#8 消臭機能を改良してもらわないと
―1―
月も星も見えない厚い雲が覆い尽くす夜。
希望市中央に位置するCEF本部ユグドラシル。
その地下百メートルに位置する司令室に集められたメンバーは、緊張感に包まれた面持ちでメインモニターを凝視していた。
集まっているのは男性四人。
アツシ、ハンゾウ、ツトム、そして隊長のゲンブだ。
四人ともいつものスーツ姿ではなく、本来のスカウトスーツを纏っている。
モニターに映るのは蝶が成虫になるための蛹のように見える。
だが、映像が引いていくと、それが只の蛹ではないことがわかった。
大きい。とても大きいのだ。
近くにある二十階建てのマンションよりも高く横幅も広い。
その高さは百メートルに達するほどだった。
まるで美しく固く希少性の高いスピネルのような紫色の蛹が、街の真ん中で聳え立っている。
ゲンブが隊員達に説明していく。
「今から二時間前。ショッピングモール『ボナモール』が謎の蛹状のものに包み込まれた。蛹は以後パープルコクーンと呼称する」
「建物内に人は?」
中にいる人のことが心配になったのだろう。アツシが質問する。
「正確な人数は不明だが、休日ということもあり、少なくとも二百人ほどと推測が出ている。リィサ、そちらの状況を伝えてくれ」
『こちらリィサ』
モニターにキツネのマスクを装着したサヤトが現れた。
彼女は一足先にCEF専用車両シルバーハウンドで現場に向かっていたのだ。
『パープルコクーンから半径二キロは完全に封鎖。範囲内の民間人はシェルターに避難……』
報告の途中で車に何かぶつかる音がして、中断される。
リィサが報告している画面に警察官と揉めている集団が入ってきた。
ハンゾウが、いつも開いているのか分かりづらい細目で揉めている人達を凝視する。
「彼らは、報道関係者? ここは立ち入り禁止のはずっシュ」
ツトムが、手元の腕時計を操作しながら疑問に答える。
「唯一生放送している局があります」
オーパスのホログラムを大きくし、司令室にいるメンバーに見せた。
『こちらソクホウ……ソクホウカイです。私達はショッピングモールを覆い尽くした正体不明の物体の側に来ています。
見てください。とても大きくまるで宝石のように輝いています。
とても綺麗で不気味な存在感を放っています――』
『ここは立ち入り禁止です! 早く避難してください!』
『ちょっと、押さないで……押さないでください!』
割り込んできたのは四十代と二十代の制服警官だ。中々避難しないテレビスタッフを後ろに下がらせていく。
映像も音声も乱れて何が何だかわからなくなったところで、ツトムはホログラムを消した。
「リィサ。報告を続けてくれ」
ゲンブに促されて報告を続ける。
『……ちょっと待ってください』
シルバーハウンドのサイレンが鳴った。
その音に驚いて揉めていた人達は離れていき、周りが静寂に包まれる。
『報告を続けます。範囲内の市民は避難完了。警察と消防がパープルコクーンの周囲を囲んでいますが、救助活動は行われていません』
ドローンが動き、サーチライトで照らされる蛹に近づいていく。
『中がどうなっているのかは一切不明です。この外殻は赤外線も電波も遮断しています』
「お話し中。失礼します」
司令室中央にある黄色い球体が点滅した。
「蛹の成分が判明しました。九割はポルトランドセメントやシリカなど、コンクリートやガラスの成分が主です。
残り一割は未知の成分でデータベースにありません」
ツトムがメガネを押し上げる。
「そうか。同化したボナモールを利用して蛹を作り出したんですね」
「その可能性が高いです」
アツシが顎に指を添えて尋ねる。
「中の人達は大丈夫なのだろうか? 電波も遮断されているとしたら、もしかしたら酸素も遮断されているのでは?」
