったな、紅希」
「良祐・・・・・・」
「ん?」
名を呼ばれ紅希から声の方向に視線を向けると百虎に肩を借りて立花が歩み寄ってきた。
「隊長、大丈夫ですか?」
意地悪な事を聞いてくる良祐を見てため息を付く立花。
「コレが大丈夫なように見えるか?」
「見えないっすね」
二カっと笑う良祐の表情を見て立花は安心した。一つの点以外は・・・・・・
(今は・・・言わなくて良いか・・・・・・)
「それにしても強くなったな良祐」
立花のすぐ横、百虎が口を開いた。
「百虎、そんな事ないっすよ」
「謙遜するな良祐。それと今のオレは竜也だ」
百虎の時と同じく間違える良祐に訂正した。
「あ、すいません・・・・・・ん?」
「どうしたの?」
「どうした?」
誤った後に何か疑問を感じた良祐に空と紅希が顔を見てきた。
「今は竜也隊長ならオレ、初めて竜也隊長に褒められた?」
「ん~」
昔を思い出す仕草をする紅希と立花。
「そうかも」
「良かったな、良祐。竜也が褒めるなんてめったに無いぞ!!」
「うるさい!!」
言い終えると肩から立花を落とした。
「いって」
尻餅をつく立花に良祐達は笑っていると後ろから背中の中心をツンツンと小突かれた。
「はい?」
空の腕がまだ掛かっているので首だけ出来るとこまで後ろに向けると、そこには傷だらけの桜と聖華がいた。
「先輩!?大丈夫なんですか?」
良祐の「先輩」と聞いて空は腕を外し良祐は後ろに振り返った。
「えぇ、何とか・・・・・・」
「そうですか、良かった~」
安心して息を吐く良祐をみて微笑む桜。
「成瀬君」
「はい?」
突然声を掛けられすぐに視線を向けた。
「高藤君と桜、本当に何でもないの?パーティーの時も違うって言ってたけど」
聖華の言葉を聞き少し考え込んだ紅希はゆっくりと喋り始めた。
「二人とも、気付いて無いだけですよ。自分の気持ちに」
「言うわね」
「いえいえ」
などと話していると立花がある方向に歩き始めた。もちろん竜也の肩を借りて。
「まさか、最後の一撃がコレほどとは・・・・・・」
「凄まじいな」
二人の見た光景は雷と斬撃の衝撃によって削り取られた地面の真ん中に動かない人影が一つ。
「・・・・・・」
「む?」
後ろに気配を感じ振り向くとさっきまでいなかった人物がそこにいた。
「春間・・・・・か。どうした?」
「戦闘していた人形が全て動かなくなったのでもしかして、と思いまして」
「そのもしかして、だ」
口元を緩めながら話す竜也と春間。
「よし、後片付けをするぞ。動けるやつをここに招集」
立花の言葉に頷き春間はその場を後にした。
「タルタロスの門よ罪を犯した哀れな傀儡に魂の断罪を」
招集された人数は60人前後の騎士団だった。
立花を中心に60人の騎士が囲み呪文を唱えた。
唱え終えるとさっきまで山の中に倒れていた数百の人形が綺麗になくなった。
「数百人の騎士団がいて残ったのは動けないでいるやつと合わせて150人・・・・・・か」
「結構やられたね」
「あぁ」
何だかんだで現在5時37分
「おっ!」
「ん」
「きれい」
誰の言葉か分から無いが良祐の瞳に映る今の景色は丁度日の出の瞬間だった。
頂上じゃないのでそんなきっぱりと見えないが朝日が良祐たちを降り注ぐ。
「よし、帰るぞ」
「はい!!!」
立花の合図で残りの騎士団は騎士城に向かい始めた。
「俺たちも行くぞ」
「あっ、ちょっと待った」
立花の行動をとめた良祐。
「何だ?」
止められた立花は良祐に振り返った。
「隊長、あけましておめでとうございます」
「えっ?」
突然の事で呆気にとられた。
「今日から新年ですよ」
「あ!」
忘れてた立花が声を上げた。もちろん空たちも。
「紅希、空あけましておめでとうございます」
「おめでとうございます」
「あけおめ」
紅希はちゃんと返し、空は手を振り軽く返した。
「勇美副隊長、おけましておめでとうございます」
「おめでとうございます」
きっちりお辞儀をして返す聖華。
「先輩、あけましておめでとうございます」
「おめでとうございます。今年もよろしくね」
「はい。こちらこそ」
二人は微笑ながら挨拶を交わした。




