第33章 病院
本日二回目の更新です。
いつもより長くなりましたので、そこんとこよろしくお願いします。
「ふぁ~。ねむ」
廊下で一人桜を待っていると中から桜が良祐を呼ぶ声が聞こえた。
「・・・・・・仕方ないか」
渋々部屋の中に良祐が入ると部屋の窓際にベッドがあり、そのほかにテレビ、冷蔵庫などが置いてある。いまさらになるがこの部屋は、春樹専用の部屋だ。
騎士団が人形のことを病院に話したので、春樹の部屋は他の患者とは離れたとこにある。
「失礼します」
「どうぞ~」
笑顔で良祐を迎えた春樹を見ると良祐はお辞儀した。
「・・・・・・」
「どうしたの、春樹?」
春樹は良祐を見るとじっと良祐を見つめた。それを不審に思い桜が口を開いた。
「いや、姉ちゃんが年下が恋愛対称だとは・・・・・・」
「っな?」
「ん~」
桜はさっきと同様顔を真っ赤にして驚き、良祐は困った顔し、頭を掻いた。
「え~っと春樹君。先輩とはそんな関係じゃないですよ」
笑顔で良祐は春樹に言った。
「ほ~」
「ん?」
春樹の表情は疑いの目で見てきた。
「すごいな、兄ちゃん!」
「ん?何がだい?」
良祐は、何がすごいか分からなかったので聞き返した。
「ん、今まで姉ちゃんの男友達と何回か会ったことあるけど、そんなにきっぱり言い切る人は初めてだよ」
満面の笑みで春樹は言った。
(そうなのか?)
「そっか」
心の中では疑問に思っているが口には出さなかった。
「姉ちゃん。この兄ちゃんだったら付き合っても良いよ。俺が許す」
「な、何言ってんの春樹」
春樹の満面の笑みに対して桜はさっきより、よりいっそう顔が赤くなっている。
(これなら、空たち連れて来れば良かったかな?)
だんだん桜が可哀想に思えて一瞬、空たちのことを考えた。
「そういえば、名前は何て言うんですか?」
「高藤良祐です」
良祐は年下の春樹に対して敬語を使って名を言った。
「良祐さん。アナタも騎士団なのですか?」
騎士団の言葉に反応した良祐は「えぇ」と答えた。
「・・・・・・」
「春樹?」
「姉さん。ちょっと席を外してくれる?」
「え?」
「少しで良いんだ」
「・・・・・・分かったわ」
春樹のお願いに桜は部屋から出て行った。
良祐は、部屋の扉に視線を向けた。
「良祐さん」
「なに?」
視線を春樹に戻した。
「姉さんをお願いできますか?」
「どういうこと?」
良祐は窓際に移動して窓を開けた。
「姉さんは、自分のせいでオレがこうなった思っているから、敵と戦うとき無茶すると思うんです」
「・・・・・・」
良祐は春樹の言葉に耳を傾けながら外の景色を見ている。
「だから、無茶しようとしたら止めてください。お願いします」
外の景色から視線を春樹に移した。
「あぁ、任せておけ。例えオレが止められなくても隊長たちが止めてくれる」
その言葉を聞いて春樹はホッとしたのか大きく息を吐いた。
「それと、もう一つ」
「何だ?」
桜を呼ぼうと扉に向かっている良祐に声をかけた。
「良祐さんは姉さんの事本当はどう思っているんですか?」
「っツ!?」
突然の事で良祐は何も無いとこで躓いた。
「・・・オレは・・・・・・」
言おうとした瞬間、制服のズボンから音がなった。正確に言うとポケットに入れてあるインフォメーションがなっている。
すぐに取り出してみてみるとメールが一通あった。
「先輩!」
「えぇ」
メールの内容を読むと外にいる桜を呼んだ。
「悪いな、春樹君。その質問は今度答えるわ」
そう言って窓に手をかけ外に飛び降りた。
「ごめんね、春樹。今度また来るから」
桜も同じように窓から飛び降りた。
「ここ三階だよ・・・・・・」
窓を見て春樹は呟いた。
「場所は?」
「B地区の工事現場。もう少ししたら空たちが来ます」
「分かったわ」
常人には見えないスピードで移動しながら短いやり取りをしていると運び屋が良祐たちの前に現れた。
「ありがと」
刀を受け取るとさっきよりスピードを速めた。
病院を出てから五分後目的地の工事現場に着いた二人は目を見張った。
工事現場にはさっきまで働いていた人の死体があちこちに散乱して動物が死体の肉を食べている。
「くそ」
「・・・やるわよ」
「了解」
返事をした瞬間、二人は死体をあさっている動物に突っ込んだ。
動物はこの前と同じ狼の形をしたタイプだ。
「らぁ」
次々と狼を切り裂いていく良祐に対して桜は狼が襲ってきた勢いを利用して極わずかな力で狼を切り裂いていってる。
「・・・・・・」
その様子を造り途中のビルの最上階に在る鉄骨に長髪で銀髪の青年が立っていた。
「・・・・・・」
青年は口元を緩ませて良祐たちの戦闘を見ていた。
「ふ」
数体の狼が一斉に桜に襲い掛かってきたがそれを高くジャンプして攻撃を避け、そのまま下にいる狼に向かって刃を振り地面に着地すると狼たちは粉々に切り裂かれた。
「終わりました?」
「えぇ」
良祐が確認すると桜が小さく頷きながら答えた。
良祐達は動物の後処理をしようとした瞬間どこからか拍手が聞こえてくる。
「誰だ?」
左右を見ながら良祐が声を上げた。
「ここ、だよ」
上から声が聞こえ、顔を上げるとビルの一番上の鉄骨に立っている青年を確認した。
「お前は・・・・・・」
「ふふ、久しぶりだね良祐」
「てめぇ、国生」
「国生蓮・・・・・・」
桜の視線が蓮を捕らえると怒気がこもった言葉を呟いた。