「それは分かりません」
フリッカは切り捨てるように答えた。
「それで隊長殿。このパープルコクーンにはどう対処するんですっシュ?」
ハンゾウの質問にゲンブは小さく頷く。
「防衛軍は、陸海空軍の戦力でパープルコクーンに一斉攻撃を加える。その為に集結中だ」
「拙者達はどうするっシュ?」
「我々はパープルコクーン内に閉じ込められた人々の救出作戦を行う」
アツシが反論する。
「救出方法は考えてあるのですか? 」
「それはまだだ。今フリッカとハカセに、中に影響なく蛹を破壊できるかどうか確認――」
リィサがゲンブの声を遮った。
『隊長!』
どこか慌てた声に、司令室内の全員が振り向く。
『どうしたリィサ』
『地下鉄の出入り口から人が出てきます』
パープルコクーンを映していたドローンが下を向くと、ボナモール真下に通じる出入り口から消防隊員と思われる複数の人物が走って出てきた。
まるで何かに追われているような様子な彼らの後ろから、毒々しい緑色の瘴気が追いすがってくる。
そのガスの手に掴まれた一人の隊員が首を抑え倒れていく。
司令室にいる四人からでも、倒れた表情に苦悶が刻まれているのがありありと分かった。
消防隊はもちろん、警官隊や揉めていたソクホウカイ達も、一目散に逃げていく。
「リィサ。そこから退避しろ」
『無理です。周りの車両が邪魔して動けません……すいません通信を終わります』
リィサが乗るシルバーハウンドも、瘴気の体内に取り込まれてしまった。
完全に包まれる直前、運転席のドアが開いたように見えた。
―2―
「……すいません。通信を終わります」
ガスが迫る中、リィサは司令室との通信を終了させると、躊躇いなくドアを開ける。
逃げるためではない。
ガスが入ってこない車内が一番安全である。
それでも外に出たのは、ガスに襲われた消防隊員が気になったからだ。
もしかしたらまだ生きているかもしれない。
リィサはそう考えて倒れているであろう場所へ歩いていく。
スカウトスーツは防毒機能の完備してあるので、ガスが充満する中でも活動に支障はない。
それでも……。
「スッハッスッハッ」
緊張のせいか呼吸が荒くなる。不安は拭えない。
スーツを浸透してガスが体内に入る可能性もゼロではない。
自分も消防隊員の二の舞にならないことを祈りながら、捜索を続ける。
緑色の厚い靄のせいで、視界が悪く倒れている姿が見えない。
そんな時、呻き声のようなものが聞こえてきた。
スーツの機能を使って声が聞こえてくる方向を可視化し、そちらへ向かう。
歩いていると、こちらに背中を見せて倒れた人影を発見。
リィサは小走りで近づき、しゃがみこんで生死を確認する。
「しっかりして」
消防隊員は答えなかったが、激しく咳き込む。
「良かった。まだ生きてる。今安全なところへ連れて行くから」
リィサは隊員の防毒マスクを持って装着させようとする。
「マスクを付けるわ。苦しいけれど少しの間息を止めて、つけたら大きく息を吐くのよ」
有無を言わさずにマスクを顔に取り付ける。
「息を吐いて。吐きなさい!」
男性隊員は咳き込みながらも、深く長く息を吐き、マスク内の有毒ガスを外へ押し出して行く。
まだ咳き込んでいるが、少し落ち着いてきたようだ。
「今ガスの外へ連れて行くから。もう少し我慢しなさい」
リィサは横たわる消防隊員を両腕で抱き抱えて――俗に言うお姫様抱っこ――ガスの範囲外へ向かう。
無事に、ガスの範囲外に出ると、待っていたのは警官達や地下鉄の入り口から逃げてきた消防隊員達だ。
「彼はまだ生きているけれど、危険な状態よ。早く病院へ」
消防隊員を託された同僚達が救急車に乗せて行く。
「部下を救ってくれてありがとう」
そうお礼を言って立ち去ろうとする消防隊員を呼び止める。
