番外編その2の5 (約700字)
「ああっ! あの格好。じいちゃん連れてったやつと同じ格好だ!!」
ラチカはある建物の正面入り口で立っていた男性に向かって指を指した。
「わあっ! 指差しちゃダメだよ! あと声大きい!」
ユウタは思わずラチカの口を塞ぐ。
「むぐー! むぅーー!」
「ラチカちょっと大人しく……ってこっち見てる⁈ 」
女の子の口を塞いでいる姿は、不審者に見られても文句は言えない。
ユウタはラチカの手を引っ張ってすぐに警察署を後にした。
後ろを振り返り、誰も追ってこないことを確認してラチカの手を離す。
「ユウタ何するんだよ! あそこにじいちゃんが捕らわれてるんだぞ! 早く助けないと!」
ラチカの大声に、周りの人が反応し、視線を向けてくる。
ユウタは針のような視線の痛みに耐えながら、ラチカに静かにするように促す。
「落ち着いて。あの人達は悪いやつじゃないんだよ」
「悪いやつだろ! じいちゃんを連れていったんだから!」
「彼らは警察官なんだ。悪い人を捕まえるのが仕事なんだよ」
「えっ、そうなの、か?」
沸騰したお湯のような怒りが収まっていくように静かになっていく。
「ケイサツカン……じいちゃんから聞いたことがある。でも悪いやつじゃないならなんで連れていったんだよ!!!」
祖父が連れていかれる意味がわからず、ラチカは怒りと悲しみがごちゃまぜになった表情で目に涙を浮かべて訴える。
「落ち着いてラチカ。取り敢えず僕の家に行こう。そこで君のおじいさんに何があったか詳しく教えて? ね?」




