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【ジェムストーンズ1人目 ガーディマン】〜みんなを護るため弱虫少年はヒーローになる〜  作者: 七乃ハフト
第2話 《新生 最弱で最強のヒーロー 後編》 〜限界改造獣メカメカキョウボラス ムベホスアーマー 登場〜
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#10 ヒーローになるのは反対

 ユウタは、恥ずかしさで、体温の上がった身体を何とか落ち着かせ、姿勢を正して自分の決意を口に出す。


「母さん。僕は父さんの後を継いでヒーローになればいいんだよね」


  頼れるところを強調するために、自分の胸の前に左拳を持っていく。


  アンヌは息子の決意を聞いた途端に、劇薬でも飲んだかのような苦しそうな顔をして、弱々しく首を左右に振った。


「違うの?」


  ユウタは自分の出自を知って『この世界を守るヒーローになる』と決意したのに、水を差されてしまった。


「座って」

 

  アンヌに促されて、ベッドの傍にあるイスに腰掛ける。


「ユウタの中にある力はとても強いもの。それこそ無闇に使えば沢山の人が傷つくほど強い力よ」


  病室の空気が一変する。


  柔らかな朝日が差し込んでいるのに、まるで冷たい金属に包み込まれてしまったようだ。


「自分の力だから、どう使うかは自分で決めて……と、言いたいところだけど、お母さんは出来れば使って欲しくない」


「どうして? この力を使えば僕が、みんなを守れるよ。それに力を間違ったことになんて使わないよ」


  もうアンヌやフワリが傷つかなくて済む。そのためならば、この力を正しいことに使える自信があった。


「確かに、その力は正しいことに使えるけど、同時にあなたを不幸にするかもしれない。ううん確実に悲劇に見舞われるわ」


「そんな事――」


  アンヌはユウタの言葉を途中で遮る。


「そんな事あるの。お父さんだって沢山辛い体験をしてきたの。ヒーローは万能ではないのよ」


  言葉の重さに、ユウタは反論できなくなってしまった。


「だから、あなた一人に重荷を押し付けたくない。世界を、ううん誰かを守るという事は、とてつもない重荷を背負うことになるのよ。そして一度背負ったら最後、死ぬまで下ろせないわ」


  でも、ガーディマンはどんな強敵でも立ち向かっていったよ。


「僕は……」


「大丈夫って言いたいの? テレビのヒーローみたいにハッピーエンドになるとは限らないのよ」


  まるで心の中を読まれてしまったように、全て言われてしまい、ユウタは縮こまるように頭を下げた。


  アンヌはユウタの両肩に手を置くと、泣いているような笑顔を見せる。


「お母さんはね。ユウタに戦って欲しくない。いつもの弱虫で恥ずかしがり屋のユウタでいい。背伸びなんてしなくていいの」


  アンヌの言葉を聞いている内に『自分はヒーローにならなくてもいい』段々とそう思うようになっていく。


「でも、また怪獣とか現れたら……」


「大丈夫よ。そういう時のために防衛軍が組織されているの」


  遂に、最後の抵抗も上手く丸め込まれてしまった。


「それに、お母さんは、あなたをお父さんと同じ目に遭わせたくない」


  その一言がトドメとなった。


  「……分かった。母さん。僕はヒーローに、ならない。母さんが悲しむ顔見たくないから」


「……ありがとうユウタ」


  二人はお互いの思いを理解していた筈。なのに、どこか納得出来ないのか。


  不快感の漂う沈黙が二人を覆っていた。


  そんな沈黙を破ったのは、突然轟いた爆音と振動であった。

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