「貴方達、地下から逃げてきたわよね。その事を詳しく教えて」
「ああ。俺達は閉じ込められた人を救出するために……」
その証言は救出の糸口になりそうな重要なものであった。
「ありがとう。私も本部に戻ります。悪いんだけれど、車が通るので道を開けてくれないかしら」
それだけ言い残してシルバーハウンドに戻ったリィサはエンジンを掛けてドローンを回収し、サイレンを鳴らしながらガス地帯を脱出した。
車一台分が通る幅が開いていたので、そこを通り抜ける。
脇にいた警官隊が鼻をつまんだり顔をしかめているのが見えた。
人通りのない道路を進みながら、車内のガスが無毒化された事を確認して、マスクを解除。
「スゥーハァー」
大きく深呼吸をしてから司令室に繋げる。
「こちらリィサ。隊長聞こえますか?」
モニターに固く腕を組んだゲンブが映し出された。
『聞こえている。無事のようだな』
「報告途中で申し訳ありませんでした。ガスで倒れた消防隊員を救出していました」
「ガスがスーツを浸透して自分も倒れる可能性もあった。あまり無茶をするな」
「申し訳ありません」
リィサは僅かに顔を伏せる。
「だが、隊としては褒めれる行動ではないが、私個人としては賞賛に値する。よくやった」
「はい。それと消防隊から重要な証言を得ました。救出作戦に役立つかもしれません」
リィサは聞いた証言をゲンブに話す。
『分かった。その証言をもとに作戦を立ててみよう。リィサも早く帰投しろ』
「了解」
リィサは最寄りのスパイダーウェブの入り口に向かって車を走らせながら、鼻を動かす。
「……さっき警察官が顔をしかめていた原因はこれね」
最初は気づかなかったが、ガスが原因と思われる悪臭が微かに車内に漂い、鼻孔を刺激してくる。
「……この戦いが終わったらハカセに消臭機能を改良してもらわないと」
サヤトはそう独り言を呟くと、再びマスクを装着するのだった。
―3―
「今回の作戦を説明する」
モニターの前で腕を組んで立つゲンブの一声に居合わせた四人の隊員達は姿勢を正す。
「まず、消防隊員から得た情報を話そう」
ゲンブはサヤトから得た消防隊員の証言を話し始める
「彼等はボナモール内に入れないものかと周辺を捜索。その際に地下鉄の入り口から真下の駅へ向かった。
地下には問題なく行け、パープルコクーンの影響は及んでいなかったそうだ」
「その情報を元に、現場付近にいたOF-60を使って偵察させています。映像をモニターに出します」
モニターに緑色のガスに侵食された地下鉄のホームが映し出された。
ヒューマノイドは人体に悪影響のある環境下を物ともせず進んでいく。
側頭部に取り付けられたライトに照らされたホームは停電しているせいで、暗闇とガスに包み込まれ人の姿はない。
その無人のホームを歩くOF-60が階段を登り、踊り場で止まった。
視界の先では巨大なスピネルが、一階への侵入を拒むように出入り口を覆い尽くしている。
「見ての通り。地下まではパープルコクーンの影響はありません。ズームするところを見てください」
フリッカの言葉に全員がモニターを注目する。
宝石のような蛹の一部に小さなヒビが入り、そこから緑色のガスが吹き出ていた。
ゲンブが口を開く。
「消防隊はここまで来て中に入るために衝撃を与えた。するとガスが吹き出た。という事だ」
メガネのズレを直しながら、ツトムが全員の心情を代弁する。
「無茶な事を……」
モニターを見ていたゲンブがツトムの方を振り向く。
「無茶な事をしたが、お陰で貴重な情報が手に入った。彼等の行動を無駄にはしない」
「はい」
「この情報を元に立てた作戦はこうだ」
ゲンブが説明すると同時にモニターが街の断面図に切り替わる。
