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【ジェムストーンズ1人目 ガーディマン】〜みんなを護るため弱虫少年はヒーローになる〜  作者: 七乃ハフト
第3話 《選択 ヒーローとして進むべき道 》 〜大口怪獣トカゲラ、海藻巨人怪獣ベルント、鎌鋏バガーブ、 スーデリア星人ピーピー登場〜
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#18 お化けみたいな格好

「ところで、ユウタは何でここへ来たんだ?」


 ハカセは全く心当たりないように首を傾けた。


「今日は身体の検査に来られたんですよね」


  アシタはちゃんとメモリに記録していたようだ。


  でもハカセは何も思い出さないようで相変わらず首を左右に傾けている。


「ユウタさんの身体を検査するって、昨日イワガネさんから言われたじゃないですか」


「あっそうだったな。すっかり忘れてた」


「もう、お話聞いた後、十二時間もフィギュア作ってるから忘れちゃうんですよ」


「うるせー」


  ユウタは、ハカセの口から出たフィギュアの事も気になる。


 だがそれ以上に気になるのが、


「その、検査って何するの?」


「子犬みたいに怯えた目するなよ」


「してないよ!」


「何も身体を傷つけたり変な薬投与するわけじゃない。お前と……」


 ハカセはユウタを指差してから、人差し指と中指を立てた。


「お前ともう一人のお前の力を記録しておきたい」




「ここで身体測定します」


 アシタに連れてこられたのは、長方形の大きな部屋だ。


 部屋一面は清潔な白で、天井に埋め込まれた照明に照らされいる。


 床から天井まで六メートル。


 部屋の大きさはサッカーのグラウンドぐらいだろうか。


 一緒に付いてきたサヤトによると、ここはトレーニングルームらしく、格闘技の訓練や射撃訓練に使われているらしい。


(さすが、悪と戦う組織だから結構物騒)


 出入り口以外にもトレーニングルームには小さなドアがある。


  そこには簡易シャワー室と更衣室があった。


 ユウタは今更衣室にいる。


 サヤトに渡されたトレーニングウェアに着替えているところだ。


「フッ、フン!」


 鼻息荒くユウタは着替えている。


  渡されたウェアはジャージではなく、スポーツ選手が使うような身体にフィットしたものであった。


 一応サイズは合っていると言われたが、タイツのようなズボンを履くだけで一苦労。


「やっと、履けたー」


 キツめのタイツと短パンを履き終えたところで一息つく。


  下を着替えただけなのに、まるで運動したような疲労感。


  次に上半身裸になって着替えようとしたら、これまたキツイ。


  首を入れたが、それ以上先に服が進まない。


「これも、キツイの⁈ この、この」


  シャツのキツさに悪戦苦闘していると、


「ユウタ君。着替え終わっ……た」


 サヤトが様子を見に更衣室に入って来たようだ。


 しかしユウタはシャツに視界を塞がれて、どこにいるのか分からない。


「サヤトさん。ですよね? ちょっとシャツがきつくて。よかったら手伝ってもらってもいいですか? 」


  手を前に突き出したお化けみたいな格好のまま話しかけるが、返事がない。


 帰ってきた答えは想像してたのと違った。


「……外で待ってるわ」


  少し焦っていたような雰囲気だったが、ユウタには理由がわからない。


  無防備に晒していた白い上半身と、つい触りたくなる柔らかそうなお腹。


 それを見たサヤトの顔が真っ赤になっていた事に、目隠し状態のユウタが気づくはずもなかった。


 入れ違いに入ってきたアシタに手伝ってもらい何とか着替えを終えてトレーニングルームへ戻る。


「あれサヤトさんは?」


 待っているはずのサヤトの姿はない。


「サヤトさんなら、ちょっと急用ができたそうで、終わり次第戻ってくるそうです」


「そうですか」


  サヤトの様子に気づいてないので、特に気にする事はなかった。


  部屋の天井からハカセの声が聞こえてくる。


『準備はいいか?』


  ユウタからは見えないが、スピーカーが設置されているらしい。


「はい。それで何するんですか?」


「まずはこれからだ」


  床下から、複数の装置がせり上がってきた。


「体重計に身長計?」


『正解。よく分かったな』


「いや学校で見たことあるよ!」


『いいからさっさと計測しろよ』


 渋々、体重と身長を計測する。


 身長百五十五センチ。体重四十五キロ。


 今年行った計測と全く変わっていない。


「ユウタさん。次は血圧を測りましょう」


  初めての血圧計測。腕を締め付けるバンドは予想以上にきつくてびっくり。


  その所為かどうかは分からないが、もう一度測り直す事になってしまった。


 次に行われる検査も、ユウタにとって初めてのことであった。


 それは光を反射する銀色の細長い筒。


 その鋭い先端が、シャツの袖をまくったユウタの右腕に突き刺さる。


「イツッ」


「すぐ済みますから」


「はい。大丈夫です」


  筒の中に吸い込まれるように溜まっていく赤。


 それがいっぱいになると、次の筒と交換しそれも赤で満たされる。


「はい。終わりましたよー」


 アシタは看護師顔負けの手際の良さで採血を終わらせる。


  何でも医療技術プログラムがインストールされているらしい。


  ユウタは深く大きく息を吐く。


「これを上から当てて三秒抑えていてください」


  言われた通りに医療用ガーゼで三秒抑えると、出血は完全に止まっていた。


「気持ち悪くはないですか?」


  特に問題はないのでユウタは「はい」と答える。


「これで終わりですか?」


「三十分後に体力テストがあります」


「はあ」


(まだあるんですか)


 とは言えないユウタであった。

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