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【ジェムストーンズ1人目 ガーディマン】〜みんなを護るため弱虫少年はヒーローになる〜  作者: 七乃ハフト
第2話 《新生 最弱で最強のヒーロー 後編》 〜限界改造獣メカメカキョウボラス ムベホスアーマー 登場〜
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#7 母の故郷

「宇宙?」


 ユウタは首を傾げた。


  地球を守るはずなのに、何で宇宙へ?


「あなたが生まれてすぐの事よ。お母さん達にとって、ううん宇宙に生きる全ての存在にとっての天敵がこの地球に近づいてきていたの」


「天敵? 一体何なの」


  アンヌは口に出すのも嫌そうに、何度か躊躇うようなそぶりを見せる。


「それはお母さん達の銀河を壊滅させた元凶。その名は『ギャラクツクス』銀河を食い尽くすものという意味よ」


「……銀河を食い尽くす」


「少し長くなるけど、お母さん達の故郷の話を聞いてくれる?」


 ユウタが頷くと、アンヌに優しく両手を包み込まれる。


「お母さん達の銀河はね……」


  凛とした優しさ溢れる声に誘われて、ユウタの意識は宇宙へ旅立った。




 気づくとそこは病室ではなく、黒いスクリーンに無限の星空が浮かぶ宇宙であった。


  真空にいても怖さなど感じないのは、傍らにアンヌがいるからだろう。


  病衣を着た二人は手を繋いだまま宇宙を進む。


  因みに、母親と手を繋いでいるから恥ずかしいという気持ちは全くない。


  背後を振り返ると、自分が生まれ住む故郷の惑星が瞬く間に小さくなっていく。


  太陽系を抜け出し、天の川銀河から外へ出たユウタが、何千何万という銀河を通り過ぎて辿り着いたのは、他の銀河より強く大きな緑の輝きを放つ渦巻銀河だった。


 アンヌが右の人差し指で、その銀河を指差す。


「あれがGN(ジーヌ)銀河よ」


「すごく綺麗だね。まるで宝石みたい」


 優しい光を放つ銀河の中心は、まるで翡翠の宝玉のようだ。


「銀河の中心にあるのは、太陽なの」


「太陽⁈ すごく、大きいね」


「そうね。太陽系の数百倍の大きさかしら」


「数百倍⁈」


「ええ。この太陽ひとつで、銀河中の全ての星に光の恵みを与えていたの」


「は〜。すごいね」


  ユウタは驚嘆しすぎて、そんな感想しか出てこなかった。


「さあ。お母さんの故郷を紹介するわ」


  アンヌに手を引かれ、GN(ジーヌ)銀河にある一つの惑星に近づいていく。


  その惑星は地球と同じように、美しい海に緑の大地が浮かぶ蒼い星だった。


「ここがお母さんの生まれた星。GN(ジーヌ)28よ」


  二人がGN28に降りると、そこではユウタの予想外の光景が広がっている。


「ここ、地球に似てる」


  母なる海に威厳溢れる山脈。大地には緑溢れ、窓の見当たらない高層建築物が立ち並んでいる。


  そこに住む人々も、古代ローマ人のようなゆったりとした衣服を着ていて、目鼻立ちは地球人と何ら変わらない。


「なんか、みんな歴史の授業に出てきそうな服着てるね」


「確かにゆったりしてるけど、あれでも冷暖房完備で自動温度調節機能が付いてるの。それでいて値段はファストファッションのTシャツより安いのよ」


「何それ。信じられない」


  改めて、ここが地球とは違う星と認識するユウタ。


  そんなユウタに、青空で輝く緑の太陽が優しい光を浴びせていた。




  ユウタとアンヌは二〇階のビルくらいの大きさで、街を見て回る。


  二人から見ると街はミニチュアのようで、ユウタはまるで特撮映画の怪獣になったような気分だった。


  踏まないように気をつけないと。


  道路を走るタイヤのない車を避けていると、それを見ていたアンヌが思わずといった様子で、口に手を当てて吹き出す。


「ユウタ。ここは幻のようなもの。踏んづけても何の問題もないわよ」


「あっ、そっか」


  ユウタが足を置いたところを、まるで何事もなかったかのように、車が通り過ぎていった。


  その後も、何度も何度も車が足をすり抜けて通り過ぎていく。


「分かっていても、これじゃ落ち着かないんだけど」


「そうね。お母さん達が小さくなりましょうか」


  アンヌがユウタの手を下に引っ張ると、二人の身体が一気に縮んでいく。


「うわ! でっか!」


  見上げると、今度は巨人達が歩道を行き来していた。


  ユウタは踏みつけられないように慌てて避けるが、先ほどと同じで踏まれても何も問題はなかった。


「母さん。小さくなりすぎだよ」


  アンヌは笑いを我慢するように全身を震わせながら謝ってくる。


「ごめんね。ユウタの反応があんまりにも面白かったから……それにこの時は本当に幸せな時代だったのよ」


「何となくわかる。みんな笑顔だもん」


  ユウタが言ったように道を歩く人々は皆笑顔だ。


  作り笑いなどではなく、心の底から笑っているのがユウタにもはっきりと分かった。


「そう。本当に悩みなどない暮らしを送っていたの。あの時までは……」


  急にアンヌの口調のトーンが落ちた。


「あの時?」


  アンヌは頷いて天を指差し、釣られてユウタも頭を上に向ける。


  太陽が欠けていく?

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