「ガスはパープルコクーン半径五百メートルを覆い尽くしている。これを避け一キロ先にある地下鉄駅に救護所を設ける」
モニターでも、ボナモール隣の駅に救護所が出来上がっていく。
「我々の役目は、ボナモールに閉じ込められた人々を素早く救出し救護所まで送り届ける事だ。
その為にグラウンドッグを使用し地下から突入する」
モニターに地底専車グラウンドッグが現れた。
「救護所となる駅の真上から地底に侵入。それからボナモール真下の駅から一階に突入し、閉じ込められた人達を救助する。
モリサキ長官に頼んで、国土交通省から許可は得ている」
「ちょっといいですか?」
アツシが大きな右手を挙げた。
「一階の床を破るにしても、中に人達に連絡が取れないのでは危険だと思いますが」
「コンゴウ隊員の意見は最もだ。フリッカ映像を出してくれ」
モニターがOF-60の映像に切り替わる。移動してホームの天井を見上げていた。
「赤外線映像に切り替えます」
フリッカの言葉で画像が青と緑に包まれ中央に赤い塊が映し出された。
青や緑は温度が低い事を表し、赤は高い温度を発していて、よく見ると動いているようだ。
「この通り、地下からなら赤外線で確認ができる。相変わらず電波は届かないが、これなら中の人に危険が及ぶ事はない」
アツシは納得したように深く頷いた。
「ハカセグラウンドッグの準備は出来ているな」
『ああ』
天井のスピーカーからぶっきらぼうな返事が返ってくる。
『赤外線モニターも装着完了。毒ガスの中和剤も積んだし、強化プラスチック液も補充が終わった。いつでも出撃できるぞ」
「ジキョウ隊員、コンゴウ隊員、カゲガクレ隊員はグラウンドッグで救出作業を任せる。
ショウアイ隊員はレッドイーグルで上空待機。私もブルーストークで出撃する」
「「了解」」
「了解っシュ」
「あの!」
他の三人が理解する中、ツトムだけが抗議してきた。
「自分はヘビィトータスに乗せてはくれませんか? 戦力は多い方がいいですし。コンゴウさんとカゲガクレさんの身体能力なら二人でも充分かと……」
「いや救出作業に人員を割く。何故なら今から二時間半後に防衛軍が攻撃を開始するからだ」
ゲンブはオーパスを確認した。
「時間になったら防衛軍は有無を言わさず攻撃する。中に人がいてもいなくてもだ。
そうなる前に全員救出しなくてはならない。分かったか」
「……了解、しました」
どこか納得していない様子のツトムであった。
「我々に諦めるという言葉はない。閉じ込められた人を一人も見捨てずに救出する。出動!」
「「「了解」」」
「了解っシュ」
全員、それぞれのマスクを装着して司令室を後にした。
―4―
ユグドラシルに面した道路が開き、地下から鉛筆のような円筒形の超兵器が現れた。
ゴールデンレトリバーのような金色の円筒形のボディは全長二十メートル。
先端に装着された銀色の四角錐のドリルは五メートルある。
これが今回の作戦の要である超兵器。
地底専用救助車両、略して地底専車グラウンドッグである。
グラウンドッグは専用輸送艇ホバーカーゴとドッキングしている。
ホバーカーゴは水陸両用で、グラウンドッグを掘削ポイントまで迅速に輸送できるように開発された。
外見はエアクッションのないホバークラフトといった様子で、底部四つのエンジンで地上八メートルの高さまで浮上して移動できる。
これにより、道路を通っても標識や歩道橋にぶつかる事なく移動が可能になった。
中には三人。
操縦席にはイブゥが、円形の通路を挟んでマサシゲドーラが並んで座っている。
その後方には治療プログラムがインストールされたOF-60二体。
「グラウンドッグ発進準備完了」
イブゥはグラウンドッグのエンジンを始動させ、連動したホバーカーゴも浮遊する。
『こちらバサルト。作戦開始』
バサルトもブルーストーク、リィサはレッドイーグルですでに現場上空で待機している。
「発進します」
イブゥの操作によってホバーカーゴが動き出す。
地上から浮遊しているため、まるで滑るように掘削ポイントへ向かう。
最大時速六十キロで、車一台通らない道路を進んでいく。
操縦しているイブゥの耳に、マサシゲとドーラの会話が入ってきた。
「そういえば、ガーディマン殿とは連絡が取れないっシュ?」
「ああ。リィサの電話にメール、ハカセのダイレクトメールも返信なしみたいだ」
「やはり、ヒーローとして活動するのが苦痛になってしまったっシュか……」
「それは、分からないな」
イブゥは聞いてない風を装いながらも、しっかり聞き耳を立て、こう思っていた。
最後まで責任持てないなら辞めた方がいいんだ。と。
ホバーカーゴが浮遊しながら十字路で停止した。
「こちらイブゥ。掘削ポイントに到着。これより地底に潜行します」
『こちらバサルト。了解。攻撃開始まで後二時間だ』
「了解。必ず全員救出してみせます」
通信を終了し、ホバーカーゴを操作。
ホバーカーゴがドッキングしているグラウンドッグを持ち上げる。
平行だったグラウンドッグが、九十度の覚悟でドリルを真下に向けた。
内部は重力制御装置のおかげで、何の問題もなかった。
「ドリル始動」
先端の四角錐のドリルが赤熱し、目に見えない振動を放つ。
ドリルの先端が路面に触れた瞬間、まるで熱されたバターのように溶けていく。
グラウンドッグのドリルは回転したりはせず、超振動で道路を液状化させ、ドリルに張り巡らせた高熱エネルギーで溶解させていくのだ。
ものの数十秒で全長二十五メートルの地底専車は地下に消えていく。
時速三十キロで地下を掘り進めるグラウンドッグ。
鉛筆のような車体上下左右には幅広のキャタピラが付いていて、開けた地下通路に引っかかることはない。
「後百メートルで地下鉄のホームに到達」
外の様子や自分の位置を確かめるには通常のカメラでは何も見えない。
そこで目となるのが『UGソナー』だ。
潜水艦のソナーを参考に、車体から特殊な音波を出し、周囲の地形をスキャン。
それを精巧なCGで運転席のモニターに表示しているのだ。
グラウンドッグのドリルが地下線路の天井を抜けたところで停止。
天井と線路は間が空いていて落ちたらダメージを受けてしまう。
「強化プラスチック噴霧します」
ドリルの脇から小さなアームが出現し、先端から液体状のプラスチックを霧のように撒き散らす。
同時にUVライトを照射。
液体だったプラスチックが固体になり、下り坂が完成した。
強化プラスチックの坂はグラウンドッグが載っても壊れることなく支えられるほど頑丈だ。
UVライトを当てなければ十分でプラスチックの坂は自壊するのでそのままにしても問題ない。
線路に降りてボナモール真下の駅に直進。
近づいていくと、カメラの映像が緑の靄に包まれていく。
「中和剤噴射」
車体から噴き出す白いガスが、パープルコクーンの毒ガスを無効化していく。
本当なら地上のガスも無効化したかったが、時間がなく、地下を清浄する量しか作れなかったのだ。
ぶっつけ本番だったが、中和剤はちゃんと働き毒々しい緑の靄は消滅した。
「ハカセ。毒ガスの中和成功」
イブゥは成功報告しながら、ボナモールの地下鉄駅へ侵入した。
「イブゥ。このポイントなら大丈夫そうだ」
赤外線カメラで一階の様子を見ていたドーラが報せる。
「了解。こちらイブゥ。これよりボナモール一階に進入します」
ゲンブに報告してから、強化プラスチックで天井まで登れる坂を作る。
その坂を上がり、閉じ込められた人を巻き込まないように慎重に掘り進めていくのだった。
防衛軍攻撃開始まで残り一時間三〇分。




